愛がないと子供ができない世界で、何故あなたと子供ができたんでしょうか?

飛鷹

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愛がないと子供ができない世界で、何故あなたと子供ができたんでしょうか?

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貴族の結婚には政略は付きものだ。
それは僕も知ってる。

「マグ、お前今度はいつまで王宮に詰めるんだ?」

僕の伴侶であるキラが冷たい顔で聞いてくる。キラってこの冷たい顔か無表情がデフォだけど、笑った事なんてあるのかな?

「3日。それで仕事の区切りが着くはずだから、戻ってくる。でも都合が悪いようなら、調整するから連絡くれる?」

「……はっ、何だそれ?」

更に機嫌が悪くなって、睨むようにこっちを見るキラに、僕は内心ため息をついた。
僕達は半年前に結婚した。そう、派閥とか加味した完全なる政略結婚。

でもこの結婚が上手くいく筈がない事なんて、多分貴族なら誰でも知ってると思う。その位キラは僕のことを嫌っていた。
それこそ貴族学院に在席していた時から。
それでも建前上婚姻を結ぶしかなかったんだから、この機嫌の悪さも仕方ないか。

「君のプライベートの都合もあるだろ?僕が居て都合が悪い事があるなら連絡をって言ったの。そうしたら僕、一旦実家にでも戻ってるから」

「…………」

そんな怖い顔しなくても、ちゃんと知ってるよ。君がとても大事にしているルファ君と、僕が不在の間に逢瀬を重ねてることくらい。

「じゃ連絡宜しく。行ってきます」

ひらりと手を振って玄関の扉を開けた。チラリと目の端に映るキラは僕から視線を外さず、変わらず睨みつけている。 
その顔を見なかった事にして、僕は玄関を出てパタンと扉を閉めた。

はー……やっとまともに息ができる。

コキコキと首を鳴らして、待機していた馬車に乗り込んだ。
この国は政略結婚も普通に行われているけど。不思議なことに、愛がない夫婦もしくは夫夫には子供は授からない。
要は政略結婚だってお見合い結婚だって、共に過ごす内に愛を育みなさいよって神様の教えらしい。

ちなみに、婚姻関係にない人との間に子供ができないように、妊む側は神殿で神聖契約を結ぶ。離婚が成立して契約解除をするまで、子種を貰えるのは伴侶唯一人。

でもね、僕とあいつは無理。100%無理。
だから、子供は確実にできない。

子が成せないまま3年が過ぎると、その夫婦(夫夫)には愛が育たなかったという事で離婚することができるんだ。

こればっかりは相性もあるし、時々離婚する貴族はいる。だから離婚したからって肩身が狭い思いをすることはないはず。
あと2年半、睨まれる日々が続くのはウンザリするけど、長い人生でのたった3年だからって自分に言い聞かせてるよ。

はぁぁぁ………。

でも睨まれるより辛いこと。 
夜の営みをちゃんとしなきゃ、3年後の離婚が成立しないんだ……。お互い頑張ったけど、無理でしたって証明のために。

僕の仕事の予定を聞いたのだって、をこなす義務があるからだ。そして、だからこそあんなに機嫌が悪かったんだと思う。

流れていく景色を馬車の窓枠に肘を着いて眺める。
僕だって、最初っからこの結婚を諦めてた訳じゃない。
学生の頃から僕を嫌う様子を見せるキラだけど、歩み寄ればもしかしてって思った時もある。

でもいつでも睨んでくるし、必要な時以外は言葉も交わさないし。
これじゃ、育めるモノも育めない。

こうなってくると、夜の方も苦痛で仕方なくて。せめて必要最低限にしてくれたらって思うけど、何でか毎回律儀に僕の予定を聞いて夜這よばいに来る。

3年の縛り以外に、回数をこなせば離婚までの期間が短くなるとかあったっけ?
ふわわ…と欠伸をもらしつつ、王宮の門を通過したのを見て気を引き締めた。

今日から3日間は文官の戦場、決済の時期だ。
毎年、徹夜の日々になるからウンザリするけど、この時以外は穏やかな仕事が多いから頑張って乗り越えないと。
気持ちを切り替えて、書類が舞い散る自部署に脚を踏み入れたのだった。



