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第16話 アンコウとこれからと
しおりを挟む俺達は現在、ユウメの叔母が住む村へと向かう為に街道を歩いている。
宗教都市から商業都市へと伸びるこの道を使って、商業都市からさらに外れた目的の村へと向かっている最中だ
あの後、宿屋に戻っていたユウメ達を感知した俺は、上空から見渡す限りまだ誰も動くことのない夜の町を確認した後
そのまま宿屋の屋根に人化して飛び降りて、窓から自分の部屋へと戻ったのであった
ドラゴンから人間に戻った俺は相変わらずマッパだった・・・・
屋根に降りて良かった!入り口から入ってたら変質者そのものだったわ!・・・オマケに、半日もたたずに新品の服を台無しにした事にMOTTAINAI精神が発動してちょっとブルーだ・・・
だが大丈夫だ!再び、村人Aから奴隷の恰好へと戻った俺だが今回はちゃんとパンツがある!
裸足に戻ったがちゃんと明日の替えのパンツもあるから大丈夫だ!
パンツを履いた奴隷という隙の無い俺はユウメ達の部屋を訪れ、先程まで頑張って起きてたが眠ってしまったというアンリを起こさない様別れた後の事情説明をし、何かと派手な騒ぎを起こしてしまった以上夜が明けたら早急に出発しようという運びになった。
そして、少しの仮眠をとった後寝たままのアンリを抱え今に至る。
「ここからユウメさんの叔母さんが住んでる村までどの位なんだ?」
「徒歩だと3日と言った所でしょうか、定期便も出てるので馬車で2日の距離ですね」
「急ぐなら俺がドラゴンになって飛んでいくか?」
「しばらく街道沿いで平野部が続きますので、日中の今はアンコウ殿の姿は目立つかも・・・それに今日明日で急変する様な病でもないのでこのまま次の町まで行き定期便に乗るのがいいでしょう」
急がなくていいなら俺も昨日の今日で色々あった、ゆっくり旅する事に大賛成だ。
道中の徒歩の間、会話も弾む。
この世界のあらましや、身の上話、最初と大きく予定の変わった今後の話等色々だ・・・くだらない会話も殺伐とした昨日の出来事を忘れさせてくれる
会話の中で分かったがユウメは19歳、オミは17歳らしい。
15歳で結婚出来るようになり、18歳で成人になるそうだ。
オミが未成年という事実にちょっとショックを受ける・・・俺は未成年者には過去のトラウマの一件からなるべくお付き合いは避ける様にしている
まぁ今モテているのも住んでた環境を変えてくれたという恩義からだ、義理人情よりも惚れた腫れたになるのに時間がいる。そんな先の事は考えない
「堕天ってのは皆あんな化け物になる事を指すのか?」
「それについては私が・・・堕天して意識を奪われ別の意志を宿すようになった存在、通称[魔族]と呼ばれる者達はどこから現れ、どういった経緯で意識を乗っ取るのかは謎と言われています。ただ太古の昔から存在する恐るべき者達と伝承がある生物です。」
「魔獣や妖精と言ったモンスターと呼ばれるモノ達とは別種の存在、魔族は生物としての力も生命力も他と一線を隔す能力を有しているんだ」
「はい、魔族にも等級があってそれぞれ男爵級に始まり、子爵、伯爵、侯爵、公爵の順により力を増していき・・・それ等を統べる頂点に立つ魔族を魔王と呼びます」
ぬお、この世界にもいたのか魔王!
ファンタジーそのものな名前を聞いて興味が沸くが魔王は伝説の存在でおとぎ話の世界らしい、むしろ暗黒龍が魔王の様な存在で語られる事もあるそうだ・・・魔王暗黒龍って・・・・
どうやら俺は戦術級とかの階級じゃなくて、貴族の階級の方が正しい存在の様である。イエス、ユアマジェスティってか!それじゃ配下の方か
「・・・・ん・・・」
「お?起きたかアンリ、おはよう」
「うん!おはようアンコウちゃん」
抱っこされた状態のアンリは俺を確認すると抱き着いて目覚めの挨拶をしてくる。なにこの生き物カワイイ!!
アンリも起きたので朝食の準備に入る俺達
・・・と言っても相変わらず、自分の替えの下着と洗面具しか入ってない巾着だけの俺と、昨日買った服を着てはいるが他の荷物は孤児院にそのままのアンリ
ユウメとオミから簡単に準備して渡される食料が皆に行き渡ってから食べ始める位だ、食後の歯磨き洗顔が出来るのは文化レベルが上がって大変よい。
アンリにはユウメの予備が渡された、終わったら後片付けのお手伝いをしている。なにこの生き物エライ!偉すぎる!!
だが褒めてばかりもいられない、一息ついた所でアンリに話かける。真剣にだ・・・
「アンリ、そのアヴェスタについて何かお母さんから聞いてる事は何か他にないかな?」
「おかあさんは・・・これをもってればまもってくれるから・・だいじにもってなさいって・・・・」
「なあ・・・アンリ。それ俺が預かってちゃ駄目か?」
「・・・うん、アンコウちゃんならいいよ・・・」
ユウメのマジックバックから受け取ったアヴェスタを俺に渡そうとするアンリの表情が暗い・・・
アヴェスタにはまだ謎がある、俺としては得体の知れない危険をアンリの傍に置いておく訳にはいかない。
これは守ってくれるどころか危険を呼び込んでいる、許されるなら金の問題じゃなくさっさと売り払うなり処分した方がアンリの安全面では正解のはずだ
・・・これがアンリの母親の形見じゃないならだ
合理的にアンリを思ってもアンリの感情を無視して彼女からアヴェスタを取り上げては、俺もやってる事は意識の違いはあれど一緒になってしまう。
アンリを守るためにアンリを泣かせる様では意味がない!
アンリとアンリの笑顔を守る!その力も!決意も!今の俺の中にはある!
だから俺はアヴェスタを受け取らず、アンリの頭に手を置き目線を合わせる為に膝を地面に付ける
「なあアンリ・・・昨日みたいな事が起こるのは分かった。今後同じことがあっても俺が絶対にアンリを守る!だから言ってくれ・・・アンリはどうしたい?」
「わたしは・・・いっしょにいたい!アンコウちゃんと・・・ユウメちゃんとオミちゃんと・・・ずっといっしょに!!」
「ああ!勿論だ!ユウメも・・・オミも・・・これからもよろしく頼む!」
「・・・ああ・・・ああ///!勿論だとも!これからもアンコウ殿を!アンリちゃんを傍で支え続けるさ!/////」
「はい!これから一生アンコウ様に、アンリちゃんに、ユウメさんにお仕えしていきますね!」
ん?これからも?一生?・・ずっといっしょ・・・よろしく・・・あ゛っ!これもうあれじゃん!受け取り方によってはプロポーズじゃん!!
おおう、勢いで言ったとはいえやっちまったぜ!呼び捨てになってたし!
でもまぁ・・・
「まぁいっか!それじゃ出発だアンリ!ユウメ!オミ!」
ユウメが真っ赤になって、オミが決意を秘めた表情で・・・そして何より・・・
昨日の暗い森の中の日差しよりも眩しいアンリの太陽の笑顔が今日を照らしてくれるから・・・
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これにて第一部終了となります。
ご意見・ご感想ありがとうございます!超うれしいです!
今後の参考になりますのでよろしければお手数ですがお願い致します!
お気に入りの方も是非!!それではお付き合いありがとうございました。二部も風邪気味の体調が治り次第あげていきます
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