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ある日の1日
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「私が3大将軍になったのはサマサの戦いから半年後……さらに半年後に私は陛下と2人で食事をと誘われました……。
私が部屋に入ると食事の並ぶテーブルの脇に密閉された大きな瓶がありました……なんだと思いますか?」
ムウの問いに首を横に振った。
「瓶いっぱいに液体があり、その液体の中には奥方様の首が入ってました」
ムウが苦い顔をしてそう言った。
「く……び?」
「はい……首です…」
一瞬、静寂に包まれた。
「テイルというサニー地方に面した隣国の技術で特別な液体に漬け込むと腐らない……というモノらしいです。
陛下はその瓶を愛おしげに眺めて私に見せました。奥方様は目はつむっているが口元は笑みをたたえた顔で……食欲どころかそんなモノの存在に吐き気がしました。
そして陛下は言いました。『皇帝になれたからこそできた』……と。奥方様は生きていたのです。サマサの戦いの終結までは」
「え?」
「奥方様は……元は貴族でした。同じ貴族の婚約者もいて結婚間近でした。しかし陛下に見初められ無理矢理陛下の元に……。
しかし、奥方様は婚約者を忘れられず2年後に婚約者と共に皇都からいなくなりました……」
「そして、サマサの戦いの後に見つかり、殺され、首だけ瓶につめて陛下の元にいる……の?」
ムウは頷いた。
「陛下は奥方様の皇位に就いて1番に奥方様の所在を捜し出したそうです……サマサの住民の惨殺もサマサに奥方様がいるという噂があったからだと……はっきり私に言いました。
ただ、奥方様はサマサではなくサニー地方にいたようです」
あたしも聞いてるだけで吐き気がしてきた。
妻を探すためなら住民の惨殺も構わない残虐さ、死んだ妻の首を自分の手元に置く異常性、何もかも真実を捩曲げる行動……。
きっと妻の首を見せたのもムウに反乱を興す気力すらなくさせるためだろう……兵士想いなムウの気持ちをうまく利用するため。
「『皇都をエリーザとしたのにエリーザは戻らなかったから連れ戻した。エリーザが隣で微笑むから私は今がある』そう言われました。
奥方様に対する愛情が強すぎたあまりの行動かもしれませんが、心に鬼がいる方だと思いました。たとえ私一人だけでも陛下に逆らえば私の部下全ての命はないだろうとも思いました」
「だから……3大将軍であり続けた……兵士のために」
頷くムウはそれ以降しばらく口を開かなかった。
もちろんあたしも、話せなかった。
私が部屋に入ると食事の並ぶテーブルの脇に密閉された大きな瓶がありました……なんだと思いますか?」
ムウの問いに首を横に振った。
「瓶いっぱいに液体があり、その液体の中には奥方様の首が入ってました」
ムウが苦い顔をしてそう言った。
「く……び?」
「はい……首です…」
一瞬、静寂に包まれた。
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陛下はその瓶を愛おしげに眺めて私に見せました。奥方様は目はつむっているが口元は笑みをたたえた顔で……食欲どころかそんなモノの存在に吐き気がしました。
そして陛下は言いました。『皇帝になれたからこそできた』……と。奥方様は生きていたのです。サマサの戦いの終結までは」
「え?」
「奥方様は……元は貴族でした。同じ貴族の婚約者もいて結婚間近でした。しかし陛下に見初められ無理矢理陛下の元に……。
しかし、奥方様は婚約者を忘れられず2年後に婚約者と共に皇都からいなくなりました……」
「そして、サマサの戦いの後に見つかり、殺され、首だけ瓶につめて陛下の元にいる……の?」
ムウは頷いた。
「陛下は奥方様の皇位に就いて1番に奥方様の所在を捜し出したそうです……サマサの住民の惨殺もサマサに奥方様がいるという噂があったからだと……はっきり私に言いました。
ただ、奥方様はサマサではなくサニー地方にいたようです」
あたしも聞いてるだけで吐き気がしてきた。
妻を探すためなら住民の惨殺も構わない残虐さ、死んだ妻の首を自分の手元に置く異常性、何もかも真実を捩曲げる行動……。
きっと妻の首を見せたのもムウに反乱を興す気力すらなくさせるためだろう……兵士想いなムウの気持ちをうまく利用するため。
「『皇都をエリーザとしたのにエリーザは戻らなかったから連れ戻した。エリーザが隣で微笑むから私は今がある』そう言われました。
奥方様に対する愛情が強すぎたあまりの行動かもしれませんが、心に鬼がいる方だと思いました。たとえ私一人だけでも陛下に逆らえば私の部下全ての命はないだろうとも思いました」
「だから……3大将軍であり続けた……兵士のために」
頷くムウはそれ以降しばらく口を開かなかった。
もちろんあたしも、話せなかった。
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