☆★☆★


「マグ、お疲れ様~」

ポンポンと背中が叩かれ、労いの言葉が降ってくる。僕は力なく机に突っ伏したまま、声の主に礼を伝えた。

「ありがとうー……ダスティ。君が手伝いに来てくれなきゃ、今年こそ死んでたよ僕……」

「今年は特にキツそうだったね」

「うん。書類の不備も例年より多かったし、割と大きな国の立ち上げ事業もいくつか重なってたからね」

ふぅぅぅ~……と大きく息を吐き、身体を起こした。
流石に連続の完徹は辛い。早く帰って寝たい……。

「マグさ、結婚してから気が休まらないんじゃないの?だからそんなに…………」

心配そうなダスティに、僕は緩く笑ってみせた。
ダスティは幼馴染だ。僕と同じ文官だけど、体格も良くて剣が扱える彼は騎士団の方に所属してるんだ。

だから地獄の決算時期も、仕事に支障はないからって手伝いに来てくれる。本当に良いヤツ。

「まぁ、どうしたってあの家が、今の僕の家だからね。気が休まるとか云々より、体裁考えて帰らなきゃ」

「そんなにキツイなら、俺の所に来ても良いんだぞ?」

「ふふ、ありがとう。でも家出ちゃうと、離婚の成立が難しくなるから……」

「……そんな話しがもう出てんの?結婚して半年なのに?」

気遣わし気に眉を顰める彼に、肩を竦めてみせた。

「僕達の仲の悪さは学生の時から有名じゃないか。家の利益の兼ね合いで婚約破棄は叶わなかったから、せめて離婚はスムーズに進めないと」

「マグ……」

口を継ぐんだダスティは、ポンっと僕の頭に手を置いて優しく笑った。

「どうしても辛かったらウチにおいで。一時的な避難なら離婚にも問題はないから」

「いつも心配してくれてありがとう。心強いよ」

にっこり笑って感謝を示す。そっと頭に置かれた手を退けると、僕は纏めた荷物を持った。

「取り敢えず、眠くて死にそう。今日は帰るね」

「分かった。オヤスミ」

まだ日が高い時間にかけられた夜の挨拶が可笑しくて、クスクス笑いながら迎えの馬車が停めてある所に向かった。
ふと、足を止める。そう言えばキラからは何の連絡もなかったけど、帰って大丈夫だろうか?
首を捻るけと、先に見える広場には家紋が付いた馬車が迎えに来てるから、大丈夫だろう。

再び歩き出そうとした時、不意に声をかけられた。

「あれ、マグじゃない?まだキラに縋り付いてあの家に居るの?」

嘲るような響きにゆっくり振り向くと、予想通りそこにはルファ君が腕を組んで立っていた。
可愛らしい顔立ちなのに、僕を見つめる瞳は悪意に満ちてて残念な感じに歪んでいる。

「ルファ君、御機嫌よう。言っている意味は分からないけど、キラは僕の伴侶だからね。共に暮らす事に何の不思議もないと思うよ」

「あっそ。あ、そうそう、君、ずっと王宮に泊まり込みだったね。お陰でキラと楽しい日々を過ごせたよ、ありがと」

ニヤリと笑うルファ君に、僕はため息をついて答えた。

「楽しめたんなら良かったよ。じゃあね」

僕は眠いんだ。サックリ会話を終わらせて馬車に向かう僕に、ルファ君は忌々し気に叫んだ。

「余裕振れるのも今の内だけさ!3年後が楽しみだね!!」

「そうだね。僕も楽しみだ」

くすっと笑って答えると、振り返ることはせず馬車に乗り込み帰路に着いた。




家に着くと、ぴしりと身なりを整えた執事が迎え出てくれる。

「マグ様、お帰りなさいませ」

「ああ、戻りました。早速で悪いけどお風呂の準備をお願い。上がったらそのまま寝るから、食事は要らないよ」

「夕食をご一緒にとキラ様から言付かっておりますが、お戻りなられましたらそのようにお伝え致します」

顔色が悪くてフラフラの僕を見かねて、執事はそういってくれた。主の言は絶対だろうに……。

「うん、ありがとう」

お礼を言って、荷物を置きに部屋に向かう。窓際の机にトスっと書類を置いて、僕は伸びをしつつ欠伸を漏らした。この職に就いて丸2年。

この決済時期が年々辛くなるのは、年だから?

