【本編完結】『運命』の旦那様、本当の愛を教えてください!!

秋条かなん

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4章

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しばらくして落ち着いたグレンツェはまだヴァイザーの腕の中にいた。こんなにしっかり抱きしめられたの初めてのはずなのになぜかとても落ち着く。
(離れたくない、)

そんな思いも虚しく、ヴァイザーは腕からグレンツェを解放するとやさしく涙を拭ってくれる。

「私が怖いか、グレンツェ、、」

不安そうな顔のヴァイザーに思わず自分からもう一度抱きつく。ガタイがよく筋肉がついた逞しい体はグレンツェからしたらすごく大きいはずなのに今は小さく感じる。

「怖いなんて、、そんなことありませんっ、!私は旦那様に助けて頂いたのですっ、あの地獄のような孤独の日々から救ってくれたのは旦那様です、、。『運命』だから助けてくれたのかもしれませんっ、でも、、」

グレンツェはずっと考えていた。ヴァイザーから返ってくるのは『運命』による偽りの愛だと。

「旦那様の優しさは本物だったのですね、。私、旦那様は私が『運命』だから優しくて、、私が愛しても返ってくるのは偽物の愛だと思っていました、それで勝手に悩んで辛くなっていたのですっ、」

ヴァイザーはどんな表情をしているだろうか。気にする余裕もなくグレンツェはそのまま想いをぶつけた。

「旦那様、、私旦那様のことが好きなのです、。旦那様に自分の想いを伝えるのが怖かった、、。でも、旦那様は私のためにたくさんのわがままを聞いてくれました。それは旦那様の本物の優しさですっ、、」

外に出すことも本当は躊躇いがあっただろう。実際、最初は禁止されていた。先程のヴァイザーの父の話を聞けばどれだけグレンツェが自由に過ごしているか気づいた。きっとそれはヴァイザーの優しさだった。母のようになったら、、。そんな懸念もあったはずだ。それにヴァイザーなら無魔力のグレンツェを従わせることなど簡単なはずだ。それでもヴァイザーは常にグレンツェの気持ちを優先してくれた。

「っ、大好きですっ、旦那様、!」

ヴァイザーはグレンツェを強く抱き締める。

「っ、!グレンツェ、、」

グレンツェがヴァイザーを見上げれば頬を包まれ、おでこ、まぶた、涙に濡れた頬、そして唇に優しくキスが降ってくる。

「っん、、っ!」

少し赤く染まったヴァイザーの顔は溶けそうなほど優しく、そして輝いていた。

「グレンツェ、、好きだ。愛している」

もう一度唇にキスされればグレンツェはプシューっと湯気が出る勢いで顔が赤くなっていく。そんな姿にヴァイザーは笑いながら頭を撫でている。

「私はグレンツェが愛しくてたまらないんだ、グレンツェが『運命』について悩んでいるのは知っていたんだ。そして同じように私もどうすればグレンツェにこの愛が伝わるか悩んでいた。でもどんなに言葉で伝えても全て薄っぺらくなるような気がして、、まずはひたすらグレンツェを甘やかすことにしたんだ」

「旦那様は甘やかしすぎですっ、」

「いや、まだ足りない、、もっとグレンツェには幸せになって欲しいんだ」

ヴァイザーは急にグレンツェの前に跪くとグレンツェの手を取り、手の甲にキスを落とす。

「っ!」

ヴァイザーの真剣な瞳と目が合えば逸らすことも出来ずに見つめ合う。

「グレンツェ、私がグレンツェを幸せにしたいんだ。これから一生グレンツェの隣に立ち続けたい。この愛は『運命』がきっかけかもしれない。それでも私のこの気持ちは偽物なんかじゃない。どれだけ時間がかかってもグレンツェに本当の愛を教え続けると誓う」

グレンツェの目からは大粒の涙が溢れ出る。

「結婚しよう。グレンツェ、必ず幸せにする」

「っ、、うぅ、はいっ、旦那様、」

涙で前がぼやけている。これは嬉し涙だった。ずっと無魔力のせいで人として扱われなかったのに、今こうしてグレンツェのことを幸せにしてくれるという人が現れた。グレンツェが憧れていた絵本の中の世界に飛び込んだようだ。
いつの間にか左手の薬指には月明かりに照らされて光り輝く指輪がはめられていた。

「もっと早く婚約するつもりだったが、、いろいろあって遅くなってしまったな」

「いいえ、、とっても嬉しいですっ!」

「そうか、ならいい。式は来年になってしまうが、、」

「はいっ!楽しみです、、」

グレンツェは自分の左手を見つめて頬を寄せる。
(なんだか、旦那様がそばにいる気がする、、幸せ、)

すると突然目の前にヴァイザーの顔があると気づいた時にはキスされる。

「ずっとこうしたかった。これからは毎日できるな、」

余裕そうなヴァイザーと真っ赤になるグレンツェ。2人は本当の恋人のようだ。

しばらく外にいた2人は温かさを求めてベッドに入る。抱きしめ合いお互いの体温を共有しあっていた。

ふとグレンツェはポケットにハンカチが入っていることを思い出した。

「あっ、旦那様、、これ、あげます」

「これは、、」

「本当はもっと上手なのがあるんです、でも今これしか持ってなくて」

「いや、これがいい。これもとても上手だ。大切にする。ありがとう、グレンツェ」

優しくおでこにキスしたヴァイザーに照れながらも温かい体温と落ち着いた心音でいつの間にか眠っていた。

その後、眠ってしまったグレンツェが可愛くて愛しくていろいろ葛藤していたヴァイザーがいたのはまた別の話、、、。




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