“絶対悪”の暗黒龍

alunam

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第45話 女の戦いと

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 アンリの結界魔法が展開される
爺様に師事して仕込まれた魔法技術は、師匠である爺様の特性を受け継いで守備に特化した鉄壁の光の盾になる
 老将曰く、『勝てないなら、負けなければいい』……作戦級指揮官でもある爺様の格言だ
 300人で20万の敵と一ヶ月の間戦い、遂には追い返したとか言うトンデモエピソード……伝説とも言える逸話を持つ人物の言葉だ

 粘ってれば、相手も動くのに力を使う。大きければ大きい程、労力もいる。そうして機を待つ
 反乱鎮圧の時にパク……参考にさせて貰った事だ
プラチナクラスになると、こんな俄かには信じられない英雄譚のオンパレードらしい……だったらブラックってどこまでデタラメなんだろね……

 それは兎も角あくまでもアンリの強化は護身の為である、敵を倒す術ではなく己の身を守る術を徹底的に鍛える様、俺から爺様にお願いした事でもある 
 変に攻撃手段を強化するよりも、とことん防御特化にする
アンリの着ている買えば高価なミスリルローブに対して、武器はダンジョンの低層で出た未改造の魔法杖のままにしてるのもその為である

 実際、魔族の魔法防御力の強固さに対して魔法しか攻撃手段を持たないアンリはすこぶる相性が悪い
 その点、ミスリルローブを着たアンリなら上位結界を張っても30分は持続させる事が出来る様になった!
 
 次元断裂すら起こす俺の翼の超振動ブレードみたいな攻撃は流石に防げないが、こいつ等の物理攻撃や気功破なら十分対応可能な結界魔法だ
 これでアンリを気にする事なく全員で戦闘に集中出来る
4対3だ、戦いの基本は相手よりも多い数で挑む……漸く実践出来た基本中の基本だが、ウチの嫁さん筆頭に一騎当千の常識を覆す存在だから何とかなるよね!で、今まで本当にどうにかなって来たから困る
 
 
 
 「人間が何人増えた所で同じ事……我々の贄として血祭に上げれくれる!」

 「悪いが、ここからは俺達のターンだ!ユウメはタカを、オミはライオンを、エルナは俺とあのイノシシをやるぞ!」

 「「「了解!」」」

 速さには速さを、剛には剛を、デカい奴には数で勝負だ!

 「多分、あのライオンが唯一喋っている通りこの中では一番プレッシャーがデカい……オミ、よろしくな」

 「心得ました、お任せください!」

 

 相手は決まった!それぞれがそれぞれの敵と相対し、各戦闘スペースが離れていく……
3つの戦闘は三角形を描き、左を俺とエルナ対イノシシ、中央をオミ対ライオン、右をユウメ対タカで点を成している

 「エルナ、援護は任せた。俺は接近して奴の注意を引く!」

 「はっ!獲物を狩るのは弓術士の本懐、必ずや大物を仕留めてご覧にいれます!」

 狩人の本能で頼もしい言葉を返してくるエルナ、ダンジョンでは俺とアンリとエルナの遠距離組で修行してた様なもんだ!コンビネーションの確認なんか大雑把でいい

 「ブィオオオオォォォォーーーーーッ!!」

 イノシシの気功破が再度、俺達を襲ったのが2ラウンド目のゴングだ!
 光のエネルギーを左に別れて躱した俺が銃剣で、右に避けたエルナがコンパウンドボウで射撃を開始する!
 俺は無属性射撃に変更して弾幕を張って、イノシシデーモンへと動きをけん制しながら駆け寄り、エルナが動きの止まった胴体や大型ハンマーを持つ腕等を射貫いていく!
 