書類を全て揃えて提出した後の先輩方の、徹夜明けのハイテンションを思い返すと、年って言うより絶対に体力の問題かも……。

ふわわ…ともう一度欠伸を漏らすと、浴室へと向かった。

「ふぅ………」

湯に浸かると凝り固まった筋肉が解れて、気が抜ける。
熱すぎないお湯の温度が気持ち良くて、湯船の縁に頭を預けて天井を見上げた。


あ―――……、これ、ダメなヤツだ。寝ちゃうね、絶対……。

きっと目が醒めたら湯冷めしてるパターンだな、と思いつつ、重い瞼は意志に反してゆっくりと閉じていった。




夢の中で、逆光で顔がハッキリ分からない誰かがクスクスと笑う。
これ誰だっけ?首を傾げる。幼い姿に、ああ…と心当たりが浮かんだ。
多分、ダスティだ。幼馴染は彼しかいないし。

でも彼は濃いめの金茶の髪なのに、この子は蜂蜜みたいに濃いキラキラの金髪だな……。
成長して髪の色が変わる事はあるけど、コレはちょっと違い過ぎだね。
ソロリと手を伸ばして髪に触れると、その子は擽ったいそうに肩を竦めて、でも逃げる事なく笑ってくれた。

何だかとても懐かしい……。

目を細めて彼を見つめる。胸に暖かな気持ちが湧き上がってきた。不思議と、成長したダスティには感じない気持ち。

コレは、『愛おしい』?僕は君が好きだったんだろうか?
金髪のその子は、僕に手を伸ばして同じように髪を撫でてきた。梳くように優しく労る感じ。

この子は本当にダスティ?ねぇ、君なの?

「………ダスティ………?」

夢うつつに呟くと、バシャン!と大きな水音がした。
余りにも近くで響いた音にビクリと身体が反応し、パチッと瞼を開ける。
そこには浴槽に腰掛けて、僕の顔の横に手を着いて顔を覗き込むキラの姿があった。

今の水音は彼のせい?

びしょ濡れの袖を気にする事なく、怒りが滲む瞳で僕を見据えた。

「家に帰って来たと思えば、他の男の名前を呼ぶのか」

苛ついているのは分かるけど、寝惚けている僕の頭では一体何がどうなっているのか分からない。

「……え、と……?」

上手く言葉を返せない僕の腕を掴むと、キラはそのままベッドルームに引き摺っていく。
身体を拭く間もなくて、カーペットがお湯でべちゃべちゃだ。
慌てて腕を振り払おうとしても、貴族学院を卒業した後に騎士団でみっちり鍛えられた腕は力強くて離れない。
ドンっとベッドに突き飛ばされて、僕は仰向けに転がった。
起き上がる隙も与えずに、キラは僕の身体に伸し掛かる。

「え?あ……?ちょっと……っ!」

身体をまさぐり始めた手を慌てて押し留めた。キラは射殺しそうな視線を向けたかと思うと、僕の腕を一纏めにして頭上に縫い止めた。

「婚姻を結んだ以上は、これもだろ。邪魔するな」

冷やかな声に心臓が一気に冷える。真上から見下ろす彼の顔が、さっきの夢と同じように逆光となって分からない。
ランプの僅かな光を受けてキラキラと輝く髪すら同じで、僕は酷く混乱した。

これは夢?それとも現実?

身体を強張らせる僕を気遣う事なく、再び指を這わせた。

ベロリと鎖骨を舐めて、ゆるゆると唇が肌を這う。胸の小さな突起に辿り着くと、少しザラつく舌を絡め嬲り始めた。時折、カリっと強く歯を立て齧られる。

「……あ…、っは……ん、………っ」

我慢しようと思っても、熱が籠もり始める。
まだたった半年の結婚生活なのに、もう既に数え切れないくらい彼に抱かれて、快楽というモノを教え込まれた身体。

これから何をされるのか、知ってるからこそ抑えることができない興奮が湧き上がる。
いつも以上に性急で、いつも以上に荒々しい行為に、僅かな恐怖心が首を擡げる。
でも結局は暴力的な快楽に宥められ、恐怖心は鳴りを潜めるのだった。

変わらず胸を嬲りつつ、キラの腕はそろりと脇腹を辿り後孔に行き着いた。つぷん、と1本の指が侵入してくる。

ぴくんっと身体が跳ねて背が反ると、嬲られていた胸が唾液で淫靡に滑り姿を現した。

ねぶぶられ、吸われ、齧られ……散々刺激されたそこは薄っすらと赤く腫れていて、僕は恥ずかしくて視線を反らした。
僕の反応に抵抗する気配が無いことを感じたのか、キラは腕の拘束を解く。スルリと背中に手を回しグッと持ち上げると、再び胸を刺激し始めた。

