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5章
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しおりを挟む体が痛くて重い。
微かに騒がしいような焦るようなそんな声がする。
(旦那様の声、、?)
必死に名前を呼ぶ声がした。久しぶりに近くでヴァイザーの声を聞きなんだか不思議な気持ちになる。
(やっぱり好き、、)
毎日部屋に来てくれるのに変に意地を張って答えなかった。そんなことを繰り返していたら許すタイミングを失い、このまま離れていくのでは?と不安に感じていた。
(全部私のせいなのに)
「嫌いなままでもいいから」
そんなヴァイザーの言葉にハッとさせられた。嫌いなんかじゃない、そう否定したくて立ち上がろうとしたが体が動かず目も開けられなかった。頭だけが動いて体はついてこない。この1週間ずっと考えていた。考えれば考えるほど自分の子供っぽさに失望して後悔した。勢いで言った大嫌いの言葉も本心なんかじゃなくてむしろ世界で一番好きなのに意地を張った。
(旦那様、、。ごめんなさい)
そう言いたいのに体はピクリとも動かなかった。
次気づいた時にはベッドの上で体を起こせばクリームがわんっと吠えて顔を舐めてくる。激しくしっぽを振ってグレンツェに覆い被さるようにじゃれてくるクリームが可愛くて思わず笑ってしまう。
「ふふっ、くすぐったいよ」
「グレンツェ?」
声のするほうを見ればヴァイザーが目を丸くして固まっていた。起きた瞬間クリームが目の前にいて気づかなかったがベットの横の椅子に座っていらしい。
「旦那様、。あの、ごめ、、っ、」
久しぶりに見たヴァイザーは少し痩せたようでやつれたように見えた。謝りたいとずっと考えていた。だが、固まっていたヴァイザーはグレンツェが謝るより先に勢いよくグレンツェを抱きしめる。
「グレンツェ、本当に申し訳ないことをした、、。グレンツェを愛しているのに。話を聞く前に決めつけてしまった」
ヴァイザーは少し震えていた。ここまで苦しそうなヴァイザーを見るのは初めてでグレンツェまで苦しくなった。
「私こそごめんなさい、、ごめんなさい、旦那様」
口に出してちゃんと謝ることが出来た安心とこうしてまた抱きしめてもらえる嬉しさで涙が溢れ出る。
体が離れていき少し寂しさを感じたが頬を流れる涙を優しく拭ってくれる手は暖かくて優しかった。
「謝らないでくれ、グレンツェを傷つけたのは私だ」
今もまだ苦しそうな表情のヴァイザーは止まらない涙をずっと拭ってくれる。
「っ、だって、、私もっ、」
もう止まって欲しいのに止まることを知らない涙のせいで上手く話せない。少し息が苦しくてでも話したくてどんどん呼吸が早くなる。
「一旦落ち着け、私はここにいる」
またグレンツェを優しく抱きしめたヴァイザーは頭を一定のリズムで撫でてくれる。呼吸も落ち着いた頃には涙も止まりつつあった。
「旦那様、ありがとう、ございます、、」
「落ち着いたか?」
「はい、」
まだ酷い顔をしている気もしたがヴァイザーはそんな事は気にしていなさそうだ。
「旦那様、ごめんなさい。旦那様は謝るなと仰いましたが、、私が謝りたいのです。旦那様は私の事傷つけたと言いましたが私もきっと旦那様のことを傷つけてしまったと思って、、。」
「そんなことは、」
「だとしたら、どうしてそんなにやつれてしまったのですかっ、?」
「っ、」
「ごめんなさい、旦那様。本当は大好きなのに、愛してるのに、、。大嫌いなんて言ってしまって、そんなこと思ってませんっ!意地を張って、、」
「大丈夫だ、分かっている。それにもしグレンツェが私のことを嫌いになってもまた好きにさせる。私がいなければ生きていけないように、、」
「もう既に旦那様がいなければ生きていけません、」
「そうか、、。私もだ、グレンツェがいなければ生きていけない」
「旦那様、ずっとそばにいてください」
「あぁ、もちろんそのつもりだ。誰にも渡さない、絶対に離さない」
ヴァイザーはグレンツェに優しくキスすると急に力が抜けたようにはぁーと深いため息をした後グレンツェを無言のまま見つめる。
「だ、旦那様?」
「グレンツェが可愛すぎてどうにかなりそうだ、」
「へ?」
「このまま部屋に閉じ込めて誰にも見えないように私だけがグレンツェのお世話をして過ごしたい、、いやでもグレンツェを自慢して私の嫁だと世界中に知らしめたい、」
急に早口になったヴァイザーに困惑するグレンツェにヴァイザーは笑った。
「冗談だ、いや、本心ではあるが、、。グレンツェが幸せだと思う生き方をしてくれれば私も幸せだ」
「私はずっと旦那様の隣にいますよ。、っ、わっ!」
ヴァイザーは勢いよくグレンツェに抱きつくと耳元で囁いた。
「愛してる、グレンツェ」
一気に赤くなったグレンツェを幸せそうな笑顔で見つめると額、瞼、そして唇にキスを落とす。
満足そうに笑ったヴァイザーの顔にグレンツェはまた顔を赤くした。
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