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最終章?
覚悟
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ウォーカーから作戦を聞いた俺は、マサトとミレイが『消失王』クニヒコと戦っている場所に向かっていた。ただ、ウォーカーと行動を共にしているが、まだ俺は彼らに協力するかの結論は伝えていない。心の中では既に答えが出ているものの、それが本当に正しいのかを確かめる時間が欲しかった。
書斎を出て、長い長い廊下を俺たちは歩く。暗く細く、それでいて冷たい空気を纏った道。そこをウォーカーの後ろを、囚人のように付いていく。頭の中は今までに出会い別れた転生者のみんなと、ここまで共に来た三人が浮かんでいた。
「抜けるぞ。この先だ」
ウォーカーの言葉通り、直ぐに開けた世界が顔を出す。突然明るくなったせいで、目がチカチカする中で、目の上に手をかざして見れば、そこは俺たちが元々居た場所とほぼ同じ闘技場だった。
そして、その中央にはマサトとミレイと、『消失王』のクニヒコが──
「──なっ……?」
戦場を見た俺は声が漏れる。
だが、それも当然だ。俺とミレイ相手に圧倒していた、あのクニヒコが追い詰められている状態で時間が止まっていたのだ。左上半身は弾け飛び、また急所を避けてはいるものの全身に弾が貫通している。空中に浮かぶ血液が鮮やかに恐ろしかった。
「やはり駄目だったか……」
ウォーカーは溜息をつきながら、宙で止まる肉片を器用に避けながらマサトとミレイ側の方に歩いていく。俺はその後を追いかけながら「やはりって?」と聞いた。
「マサト・タカダの『風固定』はクニヒコの相性は最悪だ」
「……相性?」
「クニヒコの『消失』の発動条件は、物理的障壁が間にない状態で対象を視認できること。マサト・タカダが空気に物理性を持たせることが出来る以上──」
「完封できる、か」
前回戦った時のことを考えれば、クニヒコは自分自身を消失させることも出来ると思われる。だが結局それでマサトの空気の壁を抜けたとしても、マサトならば直ぐに新たに壁を作ってしまうだろう。不可視なのに物理性を持つそれは、それ自体を消失させることも出来なければ、マサト本体を消失させることも防ぐ。確かに、最悪の相性だ。
今思えば、俺がクニヒコと戦った時も、俺が<隠密>をしようとした途端に、先制攻撃を仕掛けてきた。あれも視認が出来なくなることを恐れたからなんだろう。
「で、お前はどうする?」
マサトの真後ろに立ったウォーカーは、俺の方を向かずに聞く。もし俺が協力をするというならば、作戦に従うというならば、俺は俺の手でマサトとミレイを殺さなければならない。俺が二人の特典を受け継がなければならない。それを、ウォーカーは「どうする?」と聞いているのだ。
「……」
亡くしてしまった仲間の想いが既に俺には受け継がれている。1層で俺を命を救ってくれたエディもローザもアンも、2層から3層にかけて俺の心を救ってくれたセージも、5層で俺が救えなかったユミも、4層から8層までずっと俺を支えてくれたリカも、全員の背負ってきたものを俺は[転生者の篝火]として受け継いでいる。
一応、答えは決まっている。ただそれが正しいのかは分からない。みんなならどうするのだろう。
エディは何と言うだろう? ローザは? アンは?
「世界を救う云々より、まずはテメェの心に正直になれ。お前が正しいと信じるなら、それでいいんだよ」
「私が救える命があるならば、私は何だって犠牲にします。リューロさんなら、大丈夫です。私以上に優しい人ですから」
「ふん、世界なんてどうでもいいでしょ。ただ、仲間が世界を滅ぼすのは黙って見てられない。違う? だから、あなたの答えに私は賛成よ」
セージは? ユミは? リカは何と言う?
