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第48話 もげろと爆発しろと
しおりを挟む人化の術を使って、人間態に戻る。ドラゴン化と違って最大の利点と言っていいかもしれない、服が破れていない!
折角オミに作って貰った服を破いてしまうのは、同じ物作りを趣味とする者としても申し訳ないしな
オミは「一日一着駄目になるなら、二着作ればいいんですよ!」なんてノリノリだったが……
折角、作った物を粗末に扱うのも・扱われるのも俺としては嫌なので懸念事項が一個減って気分が落ち着いて来る
後はこのアヴェスタさえ何とかなればだけど……
なんて思いながら手に持った銃剣を収納しようとした所で異変が起こる、ブレードの付いたアタッチメント部分からベッキリ折れた……全体的にフレームにヒビが入っている
ミスリル部分は平気なんだが、大まかなフレームからグリップに至るまでが焼け焦げた炭の様にパラパラと散っていく。残ったのは魔力回路であるミスリル部分のみ……まるで肉が削げ落ちて骨だけが残っている様だ
やっちまった!ハンドキャノンに変化した事でイケルと思って200%チャージしたが、一回使用出来る程度の耐久性能ギリギリの所だったらしい……
これでも改良を重ね、商業都市で扱われていた木材の中から一番質の良かった物を選んだんだがドラゴンのオーバーチャージには耐えられないのか……
こりゃしばらく遠距離戦は捨てて近距離特化か、早急にもっと別のフレーム素材を見つけないと駄目だな。全部ミスリルにすると伝達回路が混線して性能が落ちるし、他の金属素材よりも木材の方が役割分担がハッキリ出来て扱い易いんだよなー
まぁグチっても仕方ないか……早く皆の所に戻らないと
「待たせたな、終わったよ」
すっかり辺りが暗くなっているが、通信石で連絡を入れると公爵も先生も研究室で待っていてくれた
公爵は事件の対応と後処理も公安機構に圧力を掛ける必要があるので帰れないのもあるそうだ、だろうね国のお偉いさん4人死んでるしな……あれ?俺らこれ国家要人暗殺犯のテロリストになんじゃね!?
なんて思っていたら、国の対応としてもアヴェスタが原因の事件は多少強引でも揉み消す必要があるそうなので大丈夫だと言われた
侯爵が純魔族と言っていた事を伝えると、驚いていたが納得してくれた
当然、話が話なので今は公爵の執務室で俺達5人と公爵と先生の計7人で報告中だ
「確かに彼は出自は知れないが複数のダンジョン討伐を成し遂げた実績と、強引な領地政策で瞬く間に権力の中枢まで登りつめた人物だった。その分、治安の悪化等が起こり野盗の類が増えたりと敵も多かった……が、それ以上に利権にあやかろうとする人物も絶えなかった。こう言っては何だが獅子身中の虫が居なくなって清々している……内密にしといてくれよ」
魔族が入り込んでいた事実も国としては知られる訳にはいかない、今後の調査を強化する事で対策をするそうだがあいつは解析でも変身する迄は人間だった
高位解析スキルでも見破れるかどうかは疑問だが、あんな奴がゴロゴロしてるなら確かに武力制圧の方が手っ取り早いだろうから他にいないと思いたい
「人化の術ではなく、変化の術かもしれませんね……高位の魔族の力は計り知れません、遠くからでも逃げ出したくなる様な反応のぶつかり合いでした」
「変身する術にも段階があるのか……もっと高位のを覚えたら、40メートルの光の巨人になれたりするのかな?」
「どうなんでしょう?魔族なら出来るかもしれませんし、アンコウ様だったら出来るかもしれませんが……」
「ああゴメン、軽い冗談だから気にしないでくれ//////」
恐れを知らないオミが逃げ出したくなるってのが信じられなくて冗談を言ったつもりだったんだが、マジレスされて異世界人に伝わらないネタを振ってしまった当たり当然だよな……
「そして残念な事だが、この事件が片付く迄はプロジェクトは凍結だ。死傷者も出ている以上、このまま続行という訳にも行かなくてね……」
「……だろうな、覚悟はしていたよ。しばらくは俺自身が解析スキルを上げる努力をしているさ」
「お力になれず申し訳ありません、私も解析スキルと己を磨く事を課題にして個人的にアヴェスタの研究を続けていくつもりです」
「とんでもない、ここで分かった事や再確認出来た事でも新しい対策方法が分かりました。全て先生のお蔭ですよ!こちらこそ何の御礼も出来ずに申し訳ない……」
「それこそとんでもありませんよ!こうして皆さんや公爵様とお知り合いになれた事は十分、私の財産です!まだ何の実績も上げていないのに学者としても出資して頂けるなんて存外の待遇です!」
「貴女の様な若さで上位解析スキルをお持ちで、既に高位も見えている方に出資するのはこの学術都市としての使命です。何も謙遜される事はありませんよ」
いえいえこちらこその応酬になりそうな空気を察してか、公爵が間で取り持ってくれた。空気読んでフォローも上手で女性を褒めるのも忘れないのがイケメンなんだな……俺には出来そうもない、畜生め!
