“絶対悪”の暗黒龍

alunam

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第九話  ドラゴンと進化と

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  どこにそんなにいたんだよ!?
2メートルから3メートルクラスのサイクロプス達が、わらわらと沸いて来ては俺達を遠巻きに囲んでいる。
 10体ちょいか?まだ襲って来ない所を見るとまだ戦力が整っていないか、俺を警戒してるのか?

 幸い、向こうが登山側、俺達の方が下山側だ・・・俺がここで食い止めて、その間に下山して貰うか・・・・
 いや、幼い子供であるアンリがいる。
ユウメとオミが戦術級の達人でも、幼女一人の速度に合わせて守りながらの行軍は不安だ。
森から出ないと約束した手前、部外者に見つかる愚は避けたいがこんなデカ物の集団に隠れられるスポットがまだあるなら、ギリギリの所の最後まで責任を持ちたい。
 単に俺がまだ離れたくないだけかもしれないが・・・戦力分散するよりここで全部叩いておいて、安全が確信出来る所までもう少し付き合うべきだ。


 そうと決めれば、後はこいつ等全員蹴散らすだけだ!
人間サイズの彼女達には 一つ目巨人サイクロプスだが、俺にとっては 小人ホビットだ。さして脅威は感じない
 俺と比べたら可愛いサイズのサイクロプス達にトドメを刺すのは気が引けるが、モンスターと呼ばれる魔獣や精霊なんかは逃げるという事をしない。
 一度エンカウントしたらほぼ死ぬまで襲ってくる
倒すと放っておいたら、なんか石ころに変わる。
石に変わる前に焼いて食ってみたけど、文字通り石を噛んでる様で味もへったくれもなかった
 無益な殺生はしたくないが、そうも状況が言っていられない
恨むなら俺に出会った不幸と、筋肉ムキムキ全裸の巨人で太ももの綺麗な美人じゃないオマエ等の不幸を呪え!
 さぁオマエの罪を数えろ!


 「ユウメさんはアンリを!オミちゃんはそのまま周囲の警戒を頼む!」

 「わかりました!アンリちゃんこっちへ!」

 「了解です!・・・・!?待ってください!大物が来ます!」


 サイクロプス側に前へ出る俺、アンリを呼ぶユウメにオミが注意を促す!
よく見ると、サイクロプス達の奥から大型が近づいてきていた。
他の個体の2倍位の大きさだ・・・6メートル超えか!?
俺に匹敵するデカさだな、どうやら奴等はこいつを待っていた様だ。集団がざわつき始めた


 群れのボスらしいそいつは、素手の巨人の集団の中で、巨木をそのまま引っこ抜いてきた様なこん棒を右手に持っていた。
 肌も他の個体は青白いが、ボスだけは赤黒い。ムキムキ度合いも体格差がある以上に、よりマッシブに見える

 
 「ガアァァーーーーーーッ!!」

 ボスが吠えると、一斉にザコ達が攻めて来た!横一列に並んでこちらに走ってきやがった!

 「チィッ!固まって来るなら旋風で纏めて吹き飛ばせたのに!」

 ついグチってしまうがコイツ等、戦力を一気に投入してくる事といい、この並び方といい知能は低くないな。
 だからと言ってやる事は変わらない!俺は相手の右翼に向けて旋風を起こして敵3体をブッ飛ばした!
 それでも止まらないサイクロプス達の、今度は左翼側から尻尾で薙いで左端の巨人から順番に薙ぎ倒していく!残り7体!
 さすがに勢いの止まった集団に今度はこっちから体当たりで突っ込む!纏めて2体を弾き飛ばした!残り5体!
 完全に及び腰になったサイクロプス達だが、それでも殴りかかってこようとする。逃げ出せば追わないのに!この脳筋共!
  俺は爪で胴を引き裂く!牙で頭を噛み砕く!脚に纏わりついてきた個体を踏み潰す!
蹂躙!唯、ひたすら蹂躙だ!3メートルクラスのサイクロプスの打撃も俺を傷つけることは出来ない!相手は俺に為す術無く、俺は一撃で相手を屠っていく!


 襲いかかって来たザコ達全ては片付けたか?動く者はいるが、動ける者はいない。後は、ボスだけだと辺りを見回すが・・・いない!?


