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第6章 回復薬(2)
#33 試作する
しおりを挟む多段式の鍋それも大きなものを用いて濃縮していく作業を流れ作業にすることで効率化を図り生産効率を上げることにした。
その道具の準備のために各人がそれぞれの準備を進め、完了したところでそれを合わせることにした。
■■■
「どんな感じだエルラー?」
「これでどうだ」
見せてくれた鍋は下部に排出機構として穴に管を付けたもので、詰め物を取れば次の鍋に回復薬を出せる仕組みでシンプルなものだ。それが5段階に連なっている。
見た目では分からなかったが後に聞くに、魔力を効率良く通す為にミスリルが混ぜられたとんでもない鍋なのでかなりの費用が掛かっているが今回はやむを得ないだろう。
「いいと思う。後は試してみるだけだが、とりあえずこの魔道具を設置してみよう」
ということで作製した魔道具を鍋の下部に設置していくが、最初は上手くいくかわからないのでとりあえずは試運転を行う。
ハヤトには魔道具は動かせないのでコスタを呼び出して実験して貰う。魔道具を使うために魔力を扱えてかつ濃縮作業に一定の錬金スキルがいるので、ハヤトもエルラーもヒソネにも試すことが出来ないのだ。
「どうだ、上手く行きそうか?」
「いや撹拌の具合があんまりだな、それに魔力をコントロールし続けるのは俺には結構しんどいぞ」
「そうか……うーんそれは何とかしないといけないな」
とりあえず魔力の供給面は置いといて、撹拌が上手くいくように設置する魔道具の数、サイズ、向きをハヤトが上で調整していく。
すると最初の3段階までは錬金スキル持ち以外が魔道具を動かして、錬金スキル持ちは上で軽く鍋の中身をかき混ぜているだけでも濃縮作業を進められることが分かった。
最後の濃縮はソーラスが担うが、彼女であれば魔力のコントロールも量も問題ないので、ハヤトは最初の3段階の魔道具を代わりに動かせてかつ魔力量に問題の無いであろう人物にお願いをしに行くことにした。
■■■
ハヤトには魔力の供給を一手に担っても問題無さそうな人は一人だけ心当たりがある。頼んでも良いものか分からないが背に腹は代えられない。
商会の中を探しても見つからなかったので、外で聞き込みをすると直ぐに見つかった。聖騎士団の格好をしている人などこの町で見かけることなどまず無いので皆が覚えていたから簡単だった。
そこは町の外の魔の領域である森に入って直ぐの所だった。アトゥムスを遠巻きに冒険者達が見ているので、場所は一目でわかる。
「アトゥムスさん、少しいいですか?」
「あれ? 以外と早かったね。それにしてもこの剣は本当に面白いよ。炎を軽く纏うだけの簡単なものだけど、剣としてもなかなか悪くないね」
魔剣の試し切りを魔物相手に行っていたみたいだ。辺りにはアトゥムスに斬られた魔物が倒れている。
「これを全部アトゥムスさんが倒したんですか?」
「そうそうゴブリンが群れていたからね、色々と試してみたんだよ。そしたらこんなことも出来るんだよ!」
アトゥムスはそう言って剣に炎を纏わせたと思ったら、その炎を剣撃の圧と共に飛ばし離れた位置にいたワーウルフを屠る。
炎を剣に纏ったのは一瞬で、剣圧も簡単には見ることが出来ない速さなので遠巻きにいた冒険者にはいきなりワーウルフが発火したように見えただろう。
「凄い! 一流の剣士が扱うとこうも武器は真価を発揮するものなのですね!」
「はは! そう言ってくれると嬉しいね」
「て、そんなことを言いに来たのでは無いんですよ。実は一つお願いしたいことがあって……」
と魔力をコントロールして魔道具に供給することを担って貰えないか頼む。
「それを私が行うメリットはどこにあるのかな? その仕事は団長から君達が請け負ったものでしょ。なら君達だけで成し遂げるのが普通なのではないかな?」
正論過ぎてぐうの音も出ないのだが、ここで引き下がるわけにはいかない。
「でもそれだとうちには魔剣を作る余裕なんて無くなりますよ? ただでさえお金がないのに今回の一件でとんでもなく出費を重ねていますから、このままこの案件を達成できなければ商会が潰れかねないですよ」
「うーん、それならそれでも他の場所で君たちに作ってもらえば良いだけ……と言いたいけどそれで気持ちの籠ってない剣を作られても嫌だから仕方ないか。団長には黙っておいてよ?」
「勿論ですよ!」
「あと、本当に私が望む剣を作ってくれると約束をしてくれるかな?」
「ええ勿論ですよ!」
ということでアトゥムスの手を借りることが出来たので、いよいよ量産をスタートさせる体制が整った。
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