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5人目
巨撃
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「「キャーーーー!!」」
「うおぉぉぉぉぉ!!」
砂から出ている部分だけでも、50メートルぐらいはあるミミズ。そいつらを中心に巨大な砂の渦巻きが発生し、それに巻き込まれた船は高速で片方のミミズの巨体へと突進していた。
制御を失った船は暴れ馬のように傾き、回転し俺たちを振り落とそうとする。
「っ<地掌>!!」
リカが操縦が効かない魔道船に魔力を流すのをやめ、代わりに魔法を行使すれば、滑り落ちていく船の左右に砂が固まって出来た小さな手が大量に浮かび上がり、船は再び真っ直ぐ前を向く。
「助かる! <鑑定>!」
船べりをしっかりと掴み、俺はスキルの照準を突っ込んでいる方のミミズに合わせる。第6層の巨大なミミズ、おおよそ何という魔物なのか見当はついているが念の為、だ。
「やっぱり、魔蟲キングワーム……かっ!」
「……っ、じゃあ火が有効ねっ!」
リカが抑えてくれているため船自体が回転するようなことは無いがそれでも揺れは激しい。俺と同じように舌を噛みそうになりながらも、シズクはそう言った。
その時、べきっ── という足元からの音で、俺たちは揃って下を向く。船底に亀裂が走っていた。亀裂はどんどんと太く、横に延び続ける。
「あっ、」
そして、船が真っ二つに割れた。
空中に放り出される体、足場が無くなり俺たちは無防備に飛ぶ。更に最悪なことに、この瞬間を狙っていたかのようにキングワームの1匹が身を捻り、上からの体当たりを仕掛けてきた。
「リューロ!」
「<空中歩行>!」
近くを飛ぶリカを俺は空中で抱き抱え、<空中歩行>でなんとか体勢を立て直す。俺にお姫様抱っこされているリカにシズクは「ズルい」と言いながらも、彼女は彼女で空を蹴り事なきを得ている。
「そのままじゃぞ! <火焔── 」
「ちょ、待て!!」
── くそっ、片脚が無いせいで安定が!
リカは上から襲うキングワームを狙おうと杖を向けているが、空中歩行で足場を作ってもどうしても右脚がないせいで、俺の身体が右に倒れてしまう。
「槍>! って、全然違うところに……」
結局俺が倒れたせいでリカの放った炎の槍は空に消え、そのまま俺とリカは仲良く自由落下を再開する。
もう既に上を向けば視界いっぱいにキングワームの身体が埋め尽くしている。キングワームに潰されるまで、もう瞬きをする時間すら無い。
── 潰される!!!
俺は向かってくる頭上の死から目を逸らし下を向いて、抱き抱えているリカを見る。が、そのリカの目はまだ諦めていなかった。
「<重力操作>!」
「っ!」
リカが咄嗟の判断で使った<重力操作>、それによって下に落ちていた俺たちは急速に横方向へと落下を始め、ギリギリで俺の背中をキングワームの巨体が掠める形で回避する。
背後で、ドォン!! ── という音と共に空まで高く登る砂埃が発生する。俺がそれを見て一息ついた瞬間、
「正面、もう1匹!!」
俺たちに避けられ、再び砂に潜ろうとしているキングワームに黒い斬撃を飛ばしながらシズクは叫ぶ。
その言葉通り、もう1匹のキングワームが薙ぐように地面と平行に迫ってきていた、それも俺たちが落ちている方向から。
「<重力操作>!!」
「<盾空>!!」
リカが重力方向を元に戻すのと同時に、俺はユミから継承したスキル<盾空>を前方に展開する。
その瞬間、バン!!── という衝撃が走った。
盾越しでも指、手の甲、腕の順番で骨が軋み、あまりの激痛に言葉にならない呻き声が出る。そして身体はその重量に耐えきれず、途方もない速さで後方に吹っ飛ばされた。
「うおぉぉぉぉぉ!!」
砂から出ている部分だけでも、50メートルぐらいはあるミミズ。そいつらを中心に巨大な砂の渦巻きが発生し、それに巻き込まれた船は高速で片方のミミズの巨体へと突進していた。
制御を失った船は暴れ馬のように傾き、回転し俺たちを振り落とそうとする。
「っ<地掌>!!」
リカが操縦が効かない魔道船に魔力を流すのをやめ、代わりに魔法を行使すれば、滑り落ちていく船の左右に砂が固まって出来た小さな手が大量に浮かび上がり、船は再び真っ直ぐ前を向く。
「助かる! <鑑定>!」
船べりをしっかりと掴み、俺はスキルの照準を突っ込んでいる方のミミズに合わせる。第6層の巨大なミミズ、おおよそ何という魔物なのか見当はついているが念の為、だ。
「やっぱり、魔蟲キングワーム……かっ!」
「……っ、じゃあ火が有効ねっ!」
リカが抑えてくれているため船自体が回転するようなことは無いがそれでも揺れは激しい。俺と同じように舌を噛みそうになりながらも、シズクはそう言った。
その時、べきっ── という足元からの音で、俺たちは揃って下を向く。船底に亀裂が走っていた。亀裂はどんどんと太く、横に延び続ける。
「あっ、」
そして、船が真っ二つに割れた。
空中に放り出される体、足場が無くなり俺たちは無防備に飛ぶ。更に最悪なことに、この瞬間を狙っていたかのようにキングワームの1匹が身を捻り、上からの体当たりを仕掛けてきた。
「リューロ!」
「<空中歩行>!」
近くを飛ぶリカを俺は空中で抱き抱え、<空中歩行>でなんとか体勢を立て直す。俺にお姫様抱っこされているリカにシズクは「ズルい」と言いながらも、彼女は彼女で空を蹴り事なきを得ている。
「そのままじゃぞ! <火焔── 」
「ちょ、待て!!」
── くそっ、片脚が無いせいで安定が!
リカは上から襲うキングワームを狙おうと杖を向けているが、空中歩行で足場を作ってもどうしても右脚がないせいで、俺の身体が右に倒れてしまう。
「槍>! って、全然違うところに……」
結局俺が倒れたせいでリカの放った炎の槍は空に消え、そのまま俺とリカは仲良く自由落下を再開する。
もう既に上を向けば視界いっぱいにキングワームの身体が埋め尽くしている。キングワームに潰されるまで、もう瞬きをする時間すら無い。
── 潰される!!!
俺は向かってくる頭上の死から目を逸らし下を向いて、抱き抱えているリカを見る。が、そのリカの目はまだ諦めていなかった。
「<重力操作>!」
「っ!」
リカが咄嗟の判断で使った<重力操作>、それによって下に落ちていた俺たちは急速に横方向へと落下を始め、ギリギリで俺の背中をキングワームの巨体が掠める形で回避する。
背後で、ドォン!! ── という音と共に空まで高く登る砂埃が発生する。俺がそれを見て一息ついた瞬間、
「正面、もう1匹!!」
俺たちに避けられ、再び砂に潜ろうとしているキングワームに黒い斬撃を飛ばしながらシズクは叫ぶ。
その言葉通り、もう1匹のキングワームが薙ぐように地面と平行に迫ってきていた、それも俺たちが落ちている方向から。
「<重力操作>!!」
「<盾空>!!」
リカが重力方向を元に戻すのと同時に、俺はユミから継承したスキル<盾空>を前方に展開する。
その瞬間、バン!!── という衝撃が走った。
盾越しでも指、手の甲、腕の順番で骨が軋み、あまりの激痛に言葉にならない呻き声が出る。そして身体はその重量に耐えきれず、途方もない速さで後方に吹っ飛ばされた。
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