悠久~version1:解放戦争

由奈(YUNA)

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絡まる糸

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騒ぎが一段落した食堂を出てアベルがうるさいからティアの所へ行って耳の手当をした。

イヤリングの話をしたら、アベルはイヤリングよりあたしが怪我する方が嫌だと言った。
だけどあたしは、イヤリングを壊される方が断然嫌だった。






「お嬢様、私も行きます」



あたしとアベルが大広間に行こうとしたらゼシカも一緒にとついてきた。



大広間にはすでにレイとアニエスや、他に解放団の兵士、ベルが連れてきた兵士のうち、ベルの味方をしなかった兵士がいた。



「セシル殿、お怪我は……」



「少し切れただけだから問題ないよ」



「じゃあ……彼の処分ね。セシルはどうしたらいいと思う?」



レイがその場を仕切ってあたしに話を振った。

あたしはベルに近づいた。



「ベルは解放団が何してるかわかっていますか?」



「もちろんだよ!帝国と戦うんだろ?僕も戦うから縄を解いてよ!」




必死にあたしに懇願する彼に同情して縄を解こうか考えたけど、思い止まって質問を続けた。



「そうです。あたしたちは地位も身分も関係のない集まりです。それもわかってますか?」



「も……もちろん」




この問いにベルは明らかに動揺した。
貴族であることが偉いと思っているベルだからこそ、地位や身分が関係のないって割り切れるわけがないって元々気づいてはいた。



「戦いになれば兵士は将に従います。今、あたしたちに将としての才がある人物はレイ、クリック、クルー、クレイル、ゼシカ、レイル、ハス……そしてアベルです。あなたはアベルの指示に従えますか?」



「ぼ……僕がこんな男に従う!!!!?冗談はやめてよセシル!僕がこんな男に従えるわけないだろ!むしろ僕が将だっ!」



ベルがアベルを睨みながら憤慨した。



「いえ、あなたには将としての才はありません」



あたしが言い切ったらさすがのベルも口を開けて固まった。



「我々が望むのは自由な世界です。それを築くには時にはたとえ自分と合わない人とも手を取り合わねばなりません。志が同じならそれができるはずです」



あたしがそう言ったら、アニエスは一歩あたしへ近づいた。




「私は彼とその部下を帝国へ帰す方がよろしいかと思いますが……セシル殿いかがされますか?」




決定権は全てあたし――――。





「彼は今の帝国のままのがいいという考えな気がします。彼が我々と志を同じとしてくれるなら歓迎しますが、同じでないなら帰っていただきます」



ベルを見て言い放った。




「ただ、帝国に帰るならあたしとは敵同士。もしあなたがあたしやその仲間に刃を向けるならあたしは躊躇いなくあなたを殺します」




あたしの言葉にベルはうなだれたまましばらく動かなかった。





「…………セシルに……従うよ」


それが彼の答えだった。

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