 ハイグリズリー以上の4メートル超えの巨体を持つイノシシデーモンも、コンパウンドボウを射るエルナの強弓を超えた剛弓を受けて苦悶の声を上げている……
 それでも、無属性弾を全弾撃ち尽くして距離を詰めた俺を見据える
間近で見ると鉄塊にしか見えないハンマーを振り上げ、気合いと共に振り下ろしてくる!

 「遅ぇよッ!」

 腕に矢を受けているイノシシデーモンの速度が先程までと比べて遅い、余裕を持って躱す事が出来る!リロード速度の上がった再装填も完了する!
 空振りに終わったハンマーを持つ、右の肘上……二の腕部分に銃剣のブレードを突き立てる!2つの銃剣から零距離で連射、連射、連射!

 「グゥオオオオオオオオオォォォ!!」

 絶叫を上げ表情を歪めるイノシシデーモンだが、強引にダメージを受けた右腕ごと俺を振り払った!ぶら下がっているだけの状態になっていた右腕が千切れ、肘から先が無くなった場所から夥しい量の血液を流している……


 俺は銃剣を千切れた腕から引き抜くが、慣性運動の真っ最中である……それなら予定の入れ替えだ!

 「オミイィィィ!!」

 飛ばされている方向はオミとライオンデーモンが対峙している地点……
オミのメイスを盾で受けるライオンデーモン、ライオンデーモンのバトルアックスをラージシールドで受けるオミ
 2メートルの巨体相手に一歩も引かないオミのハイオークの身体能力と強化魔法は凄まじい!力だけなら俺のチート身体能力といい勝負かもしれない

 そんなオミとライオンデーモンの力比べの最中に、俺は飛ばされた勢いそのまま地面を滑空からのスライディングで二人のいる下を潜り抜けていく!
 オミのスカートの下を潜る時にはドキッとするが残念ながら目標地点はライオンの股下だ……天国から地獄の光景に変わるが、ガラ空きで絶好の射撃ポイントだ!
 飛ばされている間に充填は終わらせている!目線の真上にあるライオンデーモンの両膝に銃剣を突き刺し、再び零距離チャージドショット!
 イノシシデーモンに比べて、体格は二分の一のライオンデーモンの両膝を吹き飛ばし体勢を崩した!

 「ハアアアァァァ!!」

 オミが気合いと共に隙だらけになった顎をメイスで打ち上げ、膝下が無くなったライオンデーモンを上空に打ち上げる!
 倒れている俺は背筋を使って起き上がり、そのままジャンプ!打ち上げられたライオンデーモンの背中へと一回転の浴びせ蹴り!
苦痛の声を上げ、叩き落されたライオンデーモンを待つのは……

 「我が盾に宿れ裁きの一撃!ジャッジメントパニッシャーーーッ!!」

 「ゴハァ……!!」

 光り輝くドラゴンシールド、オミの聖なる理力を纏った審判の断罪を顔面に受け力無き声を上げるライオンデーモン……まずは一匹!


 が、息つく暇はない!オミもすぐにエルナの方に向かっている、左手だけになっているとはいえ大型ハンマーを振るってエルナとの距離を詰めているイノシシデーモン
 片腕でも尚、地面を抉る威力で起こる岩礫がエルナを襲い、傷を与えていく……
 それでも致命傷を避けつつ、反撃の弓を射かけるエルナに以前の自信の無さげな表情はもう無い。傷つきながらもしっかりと格上相手に挑んで自分の間合いを確保している

 今、一番成長著しいのがエルナだと思うが、成長を見守ってるだけってのはまた今度だ!
 オミが射線から外れてくれたのを確認して、両手持ちで狙いを定める
地属性弾に変更して倍速チャージでショット!アーマードピアッシング弾を突進するイノシシデーモンの膝に撃ち込む!

 「ウギィィ!?」

 猪突猛進でエルナ目掛けて一直線だったイノシシデーモンの崩れた体勢目掛け、メイスを振るうオミの胴体への一撃が炸裂!!