「グランツ、お前ならなんだってやれる。どんな選択だろうとな」
「大好きなあなたが、望むならば、それが正解なのです。でしょう? そうでない世界なんて要らないし」
「リューロよ、わしの国の民を頼んだぞ」
「そうか……そうだよな。お前らならそう言うよな……」
幻聴かもしれない。だが、確実に俺にだけは届いた声に俺は笑ってしまう。それでいて泣いてしまう。ただ、確かなのは俺の心に今、火が灯ったということ。
罪滅ぼし、それともそんな名前の自己満足。もしくは責任感、受け継いだものを無にしないための防衛行動。さらには使命、俺にしか出来ない神に与えられた運命を受け入れて立ち向かう。そして新たな一歩、俺がこのまま燻らないための克服の一歩。
世界が滅びたら俺も困るからとか、軽いものじゃない確かな火が、俺の心には灯っていた。
だから応える。
「俺がやる。マサトもミレイも俺が殺す」
俺の返答にウォーカーは振り返って笑った。不器用な笑みだ。
「良い顔つきになったな。なら5秒後、時間を動かす」
***
「<魔法剣>」
──ブスッ!
的確に魔法剣がマサトとミレイの二人の首を後ろから貫いた鈍い音、それと共にマサトは振り返る。
「リュ……ロ……? なん……ゴフっ……どう……て?」
「ユリ……ス……様ぁ」
喉を貫いたから、血が詰まって喋れていない。呼吸ができていない。血を口から吐き出しながら、二人は恨めしげに俺を睨みながら血に伏す。俺はそこから目を逸らさない。ただじっと受け止めた。
ステータス
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
[リューロ・グランツ] 19歳 人族 男
レベル 90
体力 SS
魔力 SS
膂力 SS
俊敏性 SSS
スキル
< 疾走 ><軽量化><隠密><治癒><反転><対象変更><鑑定><瞬歩><クナイ><空中歩行><烈爪><盾空><爆哮><封印><開放><波撃><渦烈槍><水獄><結円><陽動><分裂弾><炸裂弾>
称号
[転生者の篝火]⋯ 転生者と出会い導く運命を神に与えられた者の称号。その篝火を灯せば転生者は正しく道を歩み貴方に感謝するだろう。その篝火を消せば転生者は霧の中を彷徨い、全ての力は貴方の手の上のものになるだろう。
転生者特典
『超回復』『忍びの術』『魔道の極み』『代償成就』『水操術』『変装』『風固定』『強度変更』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
書斎を出て、長い長い廊下を俺たちは歩く。暗く細く、それでいて冷たい空気を纏った道。そこをウォーカーの後ろを、囚人のように付いていく。頭の中は今までに出会い別れた転生者のみんなと、ここまで共に来た三人が浮かんでいた。
「抜けるぞ。この先だ」
ウォーカーの言葉通り、直ぐに開けた世界が顔を出す。突然明るくなったせいで、目がチカチカする中で、目の上に手をかざして見れば、そこは俺たちが元々居た場所とほぼ同じ闘技場だった。
そして、その中央にはマサトとミレイと、『消失王』のクニヒコが──
「──なっ……?」
戦場を見た俺は声が漏れる。
だが、それも当然だ。俺とミレイ相手に圧倒していた、あのクニヒコが追い詰められている状態で時間が止まっていたのだ。左上半身は弾け飛び、また急所を避けてはいるものの全身に弾が貫通している。空中に浮かぶ血液が鮮やかに恐ろしかった。
「やはり駄目だったか……」
ウォーカーは溜息をつきながら、宙で止まる肉片を器用に避けながらマサトとミレイ側の方に歩いていく。俺はその後を追いかけながら「やはりって?」と聞いた。
「マサト・タカダの『風固定』はクニヒコの相性は最悪だ」
「……相性?」
「クニヒコの『消失』の発動条件は、物理的障壁が間にない状態で対象を視認できること。マサト・タカダが空気に物理性を持たせることが出来る以上──」
「完封できる、か」
前回戦った時のことを考えれば、クニヒコは自分自身を消失させることも出来ると思われる。だが結局それでマサトの空気の壁を抜けたとしても、マサトならば直ぐに新たに壁を作ってしまうだろう。不可視なのに物理性を持つそれは、それ自体を消失させることも出来なければ、マサト本体を消失させることも防ぐ。確かに、最悪の相性だ。
今思えば、俺がクニヒコと戦った時も、俺が<隠密>をしようとした途端に、先制攻撃を仕掛けてきた。あれも視認が出来なくなることを恐れたからなんだろう。
「で、お前はどうする?」
マサトの真後ろに立ったウォーカーは、俺の方を向かずに聞く。もし俺が協力をするというならば、作戦に従うというならば、俺は俺の手でマサトとミレイを殺さなければならない。俺が二人の特典を受け継がなければならない。それを、ウォーカーは「どうする?」と聞いているのだ。
「……」
亡くしてしまった仲間の想いが既に俺には受け継がれている。1層で俺を命を救ってくれたエディもローザもアンも、2層から3層にかけて俺の心を救ってくれたセージも、5層で俺が救えなかったユミも、4層から8層までずっと俺を支えてくれたリカも、全員の背負ってきたものを俺は[転生者の篝火]として受け継いでいる。
一応、答えは決まっている。ただそれが正しいのかは分からない。みんなならどうするのだろう。
エディは何と言うだろう? ローザは? アンは?