胸を押し付けている様な姿が更に羞恥心を刺激する。思わず身をよじじると、キラは唸るように呟いた。

「……逃げるな」

吐く息の熱さが胸を更に刺激する。

「…ん…っ」

小さく息を詰めると、キラは目を眇めて僕を凝視した。

「他の男の名前を呼ぶクセに……。刺激を与えるのが誰でも反応をするのか」

「な……に…?」

ぼんやりと返す僕に苛立たし気な舌打ちをすると、後孔に差し入れる指を増やして苛み始めた。
グチグチと淫猥な音が響く。

「あ、だ…め、ソコ……ダメ……っ!ぁぁぁあ、や……っ!」

一際大きく身体が跳ねて、僕は欲を吐出した。

「…っつ……」

徹夜続きだった身には、過ぎる快楽はキツくて堪らない。眉根を寄せてキラの様子を伺うと、濡れ場の真っ最中だというのに彼は欲に塗れる事もなく、冷やかな顔のままだった。

―――まあ、だしね……。

そっと視線を反らして瞼を閉じる。
その投げやりな態度が気に入らなかったらしく、キラは自身の昂りを一気に押し入れてきた。

「イヤイヤ抱かれているのが丸分かりだな。少しは柔順になる気はないのか…」

嫌味と共に、僕の深い所を抉る。

「それに婚姻を結んだというのに、まだ仕事を続けるのはどういう了見だ?」

ズンズンと、最奥に刺激がくる。僕も知らない僕の身体の深部を暴かれる恐怖が、ゾロリと忍びよってくる。

「はっ………あ、だって…、3…年後……仕事がないと…。困るっ……し…、あ、あ、あ、あ……っっ!!」

「……。3年?」

ぱぁん!!と一際強く腰がぶつかる。稲妻が身体を巡るような刺激に、はくり…と空気を求めて口が開く。

「……、っつ!?お前っ…はっ!!」

何かに思い当たったのかキラはギリギリと歯軋りをしたかと思うと、なんの遠慮もなく僕を攻め立て始めた。

「や!あ、やっ!!いや!……しぬ…、しんじゃうよ…!ぁぁぁあぁあああっ!!」

ガクガクと身体が揺らされる。最早、快楽なんて生温いモノではない感覚に身体が蝕まれていく。
抑える事もできなくて、僕は何度も白濁を吐き出して全身を戦慄わななかせた。

「キ……ラっ…、キラぁ…っ…、もう許して………」

啜り泣き懇願すると、キラは無表情のまま大きく腰を動かしナカを抉ったまま奥に子種をぶちまけた。

「ぁ………っ、熱い…。お、く……熱ぃぃぃ………」

感じるキラの熱に浮かされたようになって、僕は下腹をそっと撫でた。
愛し合う事さえできれば、ココにその証が宿るのに……。

そんな日は来ない。

漸くキラが欲を出し切り僕の中から抜け出た時には、僕は疲労困憊で意識を保つのも難しい状態だった。

ふぅっと息をつき、僕は深い眠りの世界に半ば失神する感じで落ちていったいった。




結局、完徹後の激し過ぎる夜の営みに、僕の身体は耐えきれなかったみたいで、熱を出して寝込んでしまった。
全部が全部、僕が悪い訳じゃないけど、体力がないのも一因だよね……。

ふぅ…とため息をついて、快復したら運動しようと心に決める。
それにしても、暑くてたまらない。熱が内に籠もって、発散できずに蠢いているみたい。

瞼を開けて、とろんとした瞳で窓の外を見る。

まだ寒さが残る季節。夜ともなれば、空気は更に冷たくツンっと澄んでいて、今の僕には堪らなく気持ちが良いんじゃないかな……。

キシキシとあちこちが痛む身体を何とか起して、そっとベッドから抜け出す。
カチリと鍵を開けて、硝子扉を押してバルコニーに足を踏み出した。途端にひんやりとした空気が火照る肌を滑り、心地よさを与えてくれる。
―――冷たくて気持ち良い……。


バルコニーを飾る繊細な模様の柵に手を着く。見上げた空に、冷たく金色に輝く月。

―――キラみたい……。

少しだけ空に手を伸ばしてみたけど、ふっと自嘲してその手を引っ込めた。
美しくて、冷たくて、手が届かない、そんな存在。
気安く触れて良い存在じゃない。決して側には寄れない、遠い人。

どんなに想っても、どうにもならない。

この内に籠もる熱と同じで、さっさと冷えてしまえば楽になれるのに……。
病で気弱になっているのかな…?

