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勇者を撲殺したい回復役がいる
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◆◆◆◆◆
世界樹の枝から作った治癒の杖で、勇者を撲殺しようとした。だが、失敗した。
「うぉ、痛ぇ!」
「くそっ、身体強化か!」
勇者を森の奥に誘い出して、背後から頭に杖をおみまいした。ガツンと感触はあったが、陥没させられず。俺は勇者から距離をとり、白魔法を杖から放った。
「無詠唱かよ!」
「っ!」
勇者が額から血を流しながら、右に避けて茂みに身を忍ばせる。他のメンバーに知られぬ為に、詠唱して白魔法を無効にさせた。白い光が飛び散るなか、勇者の後を追って茂みに踏み込む。だが、それは勇者の罠だった。
「くそっ!」
気配を消して勇者は茂みの中で獲物を待っていた。足を掴まれそのまま地面に転がされる。体勢を整えた頃には喉元に剣が突き付けられていた。
「回復役が前衛の俺に敵うと思ったのか?舐められたものだ」
「額から血を流しながら言うことか」
勇者は額の血を拭い手にベッタリついた血液を見た。そして、その手のひらで俺の頬をペチペチと叩いた。
「恋人が背後から襲うとは思いもしないからな。油断した結果がこれだ」
「身体強化で身を守っていたくせに。アレがなければ、治癒の杖で撲殺できたのに残念だ」
まだ、治癒の杖は奪われていない。奪わなくても勝てると踏んだのだろう。思い上がりの勇者。俺は杖を男の下半身にあててコツコツと突いた。アレが猛っていて呆れる。
「なんで勃ってるんだよ‥」
「お前こそ‥誘っているのか?」
ギラギラと輝く勇者の瞳は殺意と欲望で乱れていた。そこに愛情を見出だせず、俺はゆっくりと目を瞑る。
勇者と寝たのは殺す機会を得るためだった。それでも、いつの間にか愛情が湧き。ただ抱かれだけなのが辛かった。もっと先を求めてしまった。でも、もう終わりにしよう。俺は目を開き勇者を見た。
「‥俺を襲った理由を話せ」
「世界樹が俺に先見の力を与えた」
「先見の力‥?」
「気まぐれに先が見える。お前が魔王を倒すのも見た」
勇者が眉を上げ俺を見下ろす。額から血は流れず止血が済んでいる。己で回復魔法を掛けたのだろう。すべてが規格外の人間。勇者。
「それは最高の先見だな。で、魔王を俺に倒されてはまずいとでも思ったのか?」
「ああ、まずい」
「お前は‥魔王の仲間か?」
「違う。俺は魔王の敵だ。だから、お前を殺そうとした」
「なぜだ?」
「魔王を倒しても次の魔王が現れる。それは歴史が証明している。それでも、人類は魔王を倒そうとする。希望がうまれるからだ。勇者が生まれ人を唆す」
勇者が顔をしかめる。そして、俺の頬を叩いた。衝撃で耳が痛みを発する。鼓膜がやられたかもしれない。本当に愛はないらしい。性欲のみで抱き合っていたのか‥。
「俺が何だって?」
「勇者が生まれ、俺たちは魔王狩りに駆られる。だが、それはただの罠だ。魔王は世代交代の為に勇者を生み出し、魔王の巣に呼び寄せる。そして、わざと負ける。」
勇者が苛立ちを顕にして俺の髪を掴む
「ワザと負けるだと?違う!俺が魔王を超えて奴を倒す!その為に、多くを犠牲にして生きてきた!その生き方を否定するのか?お前が‥‥俺を否定するのか?」
勇者の瞳が僅かに感情の揺れる。俺はそれを見つめながら言葉を紡ぐ。
「勇者の身には魔王の魂が宿る。魔王の返り血に魔王の種が含まれている。それは勇者の皮膚を裂いて内部に入り血脈に乗る。そうなれば、もう運命は避けられない。」
「魔王の返り血?」
俺は頷き応じる。
「勇者はやがて魔王の種から芽吹いた茨に体と心を蝕まれて‥世界を壊す。俺は見た。お前は悲鳴を上げながら、街を城を仲間を人間を殺していた。」
「あり得ない!」
「‥‥俺も全ては知らない。お前に殺された後の世界を、俺は知らない。だが、言い伝えが確かなら、今の魔王が誕生したときのように、百日は殺戮が続くのだろうな。」
「見てもいない先を語るな!勇者が魔王となるならば、伝承に残っているはずだ!だが、そんな文献は一切ない!」
