悠久~version1:解放戦争

由奈(YUNA)

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ティエンの町で

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充分すぎる程の旅仕度をしたあたしたちはその持ってきた材料で夕飯をご馳走した。
いつものようにアベルが作ってくれたがあまり食べる気分にならなかった。
食欲のないあたしを二人に心配されたけど、あたしは適当にあしらってしまった。


「さっきの続き……最初から話しますか」


アベルがお茶を用意してそれを飲んでからあたしを見た。



「今までお嬢様にも黙っていましたが……私は皇都の近くの森に親子3人で住んでました。
樵の父と母は機織りをして町から少し外れた森に住んでいたのです。
ちょうど20年前、サマサの戦いの直後ですね……夜盗に襲われ両親は私を庇い亡くなりました。私が9歳の時です」



はじめて聞くアベルの生い立ちだった。



「その後、私はカナリー様に拾われました。それまでは森をさ迷い一人でなんとか生きていました。
アドレイ家で住み込みで働きながらカナリー様に剣術の指南を受けました。
その後カナリー様がご懐妊され、お嬢様が生まれてからはお嬢様の付き人となりました」



ゼシカを見たらゼシカも知らなかったようで驚いた顔をしていた。
あたしも母からアベルについては何も聞かされてないし、アベルが剣術を母から習っていたのは驚いた。



「私については以後お嬢様と一緒ですのでお嬢様やゼシカさんの知っての通り。
カナリー様に拾われたからカナリー様は私をとても気にかけてくださり大変親身になっていただきました」


それから下を向いて話を続けた。



「カナリー様は将軍でした。しかし帝国に不満を抱いておりました。
…………カナリー様が帝国を裏切る前夜、私の元に来ました」


「え?」


「お嬢様を頼むという事と、母親として将軍としてではなく一人の人としての生き方をしたい……そう言っておられました。翌日の朝です、カナリー様がお屋敷からいなくなったのは……」



「アベル……それは何年前だ?」


ゼシカが聞いたらアベルは悲しそうに答えた。



「みなさんがカナリー様が事故死したと思っている7年前です。
本当は……カナリー様は今から5年前に亡くなってます」


その一言であたしは奈落の底に落ちた気分になった。
アベルは知っていたのに……何一つあたしには教えてくれなかった。



「私はカナリー様の行動を、深夜屋敷に来た兵士とハーン様の会話で知ってしまい、ハーン様より口止めをされました……
カナリー様は帝国に不満を抱く者数名と国庫から金品を奪い、帝国将軍ではなく解放団のカナリーだと名乗り…国を追われる身分となりました……
リオン市でカナリー様が捕まるまで約2年間は……私も消息はわかりません」



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