普段は奥底に閉じ込めて見ないようにしている感情が、ふわんふわんと揺蕩いゆるゆると立ち昇ってくる。
そう……。見ちゃダメ。気付いちゃダメ。

見てしまったら、気付いてしまったら、3年後に辛くなるのは自分自身なんだから。
小さく首を振り、部屋に戻ろうと踵を返した。

その時、くらりと視界が揺れて力が抜ける。倒れる!とは思ったけど、咄嗟には何もできなくて衝撃を覚悟して目を瞑った。

だけど衝撃はこなくて、代わりにぽすんと誰かの腕に受け止められて、胸元に抱き込まれたのが分かった。あれ?っと顔を上げると、そこにはキラが居た。

「……ありがとうございます…?」

何でここにいるんだろう?と思いつつ、お礼を伝える。
訝しげな表情の僕に気付いたのか、キラは無表情から少し気不味そうな表情へと様相を変えた。

「ここで何をしている」

「あ、えっと…暑くて。少し涼もうかな、と」

「冬の夜に何を考えている。熱があるんだ、不用意に動くな」

短く吐き捨てると、羽織っていたガウンを僕にふわりと掛けた。
そして断りもなく僕を抱き上げると、さっさと室内に戻ってベッドに押し込んだ。

「夜風は身体に良いものではない。冷やし過ぎる」

ベッドサイドのテーブルにあった手桶にタオルを浸して軽く絞り、僕の額に乗せる。

「これで我慢しろ」

なんとも不器用な優しさに、ふっと笑いが零れた。

「……何だ?」

じろっと睨まれるけど、今日はいつもの迫力がなくて怖くない。
そんな事は言えなくて、僕はシーツを引き上げて顔を隠して誤魔化した。キラは僕をじっと見つめている様子だったけど、小さく息をつくと立ち上がって何も言わずに去って行った。

本当に何しに来たのかな?様子見に来てくれたのだったら嬉しいんだけど……。
ふと思ったけど、その内容に改めて気付いて大きく首を振った。

ダメだなぁ……と嘆息する。
病は気を弱くする。明日から、またちゃんとしよう。
大丈夫。君に気がない振りをするのは得意だ。表情だっていくらでも作れる。

だけど今晩だけは、自分の気持ちに素直に………。

ふふっと笑いが出るのに、シーツに隠した瞳から涙が溢れて止まらなかった。



★☆★☆★


熱も下がって、またいつも通りの生活が始まる。
決済時期以外はゆったりとした職場で仕事を熟し、偶にダスティと食事をして、時折ルファ君に嫌味を言われる、そんな生活。

ただキラに睨まれる頻度は減った気がする。というか、キラが物思いに耽る時が増えたみたい。
あの夜にうっかり、仕事を辞めないのは3年後に困らないようにって言ってしまった。

僕が離婚の成立後を見据えてる事を知って、彼もルファ君との新たな生活について計画でも立てているんだろうか?
離婚して新たに配偶者を迎えるとなると、確かに準備期間が3年……実質2年半じゃ厳しいかもね。

大変だな、と思うけど、所詮は他人事。僕が口を挟む必要もなく、ただ見守るだけ。

そんな毎日を淡々と過ごして、緩やかに時は流れていった。

その日は朝から体調が優れなくて、朝食を食べる事ができなかった。
ストレスかな?目眩が酷い。クルクル視界が揺れるから、ジワリと吐き気もする。
胸元を擦り、オレンジジュースだけを飲むと僕は職場に向かうべく立ち上がった。

「……。食べないのか?」

「あ――、うん。ちょっと疲れてるみたい。食べたくない」

眉間にシワを寄せて聞いてくるキラに、何でもない風を装って答える。

「お昼にスープでも食べるよ。じゃ、お先に」

いつも通りに馬車に乗り込む。普段なら気にならないカタカタと揺れる振動が、今日に限って辛くて堪らない。

休むべきだったかなぁ…と思いつつ、胃を押さえて背中を丸める。ジワリと脂汗が浮かぶ頃、王宮に到着して馬車は動きを停めた。
暫くは動けなくて、目を閉じて気分の悪さを遣り過す。

少し落ち着いてきた頃合いを見計らって、そろりと馬車から降りた。
ゆっくりと王宮内の廊下を進み、この階段を登れば職場である部屋にたどり着く筈だった。
あと数段で登り切るって時に、階段上の踊り場にルファ君が現れた。

「アンタ、いい加減にキラを解放してあげたら?」

いつもよりイライラしてるみたいだ。いつもなら朝から絡んで来ることはないのに。

「おはよう、ルファ君。何を言っているのか分からないよ?」

「さっさと離婚しちまえって言ってんの!」

「3年の縛りがあるから、まだ無理だよ。残念な事にね」

気分の悪さをひた隠し、僕は肩を竦めて見せた。

「何、知らないの?最近、神殿の聖令が変わったの!お互いが同意すれば3年待たずに離婚できるって!」

ビックリして瞬く僕に、ルファ君は蔑む様な瞳を向けた。

「だから、さっさと離婚しちゃえよ!僕達の邪魔すんな!」

軽く肩を小突かれる。本当に軽くだったと思うけど、体調が悪い僕は踏ん張る事ができなくて。
呆気なく身体は宙に浮き、転がるように階下に転落してしまった。
ドタタタッと激しい音が響いたから、近くの部屋から人が飛び出してくる。
僕の部署も近い所に部屋があって、慌てふためく同僚達の姿もあった。

