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第1章 冒険者生活を始める。
冒険者ギルド[レムベル]
しおりを挟むアヴラム達がやって来たのは冒険者ギルド[レムベル]だ。
とりあえず現場から一番近いギルドを選んだのだが、そこにはクローバーとスペードが掲げられておりハートが無い。
なので聖騎士団とは結び付きが強くないはずなので安心して中に入る。
ゆっくりと扉を開けたつもりだったのだが『ギィー』と音がなる。
その音に反応して、併設されている酒場で昼間っから酒を飲んでいる冒険者だと思われる人に声をかけられる。
あまりにもラフな格好なので、このままで魔物を倒しに行けるのであれば、かなりの実力者だろう。
まぁお金が無くて、酒代の為に防具を売った、駄目な大人の方だと思うがな。
流石に昼間っから酒を飲んで酔い潰れてかけている人が、冒険者の中で実力者とは思いたくない。
「兄ちゃん、ここ初めてだろ。左側の扉は建てつけが悪くて軋むんだよ。ヒック!」
「そうなんですね。ご親切に教えてくれてありがとうございます」
なんとそんなトラップが! じゃなくて、単に直していないだけか。
あんまり絡まれたくないので、先に進もうとすると再度話しかけられる。
「まぁ待ちな。ヒック! 今はここのギルド長の機嫌が悪いから、仕事の依頼をするなら別の日にした方がいいぜ。ヒック!」
「ん? そうか。でも仕事の以来をする為に来たわけではないからな。それに今回はギルド長に会うつもりもないし」
でも一応教えてくれたことには感謝しなければいけない、というかそのつもりで声をかけてきたようなので、銀貨一枚を酒場のマスターに渡して、彼にお酒を出してもらう。
「悪いな兄ちゃん。へっへ。ヒック!」
「……ほどほどにしときなよ」
そうして、俺の後ろで鼻を摘まむ二人を隠しながらギルドの奥に入っていった。
■■■
ギルドの受付に行くと声をかけられる。
「あれ? あなたたち見ない顔ですね? もしかして依頼をしにきた方ですか?」
俺の格好が装備を殆どしてないということもあって、皆、依頼する側だと勘違いするな。
まぁ別に困らないからいいけど。
「いえ、依頼ではなくて、そこで盗賊が伸びているので、報告に来ました」
「……はい!? 盗賊が伸びているのですか……君たちそれは本当?」
何故かビートとリコンにも確認をとる。
(そんなに俺、信用ならないかな?)
まぁ、さっきのオッサンと同じようにラフな俺の格好では誰も俺が倒したとかは思わないだろうけど。
「そうですか、分かりました。それではこれからギルドの者に確認させます。本当ならおそらく報酬を支払うことになるのですが、あなた達は冒険者では無いですよね?」
「そうですね。一応こっちのビートは商業ギルドに所属してるんですが」
「分かりました。ではビートさんのギルドカードを貸して頂けますでしょうか? 成果として記録しますので」
ということなので、ビートにギルドカードを出させる。
ちなみに『俺の(仮)のギルドは使えないのですか?』と聞くと、(仮)のカードは発行したギルドでないと駄目ならしい。
保証上の問題らしいが、俺も早く正式に登録しないといけないな。
「では暫くお待ち頂ければ、直ぐに確認出来ると思いますけど、他に何か用件はありますか?」
「あともう一つ報告しておかなければいけないんですけど」
■■■
結果的にリコンの事を話したが、とりあえず不問ということになった。
とりあえずというのは、正式に決定するのは、捕らえた盗賊の調査が終わった後になるとのことだからだ。
それでも結果的に盗賊を捕まえることができたということと、状況から不問にすることが出来るだろうと。
「不問なら、可能であればですが、リコンを冒険者として登録してくれませんか?」
「登録は問題なくできます。万が一有罪という判断を下されると、取り消しになる可能性はありますが。……ですが失礼ですが、お金を払うことは出来ますでしょうか?」
そう言うと、リコンの方を見た。
この辺りにはスラムなどに住む獣人が多くいたりするので、リコンが本当にお金を払えるのかということだろう。
獣人の為にお金を出すような真人族はほとんどいないみたいだし、まして奴隷にお金を出すこともまず無いので、俺が払うとはつゆとも思っていないみたいだな。
でもそれはアヴラムには関係ないので、『俺が払うので問題ないです』と答える。
「えっと……そうですね。はい。それで何も問題ありません。手続きをしますので、リコンさんはこちらに来て下さい。あとの二人はそのまま暫くお待ち下さい」
ということなので、無事にリコンのギルド登録をしてもらえるみたいで良かった。
(だが冒険者ギルド内で待つのはなぁ……)
アヴラムのラフな格好と獣人を二人も連れていたこともあって、まだ変な視線を向けられるので嫌なのだけど、暫くの我慢する。
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