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第26話 凝り性の面々とDO IT YOURSELFと
しおりを挟む「……出来ました、完成です……」
「ああ!やったな!自分で言うのもなんだが最高の細工が出来たと思う!少しでも役に立ててたら光栄だよ……」
「とんでもないですアンコウ様!私も憚らず申しますが、間違いなく今迄で作成してきた中でも最高の逸品だと自負出来ます!アンコウ様の御助力のお蔭です!」
オミと俺、お互い寝てないので顔色は悪いが、目はガンガンに冴えている。むしろ、ちょっと血走ってて周りの衛生班の人達が引いている……
寝不足でさらに目つきの悪くなっている俺と、灰色の肌により血の気が薄くなったが妖艶さを増したオミの二人で「クックック……」「ウッフッフッフ……」と悪だくみしている悪役の様な笑い方で、お互いを称え合っているのでそれも当然だろう
俺達二人の間には、その最高傑作を着せられたアンリが杖を持ってポーズを決めている
控えめに言って世界一可愛い!
オミの作った魔法少女の様なフリフリの沢山ついたローブの各所に、ミスリルの刺繍と俺の作った細工が施された仕様は、本当に絵本から飛び出して来たお姫様の様である
特に俺の自信作、胸元のブローチである光魔石をミスリルで飾った銀細工はオミデザインのラフを参考に仕上げた意匠で、見た目も性能も一級品と言っていいだろう!
ミスリルの自己修復機能を光魔石の効果で強化した装飾品でもあるブローチは、体力回復・魔力回復・魔法耐性の効果もある優れものになった
それにオミのミスリル糸を惜しげもなく使った素晴らしい刺繍の入ったローブは、防御・防刃性能は勿論の事、聖なる加護でステータス異常耐性も付くという防具として見ても特級品になった
ブローチとローブの相乗効果でより見た目も華やかになったこの逸品!俺達の自惚れも決して大言ではないと確信している
昨日ケガ人もほぼ出ず、時間の余ったオミがアンリの為に作っていた衣装を、ミスリルという新素材を手に入れた俺達が魔改造した結果である……
最初に火が付いたのがオミの方だからいいよね?と思っているが、夜もとっぷりと更けた時間から昨日余り肉体労働をしていない俺達二人の制作が始まり、今ではもう昼も近いという時間迄掛かってようやく完成した
昨日の殲滅作業の手順で特に変更する指示もなく、村周辺を片付けた俺達は拠点を前進させ、簡易テントで野戦病院兼司令部を作って待機しているのだが……
爺様率いる実行部隊にケガ人も出ず、予備の銃も昨日で作り終えた俺とオミに既に仕事はなく、遠慮なく作業に没頭していたが完成迄結局、何の問題も出なかった様である
時間的にも区切りがいいのでそろそろ一旦引き上げて来るはずだが、予定通りなら東のダンジョン迄の掃討が終わって引き揚げる算段である
「確かに素晴らしい衣装でアンリちゃんによく似合っていますが良かったのですか?成長する子供に高価な衣服を用意してしまって……」
衛生班のメンバーで昨日ミスリルの作成方法を教えてくれた神父様が、遠慮がちに聞いて来る
「ええ……子供なんて一年もすればあっと言う間に大きくなって、スグ今着ている物も入らなくなるでしょうね……」
「だな……これだけ最高を自負する物が出来ても一年猶予があるかどうかって事だもんな……」
「全くです……次に作る時は、これ以上の物でなくては己に勝てないと言う事ですからね……これも修行とはいえ……腕が鳴ります!」
「つれーわー猶予が一年もないとかまじつれーわー!でも俺は負けないよ!ミスリルが躍る俺の細工を皆に見せたいね!!」
分かっていた事実を再確認されて俺達二人の闘志に改めて火がついた瞬間であった、笑い方も「カーカッカッカ」「オーホッホッホ」になっている……周囲がさらにドン引きしているが徹夜明けのテンションは止まらなかった
一しきり高笑いをしていたら、実行部隊である囮部隊・射撃部隊に輜重班の面々が戻って来た。どうやら予定通りダンジョン周辺まで掃討完了してモンスターパニックは終焉したと言って良い様だ
皆が一所懸命に、走って撃って回収・運搬作業してる中、何してるんだと素に戻った俺達は、二・三の確認を終えるとそのまま家路についた