ああ、こんなんなら今日は仕事休めば良かったなぁ……と思いながら、僕は意識を手放したのだった。





「…………。」

「――――ですから………それは……。ええ、間違いなく…」

誰かが喋っている声がする。
よく聞こえないけど、誰かと会話をしているみたいだ。

「……んっ…、」

僕はゆっくりと瞼を持ち上げて、話をしている人物に目を向ける。
相変わらずグルグルと視界は回り、吐き気も強い。挙げ句に全身痛くて。
思わず泣きそうになってグッと堪えた。

「大丈夫ですかっ!?」

目覚めた僕に気付いて顔を覗き込んてきた人は、王宮内の医務官だった。白衣を着用してるから直ぐに分かる。

「マグ様、階段から落ちたんですよ?覚えてます?」

「あ…、はい」

「検査は一通りしました。幸い打ち身だけで、頭にも骨にも異常はありません。」

それは良かった。ホッと安堵する。
怪我をして仕事を休むなんて騎士だけだ。文官じゃあり得ないからね。
医務官は、僕の様子を伺い探るように聞いてきた。

「最近、お身体の調子が悪い事はありませんか?」

「身体…ですか?」

え?っと思いながら聞き返しつつ、首を傾げた。

「目眩が少し?そのせいか、食事があまり入らなくて…」

最近の症状を上げると、医務官はウンウンと頷く。

「そうですか。確認のためにお伺いしましたが、これで確定ですね」

「何がですか?」

「ご懐妊ですよ。検査の時に引っ掛かりまして。詳しく追加検査をしたんです。症状からも間違いないですね」

にこやかに告げる医務官に、僕はポカンとした顔を晒した。

ご懐妊……?懐妊って………え??
自分の薄い腹を見下ろす。

え?子供……?何で……。

訳が分からなくて混乱する僕に、冷やかな声がかかった。

「………誰の子だ?」

今迄に聞いたことがないくらいキラの冷たい声。あらゆる表情を削ぎ落とし、いっそ恐ろしいまでの無表情なのに、瞳は憎しみの光が揺れている。

「…………っつ!!」

思わず息を飲み、ギュッとシーツを握り締めた。
キラの言葉に、医務官はギョっと目を見開いて僕を見てくる。
居た堪れなくなって、僕は痛む体を宥めつつ身を起こした。

「言いがかりは止めてください。婚姻を結ぶ時に神聖契約をしたのをお忘れですか?」

キッと睨んで言い返すと、キラは蔑む様な視線を向けてきた。

「最近神殿も聖令を変えていると聞く。神聖契約も金次第で解約出来るようになったのかもな」

全く僕を信用していない口振り。
僕だって、何で子供が宿ったかなんて分からない。
今分かる事は1つだけ。

僕を信用しないキラとはもう一緒には居られない。

かぶりを振って、僕は憎しみを湛えたままのキラの瞳を見つめた。

「そうですね、聖令を変えている話しは、僕もさっき耳にしました。何にせよ、今あなたと話す事はありません。ここから出ていって頂けますか?」

丁寧な言葉で退室を促す。恐らく近々他人になる人間に、今迄の様な言葉は使えない。
淡々と告げる僕に、ギリっと唇を噛み締めてから足音も荒々しく立ち去って行った。

ふぅ………と肩を落とすと、今迄見守っていた医務官が背中にクッションを入れてくれた。
その気遣いに感謝しながら、謝罪を口にする。

「すみません、お見苦しい場面を……」

「いや、いいよ。…噂には聞いていたから。それより…えっと大丈夫?」

幾分砕けた言葉になった彼は、そっと尋ねてきた。

「はい、僕は。あのこの子には、階段から落ちた影響はありませんか?」

「うん、大丈夫。強い子だね」

その言葉に、薄っすらと笑みが零れた。『強い子』、か。
さすさすとお腹に触れる僕に、医務官は優しく微笑んでくれた。

「凄いね。君は既に親なんだね」

その言葉に驚いて目を見開いた。

「親?」

「そう。家族関係がどうあれ、子を気遣い労るってのは親の愛情からくるものだからね」

「そ、う、ですか…」

そっか。僕はこの子の存在に驚きはしても、無意識に受け入れているんだ……。
ゆっくりとお腹を擦る。そっかぁ………。

「ねぇ、少し話しに付き合える?」