「百日の殺戮で全てを潰すからだろ」
そう伝えると勇者は不意に笑い出す。声を上げて笑った後、憎しみの瞳で俺を見た。
「お前とは情を交えた。何度も抱いて、お前も俺を求めた。だが、お前は全てを秘密にして俺を殺そうとした。俺を騙したのか、グエン?」
グエンと名を呼ばれて胸がきしむ。
「騙したよ、ダニアン」
「俺を油断させる為に抱かれていたのか。はっ、とんだ淫乱だな‥‥お前は」
「死んでくれ‥‥ダニアン」
「は?」
「命を絶ってくれ」
「自ら命を絶てと言うのか?」
「世界のために死んでくれ、ダニアン」
不意に勇者が俺の服を引き裂いた。あらわになる胸に剣を走らせる。
「ぐっ!」
「従属の印を刻む」
勇者はもう一度胸に剣を走らせた。そして従属の呪文を口に乗せる。抵抗したが無駄だった。体が勇者の従属物に変えられる。
「ぐっ、あぁ‥‥」
「悪いが俺は死なない」
「‥‥ダニアン」
「魔王の返り血を浴びなければよい。そうすれば、俺の体内に魔王の種は入りこまず‥‥魔王の魂も宿らない。そうだろ、グエン?」
「無理だ。俺は先見をした。お前は魔王になる。皆を殺して俺も殺す。街を壊し‥」
「黙れ!!」
勇者の言葉に喉が締まる。従属物になった俺に自由はない。言葉を発せられる黙り込む。
「お前の先見は書き換える。」
「‥‥‥っ」
「服を脱げ、グエン。お前を穿いてやる。悦べ、グエン。お前をこれからも恋人として抱いてやる。そして、最後まで見届けろ。俺が魔王を倒し勇者として凱旋する姿を!」
従属物に自由はない。俺は服を脱ぎ全裸になった。そして、勇者に穿かれた。地面に肢体をくねらせ俺は勇者を受け入れる。
「声を出せ。俺を求めて鳴け、グエン」
「あっ、ダニアン。奥に感じる、中に、あっ、あぁ、ダニアン‥‥もっと、中に‥‥」
俺は勇者を中に深く受け入れ気絶するまで鳴いた。気を失う前に先見をした気がしたが、意識は闇に溶け見失った。
◇◇◇
「グエン‥‥俺は死にたくない。お前と一緒に生きたい。死にたくないんだ、グエン」
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世界樹の枝から作った治癒の杖で、勇者を撲殺しようとした。だが、失敗した。
「うぉ、痛ぇ!」
「くそっ、身体強化か!」
勇者を森の奥に誘い出して、背後から頭に杖をおみまいした。ガツンと感触はあったが、陥没させられず。俺は勇者から距離をとり、白魔法を杖から放った。
「無詠唱かよ!」
「っ!」
勇者が額から血を流しながら、右に避けて茂みに身を忍ばせる。他のメンバーに知られぬ為に、詠唱して白魔法を無効にさせた。白い光が飛び散るなか、勇者の後を追って茂みに踏み込む。だが、それは勇者の罠だった。
「くそっ!」
気配を消して勇者は茂みの中で獲物を待っていた。足を掴まれそのまま地面に転がされる。体勢を整えた頃には喉元に剣が突き付けられていた。
「回復役が前衛の俺に敵うと思ったのか?舐められたものだ」
「額から血を流しながら言うことか」
勇者は額の血を拭い手にベッタリついた血液を見た。そして、その手のひらで俺の頬をペチペチと叩いた。
「恋人が背後から襲うとは思いもしないからな。油断した結果がこれだ」
「身体強化で身を守っていたくせに。アレがなければ、治癒の杖で撲殺できたのに残念だ」
まだ、治癒の杖は奪われていない。奪わなくても勝てると踏んだのだろう。思い上がりの勇者。俺は杖を男の下半身にあててコツコツと突いた。アレが猛っていて呆れる。
「なんで勃ってるんだよ‥」
「お前こそ‥誘っているのか?」
ギラギラと輝く勇者の瞳は殺意と欲望で乱れていた。そこに愛情を見出だせず、俺はゆっくりと目を瞑る。
勇者と寝たのは殺す機会を得るためだった。それでも、いつの間にか愛情が湧き。ただ抱かれだけなのが辛かった。もっと先を求めてしまった。でも、もう終わりにしよう。俺は目を開き勇者を見た。
「‥俺を襲った理由を話せ」
「世界樹が俺に先見の力を与えた」
「先見の力‥?」
「気まぐれに先が見える。お前が魔王を倒すのも見た」
