悠久~version1:解放戦争

由奈(YUNA)

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リオン市

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「ただいま」


「お帰りなさいお嬢様……それは?」


「これだけあれば足りるかな?」



そう言ってゼシカに袋を渡した。
ゼシカは袋の中身を見て驚いていた。


「お金は……?」


「アベルが助かるなら……あたしは何もいらないよ」


そう言ってあたしは首を触った。
ゼシカがあたしの首元を見て意味を理解したようだった。

少し寂しそうな顔をして、でも嬉しいような複雑な表情をしていた。



「大丈夫です。必要なものは全てお嬢様が用意してくれました。アベルは助かりますよ?」


ゼシカに優しく言われて安心した。

大怪我をしたアベルを無理矢理ここまで連れ出して彼は体力も気力も限界だろう。
大した薬もないままの旅にあたしは不安だったがゼシカに『必要なものは全てある』と言われてやっと安心できた。




「ゼシカ……あたしも手伝うよ」


そう言ってゼシカと一緒に手当てをした。

最初は苦しそうに眠っていたアベルも夜になれば少し楽になったように見えた。



「彼……クルーでしたっけ?今日来なかったですね」


ゼシカが夕飯を食べながら話し掛けてきた。
アベルはまだ眠っている。
二人で食事とか滅多にないから変な感じ。


「明日には来るのかなぁ?」


「だいぶ怪しい奴でしたから信用できませんがね」



ゼシカはだいぶクルーが嫌いなようだ。









夕飯を食べてからゼシカと一緒にそれぞれのベッドに入り、ゼシカは眠ったようだった。


あたしは眠れずアベルの横に行った。
怪我をして以来、はじめて見る穏やかな寝顔。
額に手をあてたら熱もだいぶ下がったようで前よりは熱くなかった。
冷やした布を額に置いて手を握って夜を過ごした。

そういえば小さい時、お母さんが亡くなってから、お父さんが遠征でいない時、アベルは寂しくて泣いてたあたしの手を握ってあたしが寝るまでいてくれたっけ。
起きたら焼きたてのパンを用意してくれてて、すごい嬉しかったな。


そんな事を思い出しながらそのまま眠りについた。

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