カチャカチャと音が響き、医務官は薬湯が入ったカップを差し出して僕に聞いた。
悪阻の症状を抑える効果がある、その薬湯を有り難く頂きながらコクリと頷いた。

「キラはさ、僕の少し遠い親戚なんだよ」

突然の発言に驚く。何だろ、今日は驚いてばかりだ。

「昔ね、キラには一目惚れした子がいたんだよ。彼の領地に母親とともに保養に来た貴族の子。すっごく可愛いって、毎日惚気けてたよ」

「そうですか……」

何で突然の昔話?よく分からないけど、頷く。

「昔っから無愛想な子でね。あんまり笑う事もない子だったけど、その子にだけはいつもキラキラした笑顔を向けていたよ」

そっと口に含む薬湯が、ちょっとだけ苦く感じた。

「その子の母親の体調が良くなって、王都に戻るって時にさ。キラのやつ、その子に結婚の申込みをしたんだよ。まだ10歳の子供なのに!早熟過ぎて笑っちゃうだろ?」

10歳!確かに早熟かも。
この国では、どんなに政略的な観点でも婚約を結ぶのは14~15歳くらいだ。
今の冷静、冷徹な彼からは想像もつかなくて、本当の話しなのか疑ってしまいそう。

「情熱的だったんですね」

「ふふ、そうとも言うね。相手の子もキラを気に入ってたみたいで、直ぐに頷いてくれたんだって……それは嬉しそうだったよ」

王都より少し離れた自然豊かな土地で、キラキラな笑顔を浮かべる彼は、さぞ可愛かっただろうな。
さっき迄心が冷え込むくらい、辛くて哀しかった気持ちが和らぐ。

「でもね、彼らが王都に向けて旅立った後。彼らが乗った馬車は、泥濘んだ道で滑って川に転落してね。母親は亡くなって、川に流された彼は5日後に下流域で発見されたけど、保養所での記憶を全て無くしていたんだよ」

チリっと身体の奥底に、何かが走る。何だろう、この違和感?

「それは……キラは知って……?」

「彼が知っているのは、事故の事と彼の母親が亡くなったこと。記憶が無くなったことを知ったのは、14歳で貴族学院に入った時だ」

「…………」

チリチリと、何かが身を焦がす。

「キラはね、彼を見つけて喜んで駆け寄ったみたいだよ。愛しい大事な人だからね。でも、彼は覚えていなかった。あの日の約束も、彼の事も。何ひとつ」

言葉が出ない。何で?

「ねぇマグ、………キラの初恋の人は君だね?」

カタカタと震える手から、医務官はカップを取り上げてサイドテーブルにそっと置いた。

「あの時からキラは変わったよ。元から淡々として子供らしくない子だったけど、君にだけ激しい執着を見せるようになった」

クシャリと前髪を握りしめて、僕は呻いた。

――――知らない。覚えていない。

お母様が事故で亡くなったのは、聞いていたから知っている。
10歳より前の記憶が曖昧なのは……。でもダスティが色々昔話をしてくれて、記憶の足りない部分は補えたはず……。

ふるり、と身体が震える。

ダスティ…君は僕の幼馴染だよ…ね?

「学院では君の側に、幼馴染の彼がずっとくっついていたね?キラはいつも忌々しそうに睨んでいたよ」

ビクンっと肩が跳ねる。

「それでもキラは君を諦める事ができなくてね。色々裏から手を回して、君の婚約者の立場を手に入れたんだよ。我が親戚なから、恐ろしい子だ」

苦笑いを零しつつ、彼は立ち上がった。

「さて、昔話はここまで。馬車を呼んであげるよ。ちゃんと帰るんだよ」

優しく微笑むと、彼は馬車を呼ぶべく医務室を出て行った。
その後ろ姿を見送った僕は、激しく混乱して頭を抱える。
家に帰れ、と彼は言った。
それはつまり、逃げるなと、ちゃんと話し合えと、釘を刺したんだろう。

何をどう話せばいいんだ?

バクバクと嫌な鼓動を繰り返す胸を押さえて、僕は混乱したまま家に帰るしかなかった。


馬車を降りて玄関を潜る。いつもは執事が出迎えるのに、今日は恐ろしい程に静まり返って人の気配すら感じれなかった。

キラは居るのかな?

キョロキョロと辺りを見渡すけど、その姿はない。
すると、2階で何かが割れた音が響いた。
ハッと上を見上げる。
自分の部屋だろうか?

