深きダンジョンの奥底より

ディメンションキャット

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光明

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 エレナ・ブラッディ、2年前突如引退した共和国最強の賞金首狩り。今は魔物被害対策室という機関の室長として各地のダンジョンを巡り、問題を解決しているとか。

「大丈夫……潜伏系スキルを使ってるからよっぽどじゃないとバレないわ。そのまま話を聞いて」

 そんなふうに囁く、すぐ後ろにいる伝説級の人物に俺はコクコクと頷くしか無かった。目の前ではアラクネと帝国の奴らが死闘を繰り広げていた。

「ここに転移石っていうのがあるわ」

 後ろ手にエレナが持たせてきた、ひんやりと硬い感触を確かめる。石というよりはつるつるとした手触りからは結晶のような感じだろうか。

「この石を握って転移を念じれば、持っている人とあと一人だけが共和国の議会場にどこからでも転移が可能なの」
「……っ!?」

 帰れるのか!?  この出口の無い裏迷宮から!?
 だが、まだ分からないことがある。

「なぜ……みんな俺を欲しがる?」

 当然の疑問。教国も帝国も共和国も俺のためだけに、裏迷宮という深淵に刺客を送り込んだ。[転生者の篝火]という称号は一体何なんだ?
 俺の問いにエレナは少し言い淀んで、でも話し始めた。

「えっと……いや、うん。[転生者の篝火]、その称号は神に与えられし役割。世界に災厄が降りかかる時に現れる。かつて魔王が君臨していた時代にも居たとされているわ。そして現在、再びあの時と同じ、それ以上の脅威を誇る魔王が動き出した」
「……魔王が?」
「本人は未だ四天王としか名乗らないけどね」

 『不敗のユーラ』……か。四天王の中でも最強とされる奴が生きて、再び活動を始めたというならば確かにそれは世界の危機だろう。
 魔王とはあくまで役割に過ぎない。魔族の中で最も力を持つものを、例え本人がそう名乗らずとも人族側が魔王と認定すれば魔王として扱われる。魔族は力の強いものに従うことを当然と考えるわけだから、事実上も魔族の王と考えていいのだ。

 確かに対処すべき問題だが、これは先の答えになってない。なぜここまで[転生者の篝火]を奪い合うのか。結局、それは単にどの国も利益主義で、俺を引き込み軍を作り、魔王を倒すという、

「手柄が欲しいというわけだ」
「……」

 セージと話した。転生者を養成する専門の機関があったと。そこでは毎日戦闘の訓練を行い、高い教育が施された、と。俺はそれを聞いて、少なくとも他国の人間を過剰に貶めるような教育を、毎日のように傷だらけになるほど戦うことを、健全なものとは思えなかった。
 きっとどの国も同じなんだろう。そして、それは俺が一国に肩入れした途端にもっと酷いものになるんだろう。俺がいる限りその国には殆ど無限に転生者は現れるだろうからだ。

「どうしようkっ?!」

 急に首根っこをエレナに掴まれ、後ろに引っ張られる。

「うおっ!?」

 一瞬宙を浮き、すぐにエレナの後ろの地面にたたきつけられた。

「急になん……いや、ありがとう」

 言われのない暴力に不平を言おうとした……が、俺は自分が元いた場所が焦土と化しているのが目に入って言葉を止め、感謝を伝える。
 だが、俺が驚いて大声を出してしまったせいでアラクネもアレスもエレナの存在に気付いてしまった。突如現れた新たな勢力に2人とも鋭く目を光らせた。
 
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