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第23話 涙より刃を握れ⸺守るために
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避難シェルターに到着して中に入ると、怯えた人々のすすり泣きと、私達を見て安堵の吐息を吐く人と入り混じっていた……。
「助かった……助かったんだ……」
「お母さん……こわかったよぉ……」
生存者の親子は、震える体を寄せ合いながら涙を流していた。
私は二人を守り切れたことに僅かな安堵を覚えつつも、胸の奥を苛む感情に支配されていた。
(……結局……私は何も出来なかった……一鉄さえ、置き去りにして……)
崩れた瓦礫に腰を下ろし、刀を膝の上に置く。
震える手を握り締めると、血の滲んだ手の平が鈍く痛んだ……。
(私が……もっと強ければ……一鉄さんだって……っ……)
熱いものが視界を滲ませた。
堪え切れず、ぽたりと涙が零れる。
「……泣いてる暇なんてあるの?」
冷たい声が頭上から降ってきた。
顔を上げると、凛子さんが私を見下ろしていた。
その瞳は氷のように冷たく、それでいて奥に熱を秘めている。
「……私……っ……」
「悔しいなら、泣くんじゃなくて立ちなさい……一鉄を救出に行くよ」
鋭い声と、冷たい言葉が心臓に突き刺さる
「泣いてる暇があるなら……一刻も早く一鉄のもとへ行くわよ」
「っ……でも……!私じゃ……一鉄さんみたいに戦えない……っ……!」
泣きじゃくる私の襟首を、凛子さんが掴み上げた⸺。
鋭い瞳が真正面から私を射抜く。
「……いい加減にしなさい……!」
ビクリと肩が跳ねる⸺。
「……分かってるわよ、あんた……ずっと1人で皆を守ろうとしてたでしょ?」
「え……?」
凛子さんの手が、少しだけ優しく私の肩を揺らした。
「最初の訓練の時から……ずっとそうだった。誰も天音を助けてくれなくて、ずっと一人で泣いていた事も……任務が始まってからずっと一人で守ろうとしてくれた事も……」
私は言葉を失った……。
(……そうだ……私は……ずっと、1人だった……誰にも助けてもらえなかった……だから……)
「……でもね、天音。戦いは1人でするものじゃない……!!」
その声が、胸の奥に突き刺さる。
「一人で背負い込んで、勝手に絶望して、そこで止まるつもり!?違うでしょ……!!」
「……っ……」
「私達は八咫烏……仲間でしょ?一鉄だって……あんたを信じて、あそこに残ったのよ」
震える私の手に、凛子さんが自分の槍を握らせた。
冷たい金属が、涙で火照った手の平に痛いほど食い込む。
「立ちなさい……!!そして、今度こそ皆で帰るのよ!!」
「……っ……」
震える足に力を込め、私はゆっくりと立ち上がった。
頬を伝う涙を手の甲で乱暴に拭う。
「……行きます……私も……一鉄さんを助けたい……!」
凛子さんが僅かに微笑み、槍を受け取ると背負い直した。
「それでいい……。さぁ、時間がないわよ!」
私は刀を握り締めた。
涙で滲んだ視界が、少しだけ晴れていく。
(絶対に……絶対に助ける……!)
崩れかけたシェルターの扉を開け、瘴気と腐臭の街へ踏み出した。
凛子さんと並び、荒廃した瓦礫の道を走り出す。
(待っててください……一鉄さん……!今度こそ皆で帰る……!!)
「助かった……助かったんだ……」
「お母さん……こわかったよぉ……」
生存者の親子は、震える体を寄せ合いながら涙を流していた。
私は二人を守り切れたことに僅かな安堵を覚えつつも、胸の奥を苛む感情に支配されていた。
(……結局……私は何も出来なかった……一鉄さえ、置き去りにして……)
崩れた瓦礫に腰を下ろし、刀を膝の上に置く。
震える手を握り締めると、血の滲んだ手の平が鈍く痛んだ……。
(私が……もっと強ければ……一鉄さんだって……っ……)
熱いものが視界を滲ませた。
堪え切れず、ぽたりと涙が零れる。
「……泣いてる暇なんてあるの?」
冷たい声が頭上から降ってきた。
顔を上げると、凛子さんが私を見下ろしていた。
その瞳は氷のように冷たく、それでいて奥に熱を秘めている。
「……私……っ……」
「悔しいなら、泣くんじゃなくて立ちなさい……一鉄を救出に行くよ」
鋭い声と、冷たい言葉が心臓に突き刺さる
「泣いてる暇があるなら……一刻も早く一鉄のもとへ行くわよ」
「っ……でも……!私じゃ……一鉄さんみたいに戦えない……っ……!」
泣きじゃくる私の襟首を、凛子さんが掴み上げた⸺。
鋭い瞳が真正面から私を射抜く。
「……いい加減にしなさい……!」
ビクリと肩が跳ねる⸺。
「……分かってるわよ、あんた……ずっと1人で皆を守ろうとしてたでしょ?」
「え……?」
凛子さんの手が、少しだけ優しく私の肩を揺らした。
「最初の訓練の時から……ずっとそうだった。誰も天音を助けてくれなくて、ずっと一人で泣いていた事も……任務が始まってからずっと一人で守ろうとしてくれた事も……」
私は言葉を失った……。
(……そうだ……私は……ずっと、1人だった……誰にも助けてもらえなかった……だから……)
「……でもね、天音。戦いは1人でするものじゃない……!!」
その声が、胸の奥に突き刺さる。
「一人で背負い込んで、勝手に絶望して、そこで止まるつもり!?違うでしょ……!!」
「……っ……」
「私達は八咫烏……仲間でしょ?一鉄だって……あんたを信じて、あそこに残ったのよ」
震える私の手に、凛子さんが自分の槍を握らせた。
冷たい金属が、涙で火照った手の平に痛いほど食い込む。
「立ちなさい……!!そして、今度こそ皆で帰るのよ!!」
「……っ……」
震える足に力を込め、私はゆっくりと立ち上がった。
頬を伝う涙を手の甲で乱暴に拭う。
「……行きます……私も……一鉄さんを助けたい……!」
凛子さんが僅かに微笑み、槍を受け取ると背負い直した。
「それでいい……。さぁ、時間がないわよ!」
私は刀を握り締めた。
涙で滲んだ視界が、少しだけ晴れていく。
(絶対に……絶対に助ける……!)
崩れかけたシェルターの扉を開け、瘴気と腐臭の街へ踏み出した。
凛子さんと並び、荒廃した瓦礫の道を走り出す。
(待っててください……一鉄さん……!今度こそ皆で帰る……!!)
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