【本編完結】『運命』の旦那様、本当の愛を教えてください!!

秋条かなん

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4章

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窓を覗けばたくさんの星が輝いている。ベランダには出られないがとても綺麗だ。
グレンツェは窓の外を眺めながらヴァイザーが来るのを待っていた。
(今日の夕食も旦那様は来なかったわ。きっとすごく忙しいのね。アランの元にも行けていないし、まぁ避けられてるのだけど、、けどきっとアランも忙しいはずよね。武闘会が終わったらしっかり話そう、)

グレンツェは深いため息をついた。すると扉をノックする音がした。

「グレンツェ、私だ」

「っ!はい!すぐ行きます!」

グレンツェは刺繍したしわくちゃのハンカチをポッケに入れると急いで扉に向かう。
扉を開ければいつも通りのきっちりとした格好のヴァイザーがいた。グレンツェはというと、、。

「っ、あの!すぐ着替えてきます!!」

グレンツェはもうこのまま寝るような寝巻き姿で急に恥ずかしくなり急いで扉を閉めようとする。
(少し考えれば分かったはずよっ!レイに今日旦那様に呼ばれていることを伝えておけば良かったわ、、恥ずかしい、!)

ヴァイザーはグレンツェが慌てて閉めようとする扉を掴む。

「そのままでいい。遅くなってすまない。さっき仕事が終わったばかりなんだ。だからそのまま来たんだが、、気を使わせてしまったようだな」

「いえ、お仕事お疲れ様です、」

ヴァイザーはグレンツェの手を握るとそのまま歩き出した。

「お前たちは今日は自室に戻って休んでいて構わない」

護衛騎士のふたりにヴァイザーが声をかける。
その事が今日グレンツェが部屋には戻らないことを意味していたがどうやらグレンツェは何も分かっていないようだ。
そのまま長い廊下を進んでいくとヴァイザーの執務室についた。
(執務室が寝室なのかしら、?)

そう不思議に思っていたが、ヴァイザーは本棚にある一冊の本を押し込むと急に本棚ごと動き出し階段が現れた。

「す、すごい、、」

「この寝室は私とカイエルしか知らない部屋だ、階段になっている気をつけろ」

「はい、ありがとうございます」

上に登る階段は少し急ではあったがそこまで長くはなく気づけば到着していた。そこは屋根裏部屋などとは違い、しっかりとした部屋になっており天井も高く、広々した空間だった。大きな窓からは月明かりが差し込んでいる。
大きなベッドやタンス、机などもあり普通の寝室だ。
そして部屋には大きな花の絵が飾られていた。

「素敵な絵、、」

「そうだろう、私の母が描いた絵だ」

その時に見たヴァイザーの顔はとても穏やかだった。グレンツェを見つめるときの優しい顔とはまた少し違う、柔らかい表情だ。

ヴァイザーはベランダの鍵を開けるとしっかりとグレンツェと手を繋いだままベランダに出る。
少し肌寒いがたくさんの星と大きな月が見える特等席のようなベランダだ。外に出ることで草が鳴る音や虫の音も聞こえる。
しばらくふたりで景色を眺めていると、ヴァイザーがぽつりぽつりと話し始めた。

「このベランダは母との思い出の場所だ。眠れない夜はこのベランダで歌を歌ってくれた」

「とっても素敵です、、」

「だが、、、母はこのベランダから落ちて自殺したんだ」

続いたのは残酷な結果でグレンツェは思わず息を呑んだ。

「母は父の感じていた『運命』が理解できなかったんだ。私の事は大切にしてくれた。だが、母は父に過激な愛を与えられていた」

「過激な愛、?」

「あぁ、例えば他の人の目に触れないよう部屋に監禁したり、魔法で拘束したり。それはどんどんエスカレートして遂には私と会うことも禁止された」

「そんな、、」

「母はそれが耐えられなかったんだ。父は『運命』を制御出来ずに本能のままに動いた。その結果、母は精神を病みこのベランダから飛び降りた」

「っ、」

「私はちょうど外で母に渡すための花を摘んでいたんだ、、そのとき大きい音が聞こえて。久しぶりに見た母は痩せていて、動かなかったよ。即死だ。血を流している母を見て幼いながらに理解した。そこから父もすぐに自殺した。愛し方を間違って自分のせいで死んだ、と狂っていたよ。間違いに気づいたのは母が死んでからのようだった。『運命』が怖くなったか、、?」

「っ、いえ、、」

「なら、なぜ泣いている?」

なぜかとてもヴァイザーが小さく見えた。カナリエからヴァイザーが小さい頃から当主となったことを聞いた。そしてラート公爵からヴァイザーの両親が『運命』により自殺したことも聞いた。だが、本人の口から聞いた事実はグレンツェの心に刺さったのだ。グレンツェの涙は止まらない。

「っ、、旦那様、、」

ヴァイザーはグレンツェを抱き締めるとやさしく頭を撫でてくれる。

「お願いだ、泣かないでくれっ、、グレンツェが泣くと私も苦しくてたまらない」

グレンツェはヴァイザーに縋り付くように強く抱き締め返すとヴァイザーも同じように返してくれる。それにとても安心してしばらくそのまま抱きしめ合っていた。





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