7 / 13
花木静
◆◆◆◆◆
花木は完全個室に僕たちを案内すると、部屋に設置された冷蔵庫に向かう。そして、白ワインとチーズを取り出してテーブルに置いた。
「おー、豪華な部屋!」
「凄いな」
花木が案内した部屋は、特別室に相応しく豪華な作りだった。僕と雄一は思わず感想を口にしていた。部屋には大きなソファーが設置され、僕と雄一はさっそく腰をおろした。座り心地、最高!
「ドリンクや軽食等は全て部屋代に含まれております。ご自由にご飲食下さい。また、部屋に置かれた玩具等は衛生面に細心の注意を払っております。どうぞ、安心してご利用下さい」
こんなに大人の玩具があったとは知らなかった。ここが、特別室だからだろうか?
正樹と店に来ていた時は、何時も中ランクの部屋だった。そして、一緒にシコシコするだけ。玩具を使用したこともない。結婚初夜まで、全部初めてでいたかったから。正樹もそれを許してくれた。なのに・・。
「では、失礼致します」
一通り説明を終えると、花木は一礼して部屋を出ていこうとした。
「ちょっと待って、花木さん」
「っ、はい?」
僕は花木の腕を掴んで引き止めていた。そして、花木を見つめて詰問する。
「状況を説明して。正樹はどうして風俗店で働いているの?」
「これは夫婦の問題ですから、説明の必要があるとは思えません。お二人はすでに離婚されていますので」
花木の思わぬ反撃に驚き、僕は押し黙ってしまった。そんな僕を擁護してくれたのは、雄一だった。
「離婚は成立しているが、慰謝料の請求はこれからだ。その請求相手が本業をクビになりかねない仕事に従事していては、不安にもなる。花木さんが伊集院の伴侶なら説明すべきだ」
「それは・・」
「とにかく、状況が知りたい」
「わかりました。ご説明します」
花木は俯きながら説明を始めた。
「僕の父親が闇金に借金を重ね、僕は脅されて連帯保証人にされました。そして、闇金の関係者に風俗店を紹介され、そこで働くようになりました。そこは暴力団がらみの店で扱いも酷く・・僕の精神はボロボロになっていきました。そんな時に、僕は運命の番の正樹さんと出逢いました」
「僕の結婚式の最中にね」
僕の皮肉にも花木は狼狽えはしなかった。むしろ、目を輝かせて正樹との出逢いを饒舌に語る。
「運命の番との出逢いは・・あまりに突然で劇的なものでした。心が解放され、僕たちは抱き合っていました。首筋を噛まれた僕は、自身が抱える事情を泣きながら正樹さんに打ち明けていました。そして、彼は僕の負の部分も全て受け入れてくれたのです。正樹さんはとても・・」
僕は花木の話を制した。これ以上聞いていられない。ムカつく。
「甘い話は必要ないから。それで、借金の件はどうなったの?」
「正樹さんがこの店のオーナーの香川さんと知り合いで、僕の件を相談してくれました。そうしたら、香川オーナーが面白がって僕を借金ごと購入してくれたのです。勿論、借金自体はなくなっていないので、オーナーのすすめで『鏡の国』で働くことになりました。風俗店には代わりありませんが、以前の店は・・色々と危ない目にも遭っていたので、正樹さんにもオーナーにも感謝しています」
「なるほど。じゃあ、花木さんと正樹がショーに出るのもオーナーの指示って事か」
「あ、いえ。その・・僕はショーには出ていません。正樹さんがオーナーに頼み込んでくれて、僕は接客業のみを担当しています。代わりに、正樹さんが頻繁にショーに出ることで、香川オーナーは納得してくれました」
「なにそれ?」
◆◆◆◆◆
花木は完全個室に僕たちを案内すると、部屋に設置された冷蔵庫に向かう。そして、白ワインとチーズを取り出してテーブルに置いた。
「おー、豪華な部屋!」
「凄いな」
花木が案内した部屋は、特別室に相応しく豪華な作りだった。僕と雄一は思わず感想を口にしていた。部屋には大きなソファーが設置され、僕と雄一はさっそく腰をおろした。座り心地、最高!
「ドリンクや軽食等は全て部屋代に含まれております。ご自由にご飲食下さい。また、部屋に置かれた玩具等は衛生面に細心の注意を払っております。どうぞ、安心してご利用下さい」
こんなに大人の玩具があったとは知らなかった。ここが、特別室だからだろうか?
