僕の策略は婚約者に通じるか

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僕の策略は婚約者に通じるか

5.策略の結末

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「イヤラシイね、そんなに欲しいんだ?淫乱だなぁ」

「あっ、ぁ……ちが、……」

 ぐちゃぐちゃ掻き混ぜられ、指が増やされていく。浅いところから奥へ、挿し入れる指の触れる位置が変わった。
 押されると顕著な反応を示す場所は泣くまで責められた。勃ってもたらたら滴る程度で出るものがなくなった分身をそれでも擦られ促された。

「フリード、フリ……っド……たすけて、ぇ」

「だーめ。俺のこと忘れたんだからお仕置き、でしょ」

「……ない、からぁ……っ」

 もう赦して。出すものはないのに昂ぶらされて、でも満たされもしないで。このどうしようもない身体の疼きはフリードしか鎮められないのに、意地悪く躱そうとする。
 ならば情けなくも縋るしかない。忘れて離れて、いなくなってしまえばいいと安易に思ってしまった僕の浅はかな計略なんて、こんなにあっさり暴かれることになってしまった。まだ一歩も逃げていないのに早くも失敗だなんて。

「忘れて、…っない、からっ……ぁ」

「そう?じゃあ確認しようか。ユンの好きな人は誰?」

「フ、フリ…っ……ド」

「うん合ってる。俺もユンのこと愛しているよ」

 ふふって嬉しそうに笑うから、どうしてそんなこと言うのか本当にわからなかった。何故だが僕が嘘をついていたことは何も咎める気がなさそうだ。
 それに、愛してるって……どうしてそんなこと言うの?
 だっているハズなのに、僕じゃない本当に好きな誰かがいるのでしょう?
 正直に婚約を解消したいって話をしてくれていいんだ。もう僕のことを大切にする必要なんてない。ちゃんと話をしてくれたら応じるから、離れるから、フリードの前から消えるから………

「ふぇ、っ………う、っ……」

「ユン?どうしたの……」

 眦からポロポロ耐えられなくて涙が溢れた。決めたハズの心が、好きな人から拒まれることを想像して悲しみに染まっていく。ぎゅうっと掴まれたみたいに心臓が痛い。
 少しだけ泣くことを許してほしい。そうしたらちゃんと忘れるから、泣いたら、もうさようならって言うから。だから、ちょっとだけ待ってほしい。

「フリー、ド……本命が、いるって。我慢して、るって……っ」

「んー、?そんなこと言って……ああ、あれかな。休み時間の?聞いてたの?」

 コクコク首を縦に振って肯定する。やっばり話していたのはフリードだったんだ。
 絶望的な展開にまたポロポロ涙が溢れる。隠せなくても早く消してしまいたくて、僕は乱暴に目を擦った。

「ああダメだよ、そんなことしては」

「あう…っ、!」

 後孔から指が引き抜かれ、擦っていた両手を顔の横へ縫い留められた。みっともなく濡れた顔が晒される屈辱。せめて目が合わないようにと思って固く閉じておくことにした。

「ユン、目を開けて?」

「いや……」

 ほらって促されチュッチュッ目元へ唇を寄せる。唇にもされてまた瞼へ催促していった。
 たぶんフリードから折れることはないし、いつまでもこうしているわけにもいかないのは承知している。優しいけれど何気にやり始めたことや言ったことは最後まで必ずやり通すし、今回も僕が目を開けるまで諦めないだろう。とにかくしつこい。

 仕方なくおずおず瞼を持ち上げはしても視線は上げられない。どんな顔をしているか何を言われるか見たくないんだから。

「ねえ、俺を見て」

 ああ、きっと見るまでまた僕は何かされそうな予感がする。されてから見るのと、されずに今すぐ見るのと、どっちがいいかって。それは今すぐ見る、だろうな。
 わざわざ余計な気力を使う必要なんてない。だから、ゆっくり視線を上げてフリードを見ることになった。そこには欲が灯り、間違えようもなく僕を求める双眸があった。

「ぁ、」

「俺のはユンしかいない。愛しているし、こうして……欲情もすれば犯したくてたまらない」

「ひぃ……っ」

 フリードが腰を擦り付けたソコには硬くなったものの存在が主張していた。僕とほまったく違う大きさに、一瞬恐れる気持ちが湧く。

「正式な婚約まで待つつもりだったし、怖がらせないよう懐柔していく予定だったけど、……まあいいか。身体から堕とすよ」

 妖しく笑んだフリードは美しくかっこよく、そして悪い顔をしていた。





 翌日、昼というよりは午後のティータイムに近い時間に目が覚めた。打撲の痛みとは別の全身筋肉痛とあられもないところの痛みが加わり、僕は一人で動けない身体になっていた。
 しかも声が出ない。目元もヒリヒリするし、見えるところだけでも身体のあちらこちらに鬱血痕や噛み跡がある。軽く表現しても相当酷い。いや本当に酷い。

「ジ、っ……こほっ」

 声が出ないんだってば。
 目でジッと見れば察してくれたようで、フリードが機嫌よく世話を焼いてくれた。
 さすがに素肌は見せられないなあ、着替までは私がやるよ。と言ってはいたものの結局侍女任せにすることなく色々とやってくれている。面倒というよりはとても楽しそうで、何よりだ。この際、ありとあらゆることをやってもらおうと思っている。

 酷い。動けない。フリードのばかって言ったのに、かわいいってキスされた。ポカポカ力の入らない手で叩いてみたけど抱きしめられてしまった。ズルい。

 いつの間にか侍医へはフリードから説明をしてあり、落ち着いて話をしているうちに記憶が戻った。ということになったらしい。
 母上にも昨夜のうちに心配で離れたくない旨を伝え、同衾の意志を伝えたらしい。ちょっと母上、許可したんですか?それであんな顔されたのか。どういうことですか?おかしいでしょ。婚約者だけど、親公認ってどうなの。

「反応が可愛くて、色々無理させてごめんね。蕩けちゃってかわいい。ああそういえば、最初から記憶あることは明らかだったし」

「…ぇ……っ…」

 一瞬固まる。僕があんなに色々と悩んだのは何だったのか。一人で右往左往して悩んで悩んで一大決心したというのに。

 どうしてわかったんだろう。
 きょんと首を傾げた。

 フリードは悶々としかめっ面になっていく僕の顔を両手で包んで、ふふっと爽やかに笑いながら弱い耳へ吹き込むように真っ直ぐ答えた。
 それを聞いて、僕は耳まで赤くなるしかなかった。それなのに赤い耳朶をはむっとされてしまう。だって、そういう風に言われて、どうしろというのか。もうぎゅっと閉じてこの目を隠してしまいたい。やっぱりフリードはズルい。

 何年かけて刷り込んだと思っているの、って。


『ユンの目はいつもと同じように、俺のことが好きでたまらないって語っていたよ』






→次の章へ続きます
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