 「アンコウ殿!上ですッ!!」

 ユウメの声に、上を見上げる俺。
そこには6メートルの巨体が宙を駆け、大上段で俺に巨大なこん棒を振り下ろそうとするボスサイクロプスがいた!
こいつ手下を肉壁にして隙を突いたのか!?知能が低くないと思っていたが、非情な戦法に戦闘慣れしていない俺は揺らいでしまう・・・!
 

 どうする!?旋風で吹き飛ばすか?尻尾で叩き落とすか?・・・ダメだッ!俺と同程度の質量が迫っている、下手にしくじったら後ろにいるオミに!ユウメとその足元にいるアンリに被害が出るかもしれない・・・・!
 躊躇してる暇はない!覚悟を決めて俺は息を吸い込む・・・・そして・・・


 
 閃光!・・・・静寂・・・・それから訪れる轟音!!
目も眩む光がその名の通り光速で駆け抜けた後を、遅れて来た音が追従する・・・・・
 ドラゴンの代名詞、必殺技ともいう「 息吹ブレス」だ!
所謂、一般的なドラゴンの炎の息吹ではない。俺のそれは言うなれば 光束粒子砲レーザーキャノンだ。

 出し惜しみしたのには理由がある、威力があり過ぎて狙いが定まらないのだ・・・・
練習しようにも、大地に向けては森と山を消し飛ばし!空に向けては大雲を消し飛ばす!
目標着弾地点を消失させるので細かいコントロール等あったものではない、最低限の威力でこれなのだから意味のない練習で環境破壊する気もない。
明らかに過剰火力オ-バーキルだ ・・・・

 現に今、コントロール重視で放った一撃はボスの胸から下を消し飛ばしていたが、それ以外の腕や肩からの上半身が丸々残っている。さすがに死んでるとは思うが・・・・
 間近に迫ってくる6メートルの中心目掛けて撃ってこれである、目標から1/3程ヅレている・・・遠くの物体へとか当たる気がしないノーコンっぷりである。
 天まで貫通して雲まで消し飛ばしてしまったので、本当に雲ひとつない青空の下ふと考えがよぎる・・・
 そう、俺は戦闘慣れしていないんじゃなくて、戦闘になる相手がいないのだ。俺は悪くねぇ!



 下半身が消滅したボスサイクロプスが俺の後方、アンリ達よりも奥に落ちて地面に激突する・・・・



 「クカァ!!」

 げっ!?それでもまだ死んでなかった!先程よりも弱弱しい叫びだが、左腕だけで勢いをつけて、右腕のこん棒をアンリ達目掛けて振り下ろしてくる!
やったか!?って思ってたらやってなかった!ここでもフラグ回収してんじゃん!
 クソッ!オミとユウメ達を挟んでいる以上、直線上への攻撃はダメだ!回り込まなきゃ!


 ・・・と慌てて踏み込もうとした俺よりも早く


 「電光抜刀術!――雷閃――!!」

 
 「我が手に宿れ神の一撃!ストライクジャッジメント!!」 

 
 ユウメの剣の居合い一閃が、こん棒を持った右手首を斬り飛ばし
 オミの光を放つ槌の一撃が、一つ目を頭ごと叩き潰した!
 完全にボスサイクロプスの息の根を止める!

 
 
 ユウメの技、オミの力に見事以外の感想がでない。
やっぱ強かったのねこの二人、知ってたけど再確認・・・俺?俺はほら・・・力と技のブイスリャアだから・・・(震え声)

 





 どうやらサイクロプス以外に周囲に脅威になる様な反応はないようだ。
俺達は驚異的な生命力のサイクロプス達に、動かなくなった個体も念の為トドメを刺す様にユウメに言われたので、アンリ以外で手分けしてしっかりとトドメを刺していくと・・・

 「うぅ・・・ッ!」

 オミが苦しみ始めた・・・何事だッ!?

 「・・どうやら・・・”存在進化”するみたいです・・・」

 苦しそうに答えるオミだが、字面からなんとなく分かる。どうやら敵を倒してレベルが上がったので上位の存在に進化するのだろう・・・
 オミの身体が、人化の術の時の様に光に包まれていく!