まだズキズキと痛む、打撲跡だらけの身体を引き摺って階段を昇る。その間にも、部屋を破壊してるような凄い音が鳴り響き、扉の前で立ち竦んでしまった。

でも、ここに立ち尽くしていても、何も解決しない。
僕は意を決して、扉を叩いた。

「キラ?僕だけど。話がしたいんだ」

「………」

返事はないけと、さっき迄暴れる音がしたんだ。絶対に中に居る。無視なんてさせない。

「暴れたって、なんにもならないよ。ここ、開けて?」

「………煩い」

「……話し合う勇気すらないの?」

ムッとして挑発する言葉を口に乗せると、予想通り険しい顔をしたキラが扉を開けて乱暴に僕を中に引き摺りこんだ。

バンっ!!と激しい音を立てて、僕の顔の横に拳を叩きつけてくる。
逞しい腕に囲われて、上から睨み下ろされて、僕の逃げ場はない。でも逃げるつもりもないから、別にいい。

「何しに来た?弁明でもするつもりか?」

「さっきも言ったでしょ?話がしたい」

はっ!と嘲るような笑いを零す。

「何の話し合いだ?離婚のか?子ができたから、さっさと別れると?」

睨む瞳に憎しみと、僅かな哀しみが見え隠れしている。
僕はそっとキラの頬に手を伸ばした。

「キラはいつも僕の気持ちを聞かないね」

「……っ!!」

目を見開いたキラは、次の瞬間僕の手を激しく握り締めた。

「聞いて……聞いて、どうする?嫌いだと言われたい訳じゃない……っ!3年後を楽しみにしていると、そんな言葉を聞きたい訳じゃない!!」

ふと、引っ掛る。その言葉………。

「ルファ君に聞いたの?」

「……お前がそう言った、と。彼奴はいつも纏わりついて鬱陶しいが、お前の気持ちを知らせてくる」

「僕の言葉を直接聞くんじゃなくて、他の人から聞くんだね。そしてそれを信じるの?」

「お前は俺と話すのを嫌がるだろう」

「嫌だよ。だってずっと睨んでくる人となんて、怖いよ」

ピクリと眉が動く。握り締めていた僕の手を掴む力が僅かに抜けた。そして僕を睨む目をそっと反らして、悔しそうに唇をかんだ。

「キラ、僕は神聖契約を解除していない。調べたら直ぐに分かる事だよね?」

「………。」

「だから僕は君以外から子種を得ることは出来ないんだよ。ね、キラ?この意味が、君には理解できてる?」

じっと視線を反らしたままのキラを見つめた。

契約は継続中。
子種は、キラから得られない。そして、2人の間に子供ができた。

簡単な事。答えは直ぐそこに、ちゃんとあったのにね。
大きく目を見開き、息を飲む気配がした。ばっ!と凄い勢いで顔を僕に向ける。

「マグ…、まさか……?」

「……キラはいつも僕の気持ちを聞かないね」

もう一度、繰り返す言葉。

「マグ、お前は俺の事をどう思っているんだ?」

「……やっと聞いた」

にっこりと笑うと、キラは愕然とした顔になった。

「キラが、好き。キラだけが好き。でもずっと嫌われてると思ってたから、子共ができなくて3年後には離婚だと思ってた」

「…ば、かな…事を…。」

震える手で口元を覆う。

「僕、自分の子供の頃の記憶が曖昧なのは、単に成長の過程で朧気になったんだって思ってたよ。まさか記憶を無くしてるなんて、全く思わなかった」

恐らく1年にも満たない短い間の記憶。日常の記憶なら無くしてもたいして影響のないくらいの期間。
まさかそこに、大事な約束があっただなんて。そしてそれを忘れているだなんで、欠片も思わなかった。

「ねぇキラ。この子は誰の子?」

そっとキラの手を取り腹に導く。まだまだ子が居る気配すらない、薄い腹。
ぐっと僅かに腕の筋肉に力が入ったのが分かる。

「俺の…子だ」

ぽたりと雫が落ちてくる。温かな、優しい雫。願わくば、そこに喜びが混じっていて欲しい。

「俺の子供だ」

僕の髪に顔を埋めて、キラは囁くように呟いた。

「マグ……ごめん。――――――ありがとう」

キラの胸に頭を預ける。背中に腕を回して、優しく抱きしめた。

「うん」

何もかも後手後手の僕達だけど、きっと家族になれるね。
僕の呟きに、キラはキツく抱き締めることで答えてくれた。

これからは、きっと幸せに…………。









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