正樹と店に来ていた時は、何時も中ランクの部屋だった。そして、一緒にシコシコするだけ。玩具を使用したこともない。結婚初夜まで、全部初めてでいたかったから。正樹もそれを許してくれた。なのに・・。
「では、失礼致します」
一通り説明を終えると、花木は一礼して部屋を出ていこうとした。
「ちょっと待って、花木さん」
「っ、はい?」
僕は花木の腕を掴んで引き止めていた。そして、花木を見つめて詰問する。
「状況を説明して。正樹はどうして風俗店で働いているの?」
「これは夫婦の問題ですから、説明の必要があるとは思えません。お二人はすでに離婚されていますので」
花木の思わぬ反撃に驚き、僕は押し黙ってしまった。そんな僕を擁護してくれたのは、雄一だった。
「離婚は成立しているが、慰謝料の請求はこれからだ。その請求相手が本業をクビになりかねない仕事に従事していては、不安にもなる。花木さんが伊集院の伴侶なら説明すべきだ」
「それは・・」
「とにかく、状況が知りたい」
「わかりました。ご説明します」
花木は俯きながら説明を始めた。
「僕の父親が闇金に借金を重ね、僕は脅されて連帯保証人にされました。そして、闇金の関係者に風俗店を紹介され、そこで働くようになりました。そこは暴力団がらみの店で扱いも酷く・・僕の精神はボロボロになっていきました。そんな時に、僕は運命の番の正樹さんと出逢いました」
「僕の結婚式の最中にね」
僕の皮肉にも花木は狼狽えはしなかった。むしろ、目を輝かせて正樹との出逢いを饒舌に語る。
「運命の番との出逢いは・・あまりに突然で劇的なものでした。心が解放され、僕たちは抱き合っていました。首筋を噛まれた僕は、自身が抱える事情を泣きながら正樹さんに打ち明けていました。そして、彼は僕の負の部分も全て受け入れてくれたのです。正樹さんはとても・・」
僕は花木の話を制した。これ以上聞いていられない。ムカつく。
「甘い話は必要ないから。それで、借金の件はどうなったの?」
「正樹さんがこの店のオーナーの香川さんと知り合いで、僕の件を相談してくれました。そうしたら、香川オーナーが面白がって僕を借金ごと購入してくれたのです。勿論、借金自体はなくなっていないので、オーナーのすすめで『鏡の国』で働くことになりました。風俗店には代わりありませんが、以前の店は・・色々と危ない目にも遭っていたので、正樹さんにもオーナーにも感謝しています」
「なるほど。じゃあ、花木さんと正樹がショーに出るのもオーナーの指示って事か」
「あ、いえ。その・・僕はショーには出ていません。正樹さんがオーナーに頼み込んでくれて、僕は接客業のみを担当しています。代わりに、正樹さんが頻繁にショーに出ることで、香川オーナーは納得してくれました」
「なにそれ?」
◆◆◆◆◆
あなたにおすすめの小説
側近候補を外されて覚醒したら旦那ができた話をしよう。
とうや
BL
【6/10最終話です】
「お前を側近候補から外す。良くない噂がたっているし、正直鬱陶しいんだ」
王太子殿下のために10年捧げてきた生活だった。側近候補から外され、公爵家を除籍された。死のうと思った時に思い出したのは、ふわっとした前世の記憶。
あれ?俺ってあいつに尽くして尽くして、自分のための努力ってした事あったっけ?!
自分のために努力して、自分のために生きていく。そう決めたら友達がいっぱいできた。親友もできた。すぐ旦那になったけど。
***********************
ATTENTION
***********************
※オリジンシリーズ、魔王シリーズとは世界線が違います。単発の短い話です。『新居に旦那の幼馴染〜』と多分同じ世界線です。
※朝6時くらいに更新です。
可愛いあの子には敵わない【完】
おはぎ
BL
騎士科の人気者のエドワードとは最近、一緒に勉強をする仲。共に過ごす内に好きになってしまったが、新入生として入ってきたエドワードの幼馴染は誰が見ても可憐な美少年で。お似合いの二人を見ていられずエドワードを避けてしまうようになったが……。
王女が捨てた陰気で無口で野暮ったい彼は僕が貰います
卯藤ローレン
BL
「あなたとの婚約を、今日この場で破棄いたします!」――王宮の広間に突然響いた王女の決別宣言。その言葉は、舞踏会という場に全く相応しくない地味で暗い格好のセドリックへと向けられていた。それを見ていたウィリムは「じゃあ、僕が貰います!」と清々しく強奪宣言をした。誰もが一歩後ずさる陰気な雰囲気のセドリック、その婚約者になったウィリムだが徐々に誤算が生じていく。日に日に婚約者が激変していくのだ。身長は伸び、髪は整えられ、端正な顔立ちは輝き、声変わりまでしてしまった。かつての面影などなくなった婚約者に前のめりで「早く結婚したい」と迫られる日々が待っていようとは、ウィリムも誰も想像していなかった。
◇地味→美男に変化した攻め×素直で恐いもの知らずな受け。
邪魔にならないように自分から身を引いて別れたモトカレと数年後再会する話
ゆなな
BL
コンビニのバイトで売れない美しいミュージシャンと出会った大学生のアオイは夢を追う彼の生活を必死で支えた。その甲斐あって、彼はデビューの夢を掴んだが、眩いばかりの彼の邪魔になりたくなくて、平凡なアオイは彼から身を引いた。
Twitterに掲載していたものに加筆しました。
「じゃあ、別れるか」
万年青二三歳
BL
三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。
期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。
ケンカップル好きへ捧げます。
ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。
愛されるも守らせない文官は自覚がある【完】
おはぎ
BL
可愛い容姿であることを自覚している、王宮で文官として働くレーテル。その容姿を利用しては上手く立ち回っていたのだが、勘違いした男に連れ込まれて襲われそうになり…。
腹黒な美形宰相×可愛い自覚がある腹黒文官
失恋したと思ってたのになぜか失恋相手にプロポーズされた
胡桃めめこ
BL
俺が片思いしていた幼なじみ、セオドアが結婚するらしい。
失恋には新しい恋で解決!有休をとってハッテン場に行ったエレンは、隣に座ったランスロットに酒を飲みながら事情を全て話していた。すると、エレンの片思い相手であり、失恋相手でもあるセオドアがやってきて……?
「俺たち付き合ってたないだろ」
「……本気で言ってるのか?」
不器用すぎてアプローチしても気づかれなかった攻め×叶わない恋を諦めようと他の男抱かれようとした受け
※受けが酔っ払ってるシーンではひらがな表記や子供のような発言をします
僕の策略は婚約者に通じるか
藍
BL
侯爵令息✕伯爵令息。大好きな婚約者が「我慢、無駄、仮面」と話しているところを聞いてしまった。ああそれなら僕はいなくならねば。婚約は解消してもらって彼を自由にしてあげないと。すべてを忘れて逃げようと画策する話。
フリードリヒ・リーネント✕ユストゥス・バルテン
※他サイト投稿済です
※攻視点があります