 全身が発光――からの収束・・・ 光が消えた先には・・・
 150センチ位だったオミが、一回りか二回りは大きくなって立っていた
170センチのユウメと同じかちょっと低い位か?オークのイメージ通りの緑色の肌が、今では薄い灰色に見える。

 肌の色だけ見ると顔色の悪い感じに見えるが、より赤く燃える様な輝きを増した彼女の赤毛と
何より人化の術を使った時よりも人間に・・・否、完成された美女名画の様に美しくなった彼女をよりミステリアスな雰囲気にしている。
 そして彼女のバストは・・・・豊満であった!デ、デケェェェェ!!

 巨大な二つの豊満が・・・伸びた身長が、彼女の着ていたゆったりとしたローブを今では身体の線がハッキリと出る様にしてしまっているので、出る所が出て引っ込むところが引っ込んでいるのが分かる。
 進化前の美少女の様な顔立ちと丸みを帯びた体系が、今では美女のダイナマイトバディだ!中学生が一気に大人の女に変わった様だ・・・
そして何より・・・偉大なる巨大さで厚みを増した胸部装甲に引っ張られて、彼女の膝下迄あったスカートがミニスカートになっているのだ
そして何より!(大事な事を言うので二回言おう!)彼女が脚に履いていたのはニーソだった!!
サイズが合わなくなったニーソの付け根からはみ出た太もも=サンが、俺にドーモ!と挨拶をしている!
 ドーモ、太もも=サン!フトモモラヴァー、デス!挨拶は大事だ!!
オミ岡さん、アンタ・・・なんちゅうもんを!なんちゅうもんを見せてくれはるんや!


 

 「あの・・・アンコウ様、よろしいでしょうか?」

 太ももリアリティショックで感涙しそうな俺に遠慮がちにオミが声をかけてくる・・・やべぇ!ガン見してたのバレたか!?


 「”ハイオーク”になれたので、人化の術も進化してアンコウ様を人間サイズで変えれるかもしれません」

 「おお!?マジっすか、是非お願いします!」

 二つ返事でOKだ、決してバレずにスルー出来た安心感から出る謎の敬語ではない。イイネ?


 


 オミが俺の鼻先に手を当てる、俺はうつ伏せに屈んでオミから流れてくる力を意識するよう言われているので目を瞑って集中している。
 確かにオミの手から鼻先を通って、俺の身体へ入ってくる何かを感じる・・・・全身に行き渡るのを感じるとオミの時の様に全身が発光し始めるた様だ、目を閉じていても光を感じる。


 ・・・やがて光が収まったのを感じて目を開けると・・・・うつ伏せの体制だった俺は目の前に地面が見える。
 さっきよりも断然近い位置に地面がある、立ち上がろうと手を添える俺の手は人間の手だ!

 そのまま立ち上がる俺に皆の視線が集まる・・・立った時に前髪が目に入るが黒髪だった。ファンタジーなカラフルカラーじゃなかった事に一安心しながら、視線の合う高さになったオミと目が合う。
 どうやら成功したようだ!まだ俺の方が目線が高いがメートル差じゃない、せいぜい10センチ位だから俺、今180センチ辺りか?
 久しぶりになった人間の身体だが、背中の羽と尻尾がない違和感もない。やはり俺は間違いなく人間だったのだ!


 「ありがとう!オミちゃん!」

 俺は彼女の手を取り、礼を言う。

 「・・・ええ・・・はい・・・お役に立てて・・・何よりです///」
 「/////////////」

 どこか視線が泳いでいるオミと、後ろを振り返って顔を両手で覆っているユウメ
 そしてアンリがトドメの一言を放つ・・・

 「アンコウちゃん、おまたになにかついてるよ?」


 ・・・・・・大丈夫じゃなかったです!履いてませんよ!

 裸族生活には慣れていた俺は、服を着ていない違和感にも気付いてなかった!フル○ンだった!
 どうしよう、ア○ク・・・少しの小銭も明日のパンツもないよ!



 でもこんな状況なら言ってみたかった言葉がある・・・正直、いい年したおっさんが裸見られた位で恥ずかしいのは恥ずかしいが、騒ぎ立てる事の程じゃない。
 でも言いたい・・・・


 「キャアァァーー!アンリ太さんのエッチィーーーー!!」


 山の中腹に全裸のおっさんの叫びが木霊する・・・・
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