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皇都脱出
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「あんたカナリーさんの娘なんだろ?カナリーさんに似てるな……目が特に似ている」
そう笑うクルーに警戒心は薄れてきた。
「名前は確か……セシルだよな?後ろの睨んでるお姉さんもよろしくな」
後ろを見たらゼシカが睨んでいた。
「あんたみたいなチャラい奴……お嬢様に馴れ馴れしくするな」
ゼシカが睨むがクルーは知らん顔であたしと向き合った。
「俺は解放団の一員としてあんたたちをリーダーたちに会わせたい。てゆーか解放団に力を貸してほしい。そうしたら皇都脱出を手助けしてやる。どうだ?」
「交換条件ってやつ?……じゃあ一つあたしも条件がある」
クルーが不思議そうな顔をした。
「あたしの大切な人が今、怪我をして動けないの……助けてください」
そう言って頭を下げた。
あたしが頭を下げるなんて立場上滅多になかった。
でも、小さい頃からあたしを助けてくれたアベルを助けるためなら頭を下げるのは苦じゃなかった。
「怪我人がいるわけね……うーん難しいな」
クルーは困ったように考え込んでいた。
「お嬢様……」
慌てて振り向いたらアベルが立っていた。
「アベル!!!」
思わず抱き着いたら頭を撫でてくれた。
「お嬢様がご無事で……安心しました」
その一言にあたしは泣き出してしまった。
「ごめんなさい。あたしのせいで……ごめんなさい!!!」
泣いて謝るあたしを責めるわけでもなく、ただあたしの謝罪を聞いていた。
「お嬢様は何も悪くありませんよ?私は……私と同罪だとお嬢様が言われて………嬉しかったですよ………やっと口を聞いてくれましたしね」
そう笑うアベルにあたしも思わず笑ってしまった。
でもすぐにアベルは崩れ落ちた。
「アベル!?」
慌てて肩を見ると包帯から血が滲んでいた。
まだ熱も高いようで肩で息をしているような状態だった。
「お嬢様……私に構わず……逃げて……くださ…い」
そう言ってまた意識を失った。
ルイの家族が慌ててベッドに運んで手当てをしている姿をあたしは立ち尽くして泣きながら見ているしかなかった。
そう笑うクルーに警戒心は薄れてきた。
「名前は確か……セシルだよな?後ろの睨んでるお姉さんもよろしくな」
後ろを見たらゼシカが睨んでいた。
「あんたみたいなチャラい奴……お嬢様に馴れ馴れしくするな」
ゼシカが睨むがクルーは知らん顔であたしと向き合った。
「俺は解放団の一員としてあんたたちをリーダーたちに会わせたい。てゆーか解放団に力を貸してほしい。そうしたら皇都脱出を手助けしてやる。どうだ?」
「交換条件ってやつ?……じゃあ一つあたしも条件がある」
クルーが不思議そうな顔をした。
「あたしの大切な人が今、怪我をして動けないの……助けてください」
そう言って頭を下げた。
あたしが頭を下げるなんて立場上滅多になかった。
でも、小さい頃からあたしを助けてくれたアベルを助けるためなら頭を下げるのは苦じゃなかった。
「怪我人がいるわけね……うーん難しいな」
クルーは困ったように考え込んでいた。
「お嬢様……」
慌てて振り向いたらアベルが立っていた。
「アベル!!!」
思わず抱き着いたら頭を撫でてくれた。
「お嬢様がご無事で……安心しました」
その一言にあたしは泣き出してしまった。
「ごめんなさい。あたしのせいで……ごめんなさい!!!」
泣いて謝るあたしを責めるわけでもなく、ただあたしの謝罪を聞いていた。
「お嬢様は何も悪くありませんよ?私は……私と同罪だとお嬢様が言われて………嬉しかったですよ………やっと口を聞いてくれましたしね」
そう笑うアベルにあたしも思わず笑ってしまった。
でもすぐにアベルは崩れ落ちた。
「アベル!?」
慌てて肩を見ると包帯から血が滲んでいた。
まだ熱も高いようで肩で息をしているような状態だった。
「お嬢様……私に構わず……逃げて……くださ…い」
そう言ってまた意識を失った。
ルイの家族が慌ててベッドに運んで手当てをしている姿をあたしは立ち尽くして泣きながら見ているしかなかった。
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