[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません

月歌(ツキウタ)

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ショータイム

◆◆◆◆◆


「正樹の会社は副業を禁止してるよね?こんなところで働いてるのがバレたら、クビになるかもしれないのに。折角一流企業に勤めているのに、危ない橋を渡るなよ」

「・・・」

正樹から返事はなかった。その時、不意に雄一が僕の腕を掴んで引き寄せた。

「雄一?」
「花木静だ」
「え?」

店内の廊下を歩いてくるのは、正樹の運命の番の花木静だった。彼は俯きながら、オーナーの香川の影に隠れる様にこちらに歩いてくる。

「これは中々の光景だな。6月の花嫁が鉢合わせとは。まさか、殴り込みの修羅場ではないよね?直人さんはお客として『鏡の国』に来てくれたのかな?」

「香川さん、久しぶりです。友人を誘って遊びに来ました~」

「千客万来、ありがたいねぇ。お客様をお待たせしては駄目だよ、伊集院。受付を済ませて貰って部屋にご案内して。あっ、君はもうすぐ出演の時間だったね?受付を花木と交代して、控え室に向かってくれ」

「うっ、はい。香川オーナー」

風俗店のオーナーの香川照幸かがわてるゆきは、正樹と同じ大学の出身だ。一度は一流企業に就職したものの、肌に合わず風俗店の経営に乗り出した異色の人物である。

香川の指示に従い、正樹が受付を花木静と交代する。そして、少し俯きながら廊下を早足に奥に向かっていった。

「あの・・受付をお願いします」
「あっ」

受付カウンターに入った花木が、か細い声で声をかけしてきた。僕は躊躇いながらも受付をしようとして、雄一に引き止められた。

「正樹や花木が勤める風俗店で、抜ける気がしない。別の店に行こう、直人」

「雄一・・まあ、そうなんだけど」

確かに、雄一の言葉は正しい。とんでもない面子に遭遇して、シコシコ気分は吹き飛んでしまった。だけど、正樹がなぜここに勤めているのか気になる。

その時、花木の小さな声で制された。

「申し訳こざいません、お客様。マジックミラーのショータイムが間もなく開演します。その間は、玄関扉は閉鎖される仕組みとなっております。受付が済みしだい、僕がお部屋にご案内いたしますので・・」

花木の言葉に雄一が反論した。

「ちょっと待てよ!好きに店を出られないとか、普通に駄目だろ。第一、玄関扉を閉鎖するとか、防災的に問題があるんじゃないのか?」

真面目な雄一を、違法風俗店に連れてきた僕が間違いだった。オーナーの香川は柔和な印象だが、それなりにアングラとの繋がりもあるだろう。ここで揉め事を起こして、幼馴染みの雄一が目を付けられたら大変だ。

「雄一、部屋に行こう。ちょっと疲れた」
「しかし、直人」
「お願い~、雄一。シコシコ、したい」
「えー、まじかよ」
 
僕は受付カウンターで受付を済ませて、花木に声を掛けた。

「部屋に案内して」
「はい、お客様」

不意に香川がにこやかに言葉を発した。

「花木、お二人をショーがよく見える特別室にご案内して。直人さん、部屋代は普通料金にしておくので、ゆっくり楽しんでください。ショーには伊集院が出演するので、楽しんでください。さあ、花木はお二人を部屋に案内して」

「はい、オーナー」

え、ちょっと待って。正樹がショーに出演するの?マジックミラー越しとはいえ、客の前で生セックスをするのか?

どうなってんだよ、正樹!



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