村長さんに後の事は任せて、銃は5丁だけあるリロード式を村で厳重に保管する事を条件に売る事になった
役目を終えた、撃ち尽くし式は解体して鋳潰してミスリルに新生させる予定だ
家に帰ると水で身体を拭いた俺はそのままベッドに倒れた
風呂が欲しい所だから今度デカイ風呂桶でも作るか……なんて考えてる内に意識が途切れた
夕食が出来たとエルナに起こされる俺、どうやら夜になっている様だ
食事担当はエルナがする事に決まった
なんせ商業都市で昼食をとった時、皆が注文する中で同じ物しか頼まないエルナ
大丈夫か?足りるのか?と聞いてみた所
「私めが皆様以上の量を食すのもどうかと思いますし……その……あの時は我を忘れてしまいましたが……やっぱり恥ずかしいですし///」
「それは年頃の女の子なんだから分かるが成長期なんだ、遠慮する事じゃないだろう?頼み辛いなら俺が注文するし?」
「お心遣い感謝いたしますが、やはりここは人目も多いですし///」
「ふむ、そんじゃ今度からエルナが食べたい分だけ弁当でも準備するといいんじゃないか?普段の食事もエルナが準備するなら食べたい分だけ食べても問題ないだろ……一番は気にしない事だと思うけど強制する事でもないしな」
「ッ!?その様な手段が!?」
そこに気付くとは天才か!?みたいな顔でエルナが見てくるが、エルナの食いっぷりは見てて楽しい
本当に美味しそうに食べるエルナを見てるだけで幸せな気分になれる
エルナ自身、ダンジョン探索の戦力として自分を低く見てる様だが、それは比べる相手がゴールドの二人だからであってアンリを守ろうと懸命なのは見てるだけで伝わってくる
食費位余裕で稼いでいるんだから遠慮なく好きなだけ食えと思うのだが、ダークエルフ族ってのはプライドの高い生き物らしい……
「親方様の深慮……このエルナ有り難く頂戴いたします……ありがとうございます親方様!」
「お、おう……」
深慮じゃなくてただの思いつきだが喜んでくれているので、定食を追加で二つ頼んでエルナと俺で食べた。頑張ったが食い切れそうもないので大半エルナにあげたんだけどな……
そんなエルナが作る料理なんだが意外な事に旨いのである、食べる専門で作るとメシマズとかも覚悟していたが杞憂だった様だ
「私は大姉さんの看病の時に栄養食やスープの作り方等は覚えましたが、こんなにレシピのレパートリーはないですね……」
「お恥ずかしながら、料理する時間があるなら干し肉齧りながら裁縫してましたね……私は///」
「エルナちゃんすごーいっ!」
「お師匠様の所で、お婆様の手伝いをしている内に御指導頂いて……その成果が出ている様で何よりです!」
ウチの食卓は量も品数も豊富で栄養バランスもいいと言う事がない!良い料理の師匠にも巡り合えてエルナも俺達も万々歳だ!
ちなみに俺は料理と言えば転生前、電子レンジでチンするかお湯を入れて3分待つ位しか出来ないので門外漢、腹に貯まれば問題ないオミタイプである
エルナ以外の4人でなら確実に半分も食べきれないのだが、エルナがいればお残しなんて勿体無い事もない
今日の出来は本人も納得いったのか「ほふぅ~///」という恍惚の表情を浮かべながらひたすら食事を続けている
どうやらあれはエルナの3段階表現の中で最上級の物である様だ
エルナに不味いなんて評価はないようで、不味い~普通は『美味しい』、美味しい物は『とても美味しい』、凄く美味しい物は『ほふぅ~』である
ほふぅ~にもエルナの耳がピコピコ揺れる度合いが変わる、耳震度があるが今日のは震度2だな!俺基準で!
楽しい食卓も終えて、後片付けもエルナがやるのだが自主的にユウメとアンリも手伝いをしている
オミには解体した銃から出た銀を、炎魔法で鋳潰して貰った後にミスリルに換えて貰う作業を頼んでいる。俺はせっせと解体してはオミに銀部分を手渡している所だ
作業が終わる頃には、また一塊のミスリルが幾つか出来ていたがこれで作る物は決まっている
俺の強化は後回しになるが、焦る事はない
毎日美味しい食卓を色どってくれる可愛いエルナに喜んで貰える様に、無くした自信も取り戻す手伝いが出来ると良いのだが……素材がミスリルになった事でほぼ問題ないだろう
後は仕上げを御覧じろだ!
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