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第12話 アンコウと再会と
しおりを挟む月も出ていない闇夜を孤児院目指し駆け抜ける、それなりに夜目が効くようだ。
足元に注意しつつ全速力だ!ユウメもオミも遅れずに付いて来る、孤児院の門にある篝火が見えた!
その周辺に門番が二人いた、孤児院の中を気にしている様子はない・・・何も起きていないのか?俺の気のせいなのか?そんなはずはない、アンリの俺を呼ぶ声が俺には聞こえる!幻聴で済ませられる様な叫びじゃないんだ!
「そこの3人止まりなさい!ここはマティ教団の私有地である!警告が聞き入れられない場合は実力で排除させて貰う!」
俺達に気付いた門番の警告だ
慈愛と寛容が教義のマティ教とやらは、問答無用で侵入者は排除な脳筋じゃなくて助かる。
教団名が分かるって事は俺の謎フィルターは人名にだけ作用してるで確定のようだ・・・って、それどころじゃねぇや!
「今日、ここにアヴェスタ持って入所したアンリって女の子の関係者だ!無事を確認したい、至急取り次いでくれ!」
「こんな時間に何を・・・この場所は我々、教団の施設警備員が警護している!何も異常は起きていない!即刻、退去しなさい!」
「確認だけでいいんだ!賊なら、こんなに話したりはしない!」
「・・しかし、時間が時間だ。確認はこちらでしよう、君達も一度出直しなさい」
こちらの必死な説得に、少し態度だけは変えてくれるがそれじゃ意味がねぇんだ!
焦燥感だけが無駄に募る俺・・・こんな問答してる場合じゃ―――――ッ!?
「おい!今、角笛の音が聞こえたろ!?」
「!?一体君は何を言って・・・!?待ちたまえッ!!」
こいつ等には聞こえなかったのか?悪いな!これ以上グダグダやってる暇はねぇんだ!制止の言葉は聞いてやれねぇ!!
目の前に木製の扉が広がる・・・
「すまねぇ!間違ってたら弁償するわ!暗黒龍お手製のオーダーメイドでなァ!!」
この位30秒で造れる!ダイナミックお邪魔しますだッ!!!―――――
入り口を蹴破って施設内へ入った俺は、一路アンリの角笛の音が聞こえた方向へ走る!
日中に通された応接室のさらに奥、一階の最奥突き当りだ!
アンリが居るかもしれない部屋にダイナミックお邪魔しますは危険だ、ドアノブを回すが鍵が掛かっている・・・チート身体能力でそのまま捻じ切る!
強引にドアを開けると・・・居た!アンリだ!!
壁を背にして震える両手で角笛を持っていた・・・
「アンリ!無事かッ!?」
「・・・アンコウちゃん!?アンコウちゃん・・・・」
緊張の糸が切れたのか、そのまま座り込み意識を失う。そして・・・・
「騒がしいねぇ・・・ノック位したらどうかね・・・・?」
「オイッ!・・・これは一体どういうことだ!?ダンディ司祭さんよ!!」
そこにいたのは昼間老紳士だったはずの男が、今では皺の中にギラギラと光る狂人の眼を携えた顔になって立っていた。
手に持っているのは赤い本・・・アンリのアヴェスタだ!
「なーに・・・予想外の幸運に、彼女に協力を仰ごうとしたら・・・思いの外、抵抗されてしまってね。ああ大丈夫・・・!もう済んだよ。大事なのは“オブジェ”であって“装置”に私は興味がない・・・」
何言ってんだコイツ!?謎フィルターが掛かってる訳じゃない!言ってる言葉は解るが言ってる意味が解んねぇ!!
昼間の穏やかな口調じゃなく、癇に障る嫌らしい声で悦に入って語っている。
「彼女が無事なんだ・・・君にこのオブジェは不よ『よせ・・・やめろ・・・』どうせこの出来レースに『こんな事の為に・・・私は・・・・』・・チィ!?五月蠅いねぇ!まだ意識があったのかい!?」
なんだ?あの爺さん、一人で喋ってんのか?その割には口ではなく、どこか近い別の所から声が被せられているような?
音が被って上手く聞き取れないが、謎の声は昼間の老紳士の声色がか細くなった様に聞こえるな・・・・よく分からんがこいつは、解離性同一性障害・・・二重人格かよ!?
やべぇなこの爺様、マジモンのサイコパスじゃん!こんな奴にアンリを預けちまった!!
「アンコウ様!御無事ですか!?」
「アンリちゃん!!」
「司祭様!これは一体・・・・!?」
俺の後を追ってきたオミとユウメ、それを追って来た門番が駆け寄ってくる・・・
不審者は俺の方だが状況証拠が、俺がシロで・司祭がクロだと告げている。
夜中に司祭のいる部屋に壁を背に気絶している幼女がいて、手には幼女のアヴェスタだ・・・俺が一歩も部屋に入ってないのは、長い廊下を走って来た門番もみている。
事情の分からない門番が説明を欲して司祭に近づいていくが・・・
「やれやれ・・・こちら側の人間に見られたのは不味かったなぁ・・・」
「司祭さ・・・・ぶべラァ!?」
近づいた門番の顔を司祭が握り潰した・・・・老人の細腕とは思えない握力でだ・・・・
ぶち撒けたトマトの様に頭が破裂した門番の首から、噴水の様な鮮血が部屋を赤に染めていく!
ユウメとオミが武器を構えた!
二人の冷静な対応で、壮絶な光景に我を忘れていた俺はアンリに駆け寄る!
どこかうっとりとした表情の司祭は、部屋の中央から動くこともなく武器を持った二人を見ている。
さらに廊下側から大人数の声が聞こえてくる、どうやらもう一人の門番が応援を呼んで駆けつけて来ているのだろう
「ふぅ・・・戦術級二人に・・・この状況では言い逃れが出来ないねぇ。全員殺してしまってもいいが・・・ここはさっさとオブジェを届けて景品を戴くとしようかね・・・」
司祭が二人目掛けて突っ込んでいった!・・・ユウメの斬撃・オミの打撃を、これまた老人とは思えないスピードで躱して廊下へと飛び出していく!
「司祭様!?」「そのお姿は!?」「ヒィーーーッ!!」
血塗れの司祭を見た門番達の反応が聞こえてくる・・・
「アンコウ殿!アンリちゃんを安全な場所へ」
「私達はヤツを追います!」
「分かった!俺もスグ後を追うから無理をするなよ!」
それに比べて、女子二人の冷静な事・・・明らかに格の違いを見せている。まぁ俺もどっちかって言えば門番側だったが・・・
狼狽える門番達をすり抜けて、二人は風の様に司祭の後を追っていった・・・後は俺のやる事は
「おい!お前の相棒が司祭に殺された、せめて死体だけでも弔ってやれ!」
呆けている最初の門番の片割れに声を掛けて、部屋の出来事を教えてやった。
殺人現場から血塗れの人物が飛び出していったのだ、もうシロだのクロだの言うレベルじゃない。
俺はアンリを抱きかかえると、他にも何か言いたげな門番達を無視して部屋を離れた後、ここ以外の喧騒に意識を集中する。
どうやらユウメ達は地下の方へと向かった様だ・・・こんなこともあろうかと!気配察知のコツも聞いておいて良かった!
さすがにまだ戦術級の二人みたいにはいかないが、ユウメ・オミ・アンリの3人だけなら漠然と分かる位になった、方向の目安位にはなる。彼女達の反応を足元側から感じる
よし!追いつけないことはないな!俺は一旦、施設の外へと出た
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