勇者が眉を上げ俺を見下ろす。額から血は流れず止血が済んでいる。己で回復魔法を掛けたのだろう。すべてが規格外の人間。勇者。
「それは最高の先見だな。で、魔王を俺に倒されてはまずいとでも思ったのか?」
「ああ、まずい」
「お前は‥魔王の仲間か?」
「違う。俺は魔王の敵だ。だから、お前を殺そうとした」
「なぜだ?」
「魔王を倒しても次の魔王が現れる。それは歴史が証明している。それでも、人類は魔王を倒そうとする。希望がうまれるからだ。勇者が生まれ人を唆す」
勇者が顔をしかめる。そして、俺の頬を叩いた。衝撃で耳が痛みを発する。鼓膜がやられたかもしれない。本当に愛はないらしい。性欲のみで抱き合っていたのか‥。
「俺が何だって?」
「勇者が生まれ、俺たちは魔王狩りに駆られる。だが、それはただの罠だ。魔王は世代交代の為に勇者を生み出し、魔王の巣に呼び寄せる。そして、わざと負ける。」
勇者が苛立ちを顕にして俺の髪を掴む
「ワザと負けるだと?違う!俺が魔王を超えて奴を倒す!その為に、多くを犠牲にして生きてきた!その生き方を否定するのか?お前が‥‥俺を否定するのか?」
勇者の瞳が僅かに感情の揺れる。俺はそれを見つめながら言葉を紡ぐ。
「勇者の身には魔王の魂が宿る。魔王の返り血に魔王の種が含まれている。それは勇者の皮膚を裂いて内部に入り血脈に乗る。そうなれば、もう運命は避けられない。」
「魔王の返り血?」
俺は頷き応じる。
「勇者はやがて魔王の種から芽吹いた茨に体と心を蝕まれて‥世界を壊す。俺は見た。お前は悲鳴を上げながら、街を城を仲間を人間を殺していた。」
「あり得ない!」
「‥‥俺も全ては知らない。お前に殺された後の世界を、俺は知らない。だが、言い伝えが確かなら、今の魔王が誕生したときのように、百日は殺戮が続くのだろうな。」
「見てもいない先を語るな!勇者が魔王となるならば、伝承に残っているはずだ!だが、そんな文献は一切ない!」
「百日の殺戮で全てを潰すからだろ」
そう伝えると勇者は不意に笑い出す。声を上げて笑った後、憎しみの瞳で俺を見た。
「お前とは情を交えた。何度も抱いて、お前も俺を求めた。だが、お前は全てを秘密にして俺を殺そうとした。俺を騙したのか、グエン?」
グエンと名を呼ばれて胸がきしむ。
「騙したよ、ダニアン」
「俺を油断させる為に抱かれていたのか。はっ、とんだ淫乱だな‥‥お前は」
「死んでくれ‥‥ダニアン」
「は?」
「命を絶ってくれ」
「自ら命を絶てと言うのか?」
「世界のために死んでくれ、ダニアン」
不意に勇者が俺の服を引き裂いた。あらわになる胸に剣を走らせる。
「ぐっ!」
「従属の印を刻む」
勇者はもう一度胸に剣を走らせた。そして従属の呪文を口に乗せる。抵抗したが無駄だった。体が勇者の従属物に変えられる。
「ぐっ、あぁ‥‥」
「悪いが俺は死なない」
「‥‥ダニアン」
「魔王の返り血を浴びなければよい。そうすれば、俺の体内に魔王の種は入りこまず‥‥魔王の魂も宿らない。そうだろ、グエン?」
「無理だ。俺は先見をした。お前は魔王になる。皆を殺して俺も殺す。街を壊し‥」
「黙れ!!」
勇者の言葉に喉が締まる。従属物になった俺に自由はない。言葉を発せられる黙り込む。
「お前の先見は書き換える。」
「‥‥‥っ」
「服を脱げ、グエン。お前を穿いてやる。悦べ、グエン。お前をこれからも恋人として抱いてやる。そして、最後まで見届けろ。俺が魔王を倒し勇者として凱旋する姿を!」
従属物に自由はない。俺は服を脱ぎ全裸になった。そして、勇者に穿かれた。地面に肢体をくねらせ俺は勇者を受け入れる。
「声を出せ。俺を求めて鳴け、グエン」
「あっ、ダニアン。奥に感じる、中に、あっ、あぁ、ダニアン‥‥もっと、中に‥‥」
俺は勇者を中に深く受け入れ気絶するまで鳴いた。気を失う前に先見をした気がしたが、意識は闇に溶け見失った。
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「グエン‥‥俺は死にたくない。お前と一緒に生きたい。死にたくないんだ、グエン」
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