「全部アンコウさんや皆さんのお蔭です!一人、本に埋もれた生活では絶対に辿り着ける事ではありませんでした!」
「それは俺も共感出来ます、一人じゃ出来ない事が誰かの助けを得て出来る様になる。逆に俺にしか出来ない事もある、それが実感出来ただけでもここに来た価値がありました」
「はい!一人じゃ分からない事だらけですよね……経験は知識の探究者として何よりの財産です。不思議な事を目の当たりにしたり、それで男の人に抱き寄せられたりと……刺激的な体験でした//////」
「緊急避難措置として仕方なかったとは言え海より深く反省し謝罪させて頂きます!!」
土下座しかねん勢いで頭を下げると公爵が食い付いて来たのだが……
「君は雷妖精殿だけじゃ飽き足らず、二人の美女を傍に置いて、更に増やそうと言うのかね……」
「激しく誤解です、俺は悪くねぇ!」
「別に悪い事じゃあるまい?むしろ私も加えてみてはどうかねと言う提案だよ」
「はっ!?お前何言って……」
「あの……アンコウさん?公爵様は女性ですよ?ヴァンパイアロードの再臨に期待された先代の王様が公爵家に養子に出され御当主になられましたが、王位継承権第二位の姫殿下でもあらせられますよ?」
「な、なんだってーーーー!?」
「年の離れた弟が生まれる迄は、帝王学を仕込まれていたからね……淑女らしい事も苦手で政治の場で舐められない様、男装していたのもあるがやはり同性の友人の様に接してくれていたのはその為か。声も作っていたしね、あーあー……うん、これでどうだい?」
「な、なんだってーーーーーー!?」
中性的な声が完全に女性の声に変わった……だと!?何、お前んちの宮殿にバラでも咲いてんの!?ベルサイユ?ベルサイユ、ナンデ!?
「いやいや!てかオカシイだろ!?乙女の血が良いとか言ってたじゃん!だったら男の血が欲しいとかじゃないの!?」
「それは殿方に牙を突き立てるなんてはしたないない真似をするよりも、事情を説明して協力してくれる同性の方が良いに決まっているじゃないか!」
「あの時ユウメに声掛けていたのは!?」
「ああ……それは、私も今まで男なんていう単純な生き物に興味が無くてね。興味があるのは女性の方だったのだが、君程面白い人物は居ないので非常に好奇心が湧いたよ」
「好奇心で王族が動いたら駄目だろ!?国が許す訳ないじゃん!どこぞの馬の骨を婿にするなんぞ!!」
「むしろ王族だからこそなんだが?君にはもれなく『雷妖精』に『深紅の聖女』に『銀光の射手』に『黒龍の神子』が付いて来るんだよ?君自身も英雄的結果を出している、これだけの戦力を放っておく訳がないと思うのだがね?」
「だからって人の名前が分からない俺に、人の上に立つ立場が務まる訳ないだろ!?」
「そこは何とでもなるさ。一番体裁が良いのは君が私達全員を娶る事だが、私が当主のまま君達全員を配偶者に迎え入れてもどっちでも好きに選べるさ。我が国は同性婚も認められているからね!王族としては異性の配偶者が一人は必須である分、これで問題ない」
イヤイヤイヤ問題があんだろ!俺の隣にはアンリが既に俺の膝で寝ていて、その反対にはユウメが座っている……無言のプレッシャーが怖い……
向かいの席にはオミ、エルナ、先生が座っていて公爵は一人掛けのソファでコの字の配置である……対面を向くのも怖い……
「折角の…「折角の御申し出ですが、私達にはまだやらねばならない事が御座います」」
「その通りです、まだまだ修行の身で王家の仕来りなど知らずに育った田舎娘の我が身を迎えたとあれば公爵様の恥となってしまいます」
「同じく未熟な私が王族など言語道断であります!又、この身は髪の毛から足の爪先まで全てお嬢様の……延いては親方様の所有物。二君に仕える事なぞダークエルフにはありませぬ!」
おお!?見事なユウメ・オミ・エルナの3連コンボだ、言いたい事を120%代わりに言い切ってくれた
「やれやれ、流石は我が友だ。私の入り込む余地は無いようだね……残念だが、この戦力を前に戦いを挑むほど私は愚かではないよ」
「済まないな、気持ちは嬉しいが今は両手で手一杯なんでな」
そう……俺の膝で寝るアンリが落ちない様に支えているだけで今は一杯一杯だ
そしてユウメ一人を男として決める事の出来ない俺にハーレムなんぞ100年早い……出来れば期間をもう少し、否、激減させたい所だが……
いかんな煩悩漏らしてる場合じゃないな!まずはアンリの安全第一だ、これは当然だが再確認再確認っと
倫理も道徳も捨てても、煩悩に負けてる様じゃ恰好がつかない
早いとこ、アヴェスタの問題を片付けてユウメ問題に専念したい所だ……
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