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初めての日

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◆◆◆◆◆

『ラ、ライン・・あっ、中に・・』
『くっ、ヤン!』
『はぁ、はぁ、やぁ・・』
『おい、変な声を出すな。操作が狂う』

没入感ゲームで現在、僕はセックスの最中である。まあ、僕はマグロ状態だけど。

『挿入に一時間もかかるなんて予想外。なあ、僕のアバターはこのままにするから、中身はお風呂入ってきていい、ライン?』

『ふざけんな、ヤン!俺の努力をしっかり見てろ!くそ、挿入でこれ程手間取るとは。魔物なら一撃で貫けるのに。お前の体はどうなっているんだ!穴が小さい!穴がちいさすぎる!やはり、『受けアバター』が必要だ。課金して尻穴がばがばのアバターを入手してくれ、ヤン!』

『無課金勢のお前が無課金勢の僕に、尻穴がばがばのアバターに課金しろとか言うなよ!そんなにセックスをしたいなら、お前が資材を使って女になればいいだろ。そしたら、僕がラインに挿入するからすべてが解決だろ?』

『あー、くそ!初手を間違えた。なんで二人で男のアバターを選んじまったんだ!しかも、初期の性別を変える為には、今ままで収集してきた資材を大量に使う必要があるとか。なんだよ、この鬼畜設定は!?』

『運営側は常に無課金勢には鬼畜なのさ』
『達観してんじゃねー!』

何時もは、幼馴染でチームを組み冒険を楽しんでいる。近日、パートナーのみが参加できる大イベントが発生することを知り、話し合いの末にパートナーの資格を取ることにした。

『今のアバターで伴侶行為ができるなら、パートナーになってもいいけどさぁ。課金するぐらいなら、パートナーにならなくていいと僕は思う。イベントはあきらめよ、ライン?』

『諦めるな、ヤン!俺のテクニックが上昇するように応援してくれ。体を動かせ。腰を上げろ!尻を見せろ!』

僕は自室で寝っ転がったまま、コントロールパネルを適当に弄った。

『おお、腰がちょっと動いた!』
『そう?』
『よし、そのまま足を開け』

『無理です、ライン。こちら、睡魔に襲われております。声出しに移行します。いやぁ~ん、ライン。そこ~だよ、頑張ってぇ、眠いよー、残業続きでゲームしてる場合じゃないかも~~』

『俺も残業続きだ!そして、休みは没入感ゲームにどっぷり。もはや、彼女ができる隙がない。そして、今は幼馴染のアバターの尻を掘ろうとして、掘れない状態だ。俺が睡魔に襲われていないとでも思うのか!?めっさ、眠い』

☆☆☆

『スース~』
『グーグー』

寝た。

そして、目覚めたらゲーム転生してた。


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