“絶対悪”の暗黒龍

alunam

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第十話  人間になったドラゴンと

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 言いたい事も言えた俺は現在、岩陰に隠れている。

 「アンコウちゃん、できたよ!」

 「サイズは大きめに作ったので、大丈夫だと思います~」
 
 「アンリちゃん、アンコウ殿に持って行ってあげてくれる?・・その・・・なるべく下を見ないように///」

 アンリが出来たばかりの服を持ってきてくれる
オミが急ピッチで俺の服を作成する間、アンリがお手伝いしてくれて、ユウメが周囲を警戒していた。
 そしてそれをマッパで物陰から見てた俺・・・完全に傍から見たら不審者だったろう・・・・

 素材は3人から提供して貰っている、オミのフード付きの外套を上着に、ユウメの予備の服をズボンに、アンリの着替えもズボンの腰ひもとなっている。
 裁縫の得意なオミ様々だ、サイズの合わない服の数々を一度解体して縫い合わせて俺用に作り直してくれた。
 3人の女子の着ていた物を纏うと考えると、少し気恥ずかしさがあるが、これも俺の最低限度の文化的な生活の為だ。
 お巡りさん、俺です!見逃してください!



 オミ!アンリ!ユウメ!のオアユ服を装備した俺の恰好は継ぎ接ぎのハーフパンツに、同じく継ぎ接ぎの袖なしシャツ、場所が山だけにロッククライマーに見えなくもない。
 下着も靴もないが贅沢は言えない、マッパから大いなる進歩だ!


 予想外の出来事に時間を取られてしまったが、折角だ!
偶然がくれた延長時間は大切にしなければならないが、まずは山を降りよう。
 考えるのは、宗教都市に入ってからだ!



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




 
 移動途中に、人化の術のコツと解除方法を聞いておいた。あの感覚は独特で、自分でも要点を聞けば出来そうだったからだ。
 試しに(念のために物陰に入り全裸になってから)やってみたら、実にあっけなく出来てしまった。
これで一人でも人間になれると分かった俺は、テンションが上がってしまい、アンリを肩車しながら、はしゃいで山を降りて来た。アンリもはしゃいでくれた
 余りにはしゃぎすぎてユウメとオミを置いていきそうになったので、そのままユウメをお姫様抱っこして、オミをおんぶして走って宗教都市を目指してみたのであった
 そしたら、完走してしまったよ。
おぶられたオミも、抱えられたユウメも喜んでくれたし、俺も背中の御山と、添え手の御身脚の感触を楽しむ至福の時間を過ごせた。
 この身体は人間になってもチートのようだ、女の子を3人抱えてフルマラソン以上の距離を2時間程度で駆け抜けて来た。疲れてもいない
さすがにドラゴンだった時の強靭さ迄は感じないが、それでも超人な部類みたいだ・・・・ 
 人間サイズ万歳だ!両手一杯、背中一杯に広がった幸せを離すのが名残惜しいが目的地が見えてきた。



 宗教都市、キターーーーッ!思いの外、早く着いてしまった・・・
 日が落ちるまでに到着出来ればいい位の予定だったが、まだまだ日没迄には時間がある。これからどうするかを聞いてみることにした

 「予定では宿を取り、明日の朝にアンリちゃんを孤児院に連れていく予定でしたが・・・今からならまだ十分間に合いますね・・・」

 「でしたらまず、アンコウ様の身の回りの物を買ってはいかがでしょうか?宗教施設に裸足では・・・」

 確かにこれから宗教施設の孤児院に行くのに、継ぎ接ぎの服を着た裸足の男が一緒では別の要件じゃないかと勘違いされそうだ・・・下手すりゃ門前払いか?

 「でも俺、金持ってないよ?」

 「大丈夫ですよ、戴いた宝石と先程のサイクロプスからの魔石も持ってきました。換金すれば結構な額になりますよ~」

 「私も多くは持っていませんが、当面必要なお金の使い道がなくなりましたので・・・御礼には程遠いですがよろしければ・・・」

 おお!あの石ころってば魔石だったのか。物によるが結構いい値段で売れるみたいだ
 ボスの落とした魔石なんかは大物らしくて、売ればひと月分位の生活費になるそうでお言葉に甘えても問題ないみたいだ。

 「じゃあアンリの分も頼む・・・着替え・・・貰っちまったしな!」



 俺の右手にはアンリの左手がある、途中迄はしゃいでいたアンリが今はとても静かだ・・・
 都市に入ってから、手を握って離そうとしない彼女にせめて楽しい思い出を送りたい。
 孤児院に入るのを泣いて嫌がってくれれば決心が揺らいでしまいそうだが、アンリはそうしない・・・幼女なのに、我が儘を言おうとしない
 言えば、俺が困るのを分かっているようだ。
人間になれるようになったし、彼女を俺が引き取るかとも考えたがそれは駄目だ。
 金銭面ならドラゴンになって爪の何本でも引っこ抜いて売ればいいだろうが、犬猫を育てるんじゃない・・・
 孤児院として面倒をみてくれている職員の人達と、生前も未婚で子供のいた経験等ない俺とでは踏んできた場数が違い過ぎる
 その道のプロにまかせた方がいいのは間違いない・・・
 新たな選択肢に当初の目的がブレてしまうが、悩んでいてはアンリを余計悲しくさせてしまう。
 今はアンリが楽しんでくれる様、こっちも楽しそうに振る舞うべきだ!






 都市の入り口は宗教都市らしく厳かな建物の門と、その横に宗教的な造形の彫刻があったが商業区画は活気があった
 いかにも中世の町並という感じだ、道行く人々の服装もそれっぽい。一番、原始的な恰好してるのが俺位だ・・・

 ユウメの導くまま、手を繋いだ俺とアンリは店に入り、俺の服や靴を手際よく選んでくれては買って貰った。
 子供服もあるようで、アンリはユウメにされるがままである、完全に身をまかせている。
 オミは換金してくると言って別行動中だ
俺はと言えば買ったものに着替えて、店でオマケに貰った大き目の巾着にオミお手製の服を詰め込み、店の鏡を眺めている。


 俺の顔は黒髪、黒目で平凡な顔立ちだったと言いたかったが違った。・・・目つきが悪かった・・・後、犬歯が八重歯どころか牙の様に鋭い
 ドラゴンの時は、牙の鋭さに目がいってたが、目も凶悪だったようだ
 黒髪・黒目の吸血鬼だなこりゃ・・・結構な悪役面である


 「お待たせしました、アンコウ殿」

 「アンコウちゃん、どれーからむらびとえーになったね!」



 子供は正直である・・・そして残酷だ・・・
村人アンコウさんちょっと泣きそうだわ・・・


============================================================================

 2桁話数まで来ました!
飽き性の自分が続けられているのも、お気に入り・ブクマして下さる方々の御蔭だと通知が来る度に痛感します、何より励みになります!
 絶対に完結させるを目標にこれからもやっていきますが、それまでお付き合いどうかお願いします
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