【本編完結】『運命』の旦那様、本当の愛を教えてください!!

秋条かなん

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5章

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ヴァイザーがこの世の終わりのような顔で自室に戻ればカイエルがぎょっと驚いた様子で近づいてくる。

「どうしたのですか?!」

「、、グレンツェに嫌われた、私が全部悪いのだ、。あとあのクルエとかいう女を別棟の地下牢に入れておけ」

「へ?」

「あの女の自作自演だ、完全に私が騙されていた」

ヴァイザーはグレンツェの部屋から出たあとあることを思い出し自室に帰る前に作業場に向かった。急いで扉を開けたためアランはびっくりした様子だったがただ事ではないと悟ったのか作業していた手を止めヴァイザーに駆け寄る。

「クルエという女は知っているか?」

「クルエ?孤児院の時のおばさんの名前ですが、?」

「あの女はグレンツェの味方といえるか?」

「はぁ!?味方?そんなわけ、、あの人がグレンツェの敵でしたよ。あの人が無魔力は悪だと他の子どもに教えてこんでいたのです。その人がなんですか?」

はぁー、と深くため息をついたヴァイザーはアランの前で項垂れた。その様子を見て奇妙そうにアランは引いた顔をしている。
(なぜ、、もっと早く気づかなかったのだ、)

アランに事情を話せば早く仲直りしてください、と怒り気味に言われた。幼い頃からの好きな人を傷つけられたのにアランは心が広いな、という眼差しで見ればアランの目は想像以上に鋭く、かなり怒っていることが分かり少しゾッとする。
ヴァイザーが唯一男として勝てないのはアランかもしれない。


こうしてヴァイザーは自分の不甲斐なさに失望しながら自室に戻ってきたわけだが仕事など到底できるはずもなく椅子に座ったまましばらく何もすることが出来なかった。
その日からグレンツェは部屋に引きこもるようになってしまった。ヴァイザーは毎日部屋に行き声をかけるもののグレンツェからの返事はない。代わりにクリームがくぅーん、と鳴くだけだ。専属護衛達や侍女が声をかけると返事はするものの元気はなくご飯もあまり食べていないという。身の回りの世話をする侍女によると既に少し痩せてしまっているようだ。

グレンツェが部屋にこもり始めて1週間が経った。さすがのヴァイザーも限界が近づいている。

「グレンツェ、あまりご飯を食べていないと聞いた。」

今日も1人、グレンツェの部屋の前で声をかける。

「すまない、、グレンツェの心を深く傷つけてしまった、、許してくれとは言わない。ただグレンツェに会いたい。嫌いなままでもいいから」

するとドサッと大きな音がしクリームが吠えていた。
心配になりもう一度声をかけるがやはり返事はない。代わりにクリームが扉をガリガリと爪で引っ掻いている音がする。
これまでグレンツェの怯えた顔が忘れられず無理に部屋に入ることは控えていたが嫌な予感がしてゆっくりと扉を開ける。
薄暗い部屋をクリームが案内するように歩いていく。それより先にベッドから落ちたのか床にぐったりと横たわるグレンツェを見つけた。サッと血の気が引き急いで駆け寄り、抱き上げれば力なく腕がだらんと落ちる。グレンツェの体は異様に熱い。

「っ、グレンツェ!!」

大きい声で名前を呼んで揺さぶってもグレンツェは瞼を開けることはなくただ、浅く息をしていた。

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