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3章
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しおりを挟むグレンツェがいなくなったと聞いたのはヴァイザーが執務室でカイエルと一息ついた時だった。
いつも律儀で真面目なエニック卿がノックをせずに慌てた様子で部屋に入ってきたのだ。
その瞬間に分かる。グレンツェに何かあったのだと。
すぐに転移魔法でグレンツェの部屋へ飛べばそこには先程の3つの魔法道具とハンカチしかなかった。
レイが泣き崩れている。
魔法の気配はしない。
(一体どこへ行ったんだ、、)
すぐにハッとし、魔法で施錠したベランダを蹴り開けると下を覗く。下には誰もいない。
(くそっ、!)
脳裏で過去の出来事がちらつく。
ヴァイザーのかけた施錠魔法などグレンツェに解けるはずはないがヴァイザーの頭は正常に働いていない。
「グレンツェはいつからいなくなったのだ、なぜ見ていない!!」
項垂れるカイン卿の胸ぐらを掴み立ち上がらせる。
ヴァイザーは護衛騎士のせいでは無いと分かっているもののこの怒りを抑えることができない。
「つ、申し訳ありませんっ、!」
「くそ、、何か魔法が使われた気配はなかったのか?」
「微力の魔法は感じました。ただ、グレンツェ様はこの魔法道具を使うと仰っていたのでその魔法が発動したのだと思い、、声はかけませんでした」
先程は取り乱していたが少し落ち着いたエニック卿が答える。
「ですが、何か落ちたような物音がしたので声をかけた時には返事がなく部屋に入ったらグレンツェ様の姿が見えず、、っ、」
ヴァイザーはテーブルに置かれた3つの魔法道具を見る。持ち上げてもそこまで強い魔力は感じることが出来ない。だが、とても複雑に魔法がかけられていることが分かる。
(この魔法道具のせいなのか、、?)
それにしては魔力が弱すぎる。だが考えられるのはこの魔法道具しかない。
ヴァイザーは床に落ちたハンカチを拾い上げる。
「っ、!グレンツェ、、」
そこにはヴァイザーのイニシャルが刺繍されていた。最初、グレンツェは意味を知らずにヴァイザーにハンカチを渡そうとしていた。だが、刺繍を学んだということは贈る意味をもう知っているだろう。
(それを知っても贈ろうとしてくれたのだろうか。)
そのハンカチを握り締め胸に当てる。
(必ず助ける、待っててくれ。グレンツェ、、)
その時微かな甘い香りが鼻をかすめる。
すぐに横にいたカイエルにもハンカチを渡す。
「この香りは、、幻の魔法、」
カイエルが目を見開いて言う。
その一瞬で標的はラート公爵に変わる。この刺繍糸はラート公爵が持ってきた魔法道具のひとつ。
そして幻の魔法は消去魔法だ。
グレンツェは消えてしまったのだろうか、そんな考えが一瞬浮かぶがそう考えたら全て壊れそうで考えないようにする。考えしまったら最期。自分も消えるしかない。
「ゼルトザーム家に飛ぶ。」
「私共も、、!行かせてくださいっ!グレンツェ様を助けたいのです、、!」
エニック卿とカイン卿もさっとヴァイザーに駆け寄る。
ヴァイザーは無言で転移魔法を発動すると、カイエル、そしてエニック卿とカイン卿と共にゼルトザーム家に飛んだ。
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