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第54話 古代都市と情報収集と
しおりを挟む「ここが古代都市か、生活水準は他の都市と余り変わらないみたいだな」
「はい。統治者の違いはあれど我々の生活は魔石のエネルギー供給で成り立っていますので、都市間でそう文明の違いはないと思われます」
古代都市に到着した俺達、いやはや世界樹はデカイなんてもんじゃないね!
徒歩5日分の距離……約100キロメートル先から見えてたから凄い大きさだとは思ってたけど、近づくにつれ山の様な大きさの木って言った方がいいかもだ
全長よりも標高3キロメートル級って言ったらいいのかな、富士山みたいな木が一本ズドーンと生えてる様なもんだ……もはやここまで近づくと木じゃなくて地面の一部だな
今いるのは、その周辺の麓部分。世界樹の周りにある、集落群が町になった古代都市郊外と言える場所に居る
世界樹の中は上位階級層や富裕層の生活地区でもあるらしくて許可証がないと入れない、そして俺達の目的は最高位解析スキル所有者の所在が第一目標
次に千年霊木や神霊樹等の高位木材の入手、出来れば世界樹の最高位木材が欲しい所だ
これだけデカければ適当に引っぺがせばいいじゃんと思ったら、世界樹は外皮が厚くて木材としての主要部分になる心材は中心部じゃないと取れないそうなのである……残念
って事で世界樹内に入るための許可証が欲しい訳なのだが、ポッと来た旅人に発行される程この都市は開かれていない
独立主義の閉鎖的社会制度は特権階級にはやさしいが、余所者には厳しい様だ……まぁその為の入場許可制なんだろうしね……
「有力候補の人物が住んでそうな場所も、欲しい材料も全て世界樹の中か……果てさて、どうやって許可証を発行して貰うとするか……」
「一番早いのは、許可証を発行出来る権限を持った権力者へと貢物をする事でしょうか……申請しても何の後ろ盾もないのでは、悠久の時を生きるエルフ種がいつ事務処理を始めるのかは不明ですので……」
故郷でもあるので、エルナが色々教えてくれる。成る程、やはり種族の違いはあれど賄賂は共通に有効って事か……
金でさっさと済むならそれでもいいんだが、なんせ伝手もないからな。地道に情報収集する事になるのであった
「とりあえずやれる事から始めるか!まずは宿を取って、それから食事がてら酒場で情報集めが一番堅実みたいだな」
「申し訳ありません……私がいるばかりに皆様に御迷惑を……」
「恥る事はありません、顔を上げなさいエルナ」
落ち込むエルナを、ユウメが励ます
エルナが気にしている事……それはこの場所が所謂、貧民街と言われる所だからだ……この都市は階級によって住む場所が決まっている
上流階級が世界樹の中、中流階級が世界樹の外……そしてここ、麓付近が下流階級や貧民層等と呼ばれる人達の生活スペースであるのだ
種族間闘争の結果で出来た階級らしいので、大体種別によって大まかに分けられる
富裕層であるハイエルフ、中流階級であるエルフや肉食型獣人、そしてこの周辺ではハーフエルフや草食型獣人の姿が散見される……その中にはダークエルフもいた……
エルナとは違う里のダークエルフ達だった様だが、エルナはその事を気にしている……気にせずにはいられないのだろう
世界樹外周の中流階級層の生活スペースなら許可証は要らないが種族の壁が入るのを拒む……
「私が外周部へ行くと要らぬ火種の元になる可能性があります……お役に立てず申し訳ございません……」
「別に火種で火事が起きようと皆は俺が守るから気にするなと言いたい所だが、そんな差別の眼差しの中にウチの可愛いエルナを晒す気は無い。大丈夫だ、人間種なら珍しい目で見られるだろうが区分には入っていないみたいだし俺とユウメでそっちはやるさ」
「どうやらオークも麓周辺の住民の様ですから、私もこちらで情報をエルナと集めていますね。エルナの事は任せて下さい!」
ハイオークならどのカテゴリに入るかは謎だし、オミの見た目なら人間種でも通ると思うけど無理に波風立てる必要もない
どうせ、当てもない地道な作業になるのは覚悟していた。手分けしてやるのが効率的ってもんだろうしな!
それもまずは宿を決めてからだな、エルナは貧民街の宿に俺達を泊める事を気にしていたが雨風が凌げるなら気にする俺達ではない
俺は元・洞窟生活者、ユウメは困難な国の依頼も遂行する冒険者、オミは過酷な環境にあえて身を置いて修行する巫女だ。アンリは俺達と一緒ならご満悦なので、文句すら言わずにニコニコしてくれている
幸い、良さげな宿も見つかり5人部屋を取る事になった。ベッドが気に食わなかったら俺自作のベッドと入れ替えるだけだったが、十分清潔で柔らかい
1週間分纏めて先払いで割引も利いてお得感もあるし、いい宿に当たったみたいだ。満足、満足!……唯一の不満は5人部屋なのでユウメとの……イカン如何、邪な考えが……ああ、でも……(以下ループ)
初日だし皆で食事を取ろうって事になって行った近くの酒場は昼という事もあり、あまり客足は多くなかった。やはり酒場の本番は夜なのだろう
ここで店主から得た情報は、最高位解析スキル持ちについては『セントラル』……国の中枢部である政治的機関の管轄なので分からないと言われた
学術都市で公爵も似たような事を言ってたから、国の秘密なんだろう。……この辺のどっかに古代都市のお偉いさん落ちてないかな……?
