[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません

月歌(ツキウタ)

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風俗店でばったり

◆◆◆◆◆

繁華街から少し脇道に入った雑居ビルの地下に、目的のシコシコ風俗店がある。僕は軽い足取りで階段を降りた。

「酔っぱらいの直人。階段はゆっくり降りないと、転げ落ちるぞ」

「そんなに酔ってないぞっと、うおっ!」
「直人!?」

階段から足を踏み外した僕を、雄一が背後から抱き止めてくれた。心臓バクバク!

「ありがとう~。助かったよ、雄一」
「このまま抱き上げて、階段を降りる」
「えー??」

雄一は僕を抱き上げると、お姫様抱っこをした。何故にお姫様抱っこ?とはおもったが、雄一にしがみついて、無事に階段を降りた。階段を降りると雑居ビルに似合わない、重厚な扉が現れる。

「ここか?」

「中々に重厚な扉だろ?会員制の店だから、会員証をスキャンしないと扉が開かない仕様になってるんだ。格好いいでしょ」

「怪しさ満載だな。アングラな店で会員証を作るのは、リスクがあると思うぞ」

「雄一はさっきから文句ばっかりだな。シコシコしたくないなら、帰っていいよ」

「いや、シコシコしたい」
「素直~」

雄一が僕を床に下ろしたので、早速扉に向かった。会員証を取り出して、スキャニング装置に差し込んだ。カチリと扉が開く音がした。僕が扉を押そうとしたら、内部から扉が開かれた。

「いらっしゃいませ、お客様。『鏡の国』にようこそおいで下さいまし・・げっ!」

スーツを上品に着こなした風俗店の店員が、入店した僕たちに挨拶した。でも、店員の声が裏返ったので、僕は視線を向けた。そして、声を漏らした。

「正樹がなんで・・?」

僕が驚いて声を漏らすと、正樹は僕を睨み付けてきた。

「俺が風俗店で働いているって知って、見学に来たのかよ?ストーカーみたいだな」

「正樹がここで働いてるなんて、知るわけがないだろ。僕はシコシコ目的で店に来ただけだ!そうだよね、雄一!」

「確かにそうだが、直人を不幸にした奴が働く店でシコシコするのはごめんだ。出ようぜ、直人」
 
雄一の言葉に正樹が反応を示す。

「直人の電話にでた奴か?名前は?」
「大家雄一だ」

正樹は視線を僕に向けると、嫌みっぽい言葉を漏らす。

「もう新しい男ができたのかよ、直人。なら、もう結婚指輪も婚約指輪も要らないよな?早く俺に返してくれ」

「返すよ!痩せて指から抜けたら、指輪は正樹に突き返すから!但し、慰謝料はがっつり貰うからね!」

「え?」

突然、正樹に腕を掴まれた。彼が僕の指先に視線を向けて、なぜか優しく微笑まれた。

「指が太って指輪が抜けなくなるとか、直人っぽくて笑えるな。そうか・・まだ指輪をはめてくれていたのか。そっか」

僕はあわてて正樹の腕を振り払った。恥ずかしくて顔が火照ったが、僕は早口で言い訳をした。

「未練があって、指輪を返すのを焦らした訳じゃないから。痩せて指輪が外れたら、正樹に突き返す。でも、慰謝料の金額は譲らないからね。正樹の運命の番がピンチでも、僕には関係ないから!」

「ああ、それでいい。悪いな、直人」

あっさりと正樹が引いたので、怒りの矛先を失ってしまった。そして、正樹の事が急に心配になってきた。


◆◆◆◆◆


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