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チュートリアル(入学前)
『それではストーリーを開始します』……ちょ、待って。まだ準備が……
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心身共にリフレッシュした所で身体を拭いて浴室から出ると、来た時と同じくリズを含む3人のメイドが揃っていた。
これから着せ替え人形の様に服を着せられていかねばならない……
これから先、マリアルイゼとして生きていく以上は早急に慣れていかなくてはならない……って、あっ!
「それではいきます、お嬢様!」
「ちょ、まっ……ぐぇぇっ!」
順々に下着を着けていった所で思い出す。中世の女性の嗜みは現代人にとっての拷問になりかねない事に……その名もコルセット。現代にもある矯正下着の一つだが、着用方法が比じゃありません。
メイド二人から紐を締め上げられた腰からお腹への圧迫で、潰されたカエルの様な声を出してしまう。ちょ、すとっぷ。死ぬ、死ぬ!ヘレスティアに倒される前に窒息して死ぬ!
マリアルイゼには余分な腰回りのお肉なんか皆無なので、絞めれば絞める程に肋骨を極められて嫌な汗が出て来る。折角、お風呂でキレイになったのに!?
「くっ!申し訳ありません、お嬢様!次こそは必ずやいつもの場所まで締め上げますのでお許しを!」
「大丈夫!まだ病み上がりですから、緩く着付けて頂戴!」
ぜぇぜぇと息を吐き出しながら謝罪して来るメイドAに対し、漸く喋る余裕の出来た私が答える。服を着るだけでも命懸けの中世マジ怖い……
それもこれもワタクシの方が、毎回着る必要もないコルセットで限界寸前まで締め上げさせるのが悪いんだ!そりゃ着替えに3人も必要になるよ!あほ!ワタクシのあほ!
「お嬢様、お着替え完了致しました」
なんと!?いつの間に!
Aと同じ作業をしたのに息一つ切れていないメイドBから告げられて我に返る。
難関であるコルセットを突破してしまえば、後は早かった様です。
気づけば姿見の前には濃紺のドレスを着た私がいました……
メイドB、恐ろしい子!!
「それでは続いて御化粧へと入らせて頂きます、此方へおかけになってください」
「今日はお父様に快気のご報告に行く位だから必要ないんじゃ……」
「いけません、お嬢様!淑女ともあろう方が素顔を晒すなど!」
物ぐさな私の言葉をリズが否定して、そんな彼女がハッとして慌てて口を閉じた。だが、彼女自身の言葉を訂正する事はない。
傲慢な主に怯えながらも、主を諫める勇気を持つ小さな女の子。それがリズ……
今までのワタクシは、それが勘に障って激しくリズをいびり倒していた。
同時に、彼女の芯の強さに好感を抱いても素直になれないでいた。
「そうねリズ、貴女の言うとおりですわ。でもワタクシは早くお父様にご報告したいの……だから貴女の思う必要な事だけやって頂戴。いつものは……やらなくてよくってよ」
「は、はいっ!畏まりました!」
震えていたリズが、その赤毛のツインテールをした頭を下げると、早速メイド達と作業に取り掛かってくれた。
怯えたり、泣きそうになったり、喜んだり、目を輝かせて今もこうしてやる気になったりと、彼女の変化は見ていて飽きない。その髪型と可愛らしい表情から、赤い小型犬を見ている気分になる。
確かまだ13歳のはずだ……男爵家令嬢であるが、行儀見習いとして奉公に来ている少女。
誰もやりたがらないワタクシの専属メイドを押し付けられた可哀想な少女。それでも決して立場と責任から逃れる事なく、怯えながらも責務を全うしようとするリーゼロッテ・レッドフィールド。
そう……これで繋がった。私の運命を変える最初の鍵は、とても近くにいてくれた……
========================
ちなみにいつものって言うのは、お嬢様特有の伝統ある髪型「縦巻きロール」にする事です。長時間掛かるので、長風呂した主人公が体力的にも精神的にも拒否してます。
これから着せ替え人形の様に服を着せられていかねばならない……
これから先、マリアルイゼとして生きていく以上は早急に慣れていかなくてはならない……って、あっ!
「それではいきます、お嬢様!」
「ちょ、まっ……ぐぇぇっ!」
順々に下着を着けていった所で思い出す。中世の女性の嗜みは現代人にとっての拷問になりかねない事に……その名もコルセット。現代にもある矯正下着の一つだが、着用方法が比じゃありません。
メイド二人から紐を締め上げられた腰からお腹への圧迫で、潰されたカエルの様な声を出してしまう。ちょ、すとっぷ。死ぬ、死ぬ!ヘレスティアに倒される前に窒息して死ぬ!
マリアルイゼには余分な腰回りのお肉なんか皆無なので、絞めれば絞める程に肋骨を極められて嫌な汗が出て来る。折角、お風呂でキレイになったのに!?
「くっ!申し訳ありません、お嬢様!次こそは必ずやいつもの場所まで締め上げますのでお許しを!」
「大丈夫!まだ病み上がりですから、緩く着付けて頂戴!」
ぜぇぜぇと息を吐き出しながら謝罪して来るメイドAに対し、漸く喋る余裕の出来た私が答える。服を着るだけでも命懸けの中世マジ怖い……
それもこれもワタクシの方が、毎回着る必要もないコルセットで限界寸前まで締め上げさせるのが悪いんだ!そりゃ着替えに3人も必要になるよ!あほ!ワタクシのあほ!
「お嬢様、お着替え完了致しました」
なんと!?いつの間に!
Aと同じ作業をしたのに息一つ切れていないメイドBから告げられて我に返る。
難関であるコルセットを突破してしまえば、後は早かった様です。
気づけば姿見の前には濃紺のドレスを着た私がいました……
メイドB、恐ろしい子!!
「それでは続いて御化粧へと入らせて頂きます、此方へおかけになってください」
「今日はお父様に快気のご報告に行く位だから必要ないんじゃ……」
「いけません、お嬢様!淑女ともあろう方が素顔を晒すなど!」
物ぐさな私の言葉をリズが否定して、そんな彼女がハッとして慌てて口を閉じた。だが、彼女自身の言葉を訂正する事はない。
傲慢な主に怯えながらも、主を諫める勇気を持つ小さな女の子。それがリズ……
今までのワタクシは、それが勘に障って激しくリズをいびり倒していた。
同時に、彼女の芯の強さに好感を抱いても素直になれないでいた。
「そうねリズ、貴女の言うとおりですわ。でもワタクシは早くお父様にご報告したいの……だから貴女の思う必要な事だけやって頂戴。いつものは……やらなくてよくってよ」
「は、はいっ!畏まりました!」
震えていたリズが、その赤毛のツインテールをした頭を下げると、早速メイド達と作業に取り掛かってくれた。
怯えたり、泣きそうになったり、喜んだり、目を輝かせて今もこうしてやる気になったりと、彼女の変化は見ていて飽きない。その髪型と可愛らしい表情から、赤い小型犬を見ている気分になる。
確かまだ13歳のはずだ……男爵家令嬢であるが、行儀見習いとして奉公に来ている少女。
誰もやりたがらないワタクシの専属メイドを押し付けられた可哀想な少女。それでも決して立場と責任から逃れる事なく、怯えながらも責務を全うしようとするリーゼロッテ・レッドフィールド。
そう……これで繋がった。私の運命を変える最初の鍵は、とても近くにいてくれた……
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ちなみにいつものって言うのは、お嬢様特有の伝統ある髪型「縦巻きロール」にする事です。長時間掛かるので、長風呂した主人公が体力的にも精神的にも拒否してます。
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