 「今です、エルナ!あなたに出来る全てに想いを乗せなさい!!」

 「はいっ!オミ姉様!精霊よ、我に力を……瞬きの間なれど、刹那の一撃を永遠とわの眠りへと変えん……ミレーナ・ルーア・ゼド・ザキス」

 エルナの詠唱……唄にも似たリズムで紡がれる言葉に併せてエルナの持つ弓と矢に風が収束していく

 「エリアルブラスターーー!キャストオフッ!!」

 放たれた風の砲撃と呼べる様な矢の一撃は、音を、周囲の風を巻き上げさらに共鳴してイノシシデーモンの眉間へと突き刺さった!
 イノシシデーモンの断末魔の声が上がるよりもはやく、共鳴は高周波となり頭部を内側から粉砕した……まるで刺さった矢に時限爆弾でも付いていたかの様な破壊力だ

 流石に首から上が無くなったイノシシデーモンは何度か痙攣した後、そのまま崩れ落ちた……右腕と頭部の無いグロテスクな死体だが、段々とそのまま灰へと変わっていった
 魔族の最後は、骨も魔石も残らない様だ……最初からそこに何もいなかった様に、吹いた風が灰を空へと散らしていった


 「良く出来ましたよ、エルナ。さぁ、傷を癒しますね」

 「ありがとうございます、オミ姉様!しかし、今はユウメ姉様を……」

 「あらあら、エルナまだまだ修行が足りませんよ!私達の姉は、堕天の進んだ魔族相手でも後れを取るような事はありません」

 オミの促した視線の先にはタカデーモンを圧倒するユウメの姿、超速の攻防が繰り広げられているが手を出すだけ不粋な様だ
 敏捷性を活かしヒットアンドアウェイを繰り返すタカデーモンに惑わされる事無く、ダガーの連撃を捌いて出来た隙に魔法剣の一閃が走る!
 ただすれ違っただけの様に見える交錯があった後、上半身と下半身に別れたタカデーモンの身体が崩れ落ちていった……

 が、ユウメの追撃はまだ終わらない。切り裂かれた上半身目掛けてさらに踏み込むが、腕を使った方向転換で剣戟から逃げるタカデーモン
 人間の上半身である背中からは鳥の翼が生え上空へと逃げる!灰になった下半身分速度が上昇している……どんだけ生命力が高いんだ鳥型!?

 「オミ、エルナ!泳がせるのはあいつじゃない、手伝ってくれ!」

 「わかっています、アンコウ様こちらへ!」

 オミとエルナが走り寄る方向へ、俺も駆け寄りオミへ向かって足から飛び込む!着地先はオミのラージシールド

 「空の支配者、風王の翼をここに顕現させよエリアルダッシュ!」

 「いきますよ!フォースシールドバッシュ!」

 エルナの上位風魔法を受け、オミのシールドで打ち返されホームランの様に飛ばされる俺。飛んでいく方向はバックスクリーンならぬ、ここから逃げ去ろうとするタカデーモンへ向かって
 

 「ォォオオオバアァァヘッドキーーーーック!!」

 ジェットコースターとは比べ物にならない程の加速を受けて、声を置き去りにしていきながらもエリアルダッシュを駆使してタカデーモンに逆回転の浴びせ蹴りを御見舞いする!
 ライオンデーモンをオミに蹴り飛ばした時と同じく、逃げていた方向とは逆のベクトルに飛ばされていくタカデーモンの向かう先には……

 「雷光抜刀術双牙、紫電十文字斬り」

 「ガアァァァ……」

 横半分に斬り裂かれ上半身だけのタカデーモン……次は魔法剣で縦半分に、龍爪の刀で首と上半身に分けられ力無き断末魔を上げ灰へと変わっていった……これで全部終わったな!

 
 ……って、俺の加速度が止まらねぇぇ!このままじゃお星さまになっちゃううううぅぅぅ!!女性陣はキッチリと決めてるのに、俺最後までダセエェェェ
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