「世界を救う云々より、まずはテメェの心に正直になれ。お前が正しいと信じるなら、それでいいんだよ」
「私が救える命があるならば、私は何だって犠牲にします。リューロさんなら、大丈夫です。私以上に優しい人ですから」
「ふん、世界なんてどうでもいいでしょ。ただ、仲間が世界を滅ぼすのは黙って見てられない。違う? だから、あなたの答えに私は賛成よ」
セージは? ユミは? リカは何と言う?
「グランツ、お前ならなんだってやれる。どんな選択だろうとな」
「大好きなあなたが、望むならば、それが正解なのです。でしょう? そうでない世界なんて要らないし」
「リューロよ、わしの国の民を頼んだぞ」
「そうか……そうだよな。お前らならそう言うよな……」
幻聴かもしれない。だが、確実に俺にだけは届いた声に俺は笑ってしまう。それでいて泣いてしまう。ただ、確かなのは俺の心に今、火が灯ったということ。
罪滅ぼし、それともそんな名前の自己満足。もしくは責任感、受け継いだものを無にしないための防衛行動。さらには使命、俺にしか出来ない神に与えられた運命を受け入れて立ち向かう。そして新たな一歩、俺がこのまま燻らないための克服の一歩。
世界が滅びたら俺も困るからとか、軽いものじゃない確かな火が、俺の心には灯っていた。
だから応える。
「俺がやる。マサトもミレイも俺が殺す」
俺の返答にウォーカーは振り返って笑った。不器用な笑みだ。
「良い顔つきになったな。なら5秒後、時間を動かす」
***
「<魔法剣>」
──ブスッ!
的確に魔法剣がマサトとミレイの二人の首を後ろから貫いた鈍い音、それと共にマサトは振り返る。
「リュ……ロ……? なん……ゴフっ……どう……て?」
「ユリ……ス……様ぁ」
喉を貫いたから、血が詰まって喋れていない。呼吸ができていない。血を口から吐き出しながら、二人は恨めしげに俺を睨みながら血に伏す。俺はそこから目を逸らさない。ただじっと受け止めた。
ステータス
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
[リューロ・グランツ] 19歳 人族 男
レベル 90
体力 SS
魔力 SS
膂力 SS
俊敏性 SSS
スキル
< 疾走 ><軽量化><隠密><治癒><反転><対象変更><鑑定><瞬歩><クナイ><空中歩行><烈爪><盾空><爆哮><封印><開放><波撃><渦烈槍><水獄><結円><陽動><分裂弾><炸裂弾>
称号
[転生者の篝火]⋯ 転生者と出会い導く運命を神に与えられた者の称号。その篝火を灯せば転生者は正しく道を歩み貴方に感謝するだろう。その篝火を消せば転生者は霧の中を彷徨い、全ての力は貴方の手の上のものになるだろう。
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『超回復』『忍びの術』『魔道の極み』『代償成就』『水操術』『変装』『風固定』『強度変更』
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