アホな願望は置いといて、銃の材料の霊木達は世界樹外周の中流階級スペースで買える事もあるそうなので苦労は無い様だ
そして当面の目標になる、世界樹内への許可証は……
「そうだなぁー、何の伝手もない旅人に許可が下りる物でもないからなぁ……何か功績を上げるか、許可証の発行権を持っている外周区画の町長に伝手を作って発行して貰うかだな……」
「ゲスな話だが、相場が幾ら握らせればいいかとか分かるか?」
「ここは貨幣の流通もあるが、一番効果的なのは奴隷の献上だな……労働力にも財産にもなる、部族間抗争ばかりのこの都市だと兵力にもなるからな……」
うーむ、殺伐とした環境だな……戦争が身近にあるとこんなのが日常なのかもしれない。そうなると奴隷をお金で買って、有力者に献上するってのが許可証への近道って事か
……現代日本の俺の倫理観だと、激しく抵抗があるわ……捨てたって言っても、やっぱりまだ甘い部分は幾らでもあるな……
店主に情報料を握らせる時、一緒に頼んだ酒の味が不味くなった気がするが危うく噴き出しそうになった……何故なら……
「ならば漸く御恩を返せる時が来ました!例え剣林矢雨の中に晒されようと、見知らぬ男共に貪られ様と!今こそ我が身で親方様、お嬢様への忠義に報いる時!」
「ブホッ!?ちょ、エルナ!?お前、何をッ!?」
我慢出来ずにちょっとむせちゃったよ!
「その町長に私を献上すれば、許可証の発行が降りるのでは?我が身でお二人のお役に立てる事があるのなら、これ以上の喜びは御座いません!親方様、御命令を!」
「却下だ!大却下だ!絶対却下!!」
「そうですよ、エルナ!あなたに私と同じ思いをさせる様な事を許可されるはずがないでしょう!」
「エルナ……出来る事があるからといって、それが必ずしも良い事であるとは限りません。好きでもない殿方に抱かれる等、同じ女として姉として私も許可できません」
「???」
俺、オミ、ユウメに否決されたエルナの耳がしな垂れているがそこは当然なので譲るつもりはない
アンリはユウメに耳を塞がれて、相変わらず聞こえていない様だ……ユウメ、グッジョブ!
「エルナ、俺はアンリの安全の為にアヴェスタを解析しようとしている。その為に危険になる事は承知している、だけど犠牲を払ってまでやる覚悟があるかと問われたらまだ甘い部分があったと認識したばっかりだ……家族の為に家族を犠牲にする事を俺は選べない、選びたくない!だからお前が俺達を思ってくれている様に、俺達がお前を思っているのだけは忘れるな……」
「……申し訳ありません……出過ぎた真似をしました……」
「エルナちゃんがどうかしたの……?」
「俺達とさよならして、よそのお家に行くって言い出したから怒ってたところだ」
「ッ!?決してその様な事はッ!」
「………ダメ」
「お、お嬢様……!?」
「ぜったいダメ!!」
「……はい……ごめんなさい………」
あーあ、アンリを泣かせたよ……エルナには良い薬だな、猛省しとけよ!
「すまなかったな、店の中で騒いじまって……」
「気にしないでくれ、酒場は騒いでなんぼさ!仲のいい家族だな、あんたら!」
「嬉しい事を言ってくれるねぇ!昼間だが一杯奢らせてくれよ!」
「ありがとうよ!でも十二分な情報料を頂いているからな、代わりに今後も贔屓にしてくれよ。あんたみたいな金払いのいいお客様は大歓迎だ!」
「ああ!飯も酒も旨いし、滞在中は寄らせてもらうよ!」
「毎度ありい!見た所あんた等冒険者だろ?だったら、ダンジョンなんてどうだ?商売柄、腕が立ちそうな奴等は雰囲気で分かる。50層も討伐出来る一流パーティなら国が放っておかないさ、申請もすぐ通るはずだ」
それだったら任せてくれ!どうやら、古代都市周辺にはダンジョンが3つあって悩みの種らしい。特に一番不人気なダンジョンからはモンスターが溢れてくるとか……ホント、どこも変わんねぇな!
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絶対悪並びにオールカンストへのお気に入り登録ありがとうございます!
以前言っていたオマケをポチポチ書いてたら何故かこうなった……何を言っているかわからねーと思うが(ry
で、出来がったのが
メモリーハッカー ~お前の記憶は俺の物!俺の記憶はどこいった!?~
http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/296055928/
になります、よろしければこちらも御一読お願い致します
現在、区切りのいい(であろう)所まで書いておりますので順次投稿していきます。是非、お試しくださいませ!
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