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再会、そして、決着
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「水上砦の水門を閉める話…クルーさんと数名の部下が志願したのは知ってますよね?」
「うん…クルーから聞いた」
「なかなか戻らないクルーさんたちを心配してミリィさんとミリィさんの部下半分…約250人が水上砦に入ったんです。
ミリィさんがアニエスさんに自分たちのが得意だからと……水門を閉めなければ策は成り立たない。そのために向かいました」
アベルはそう言ってため息を吐いた。
「同時期にメイリーに向かいイザベラ将軍の進軍の話が出てきて……私はメイリーに向かったので聞いた話になりますが、水門は閉じて策は成功、水上砦は落とせました。しかし…」
「そこで……負傷したの?」
あたしの問いにアベルは頷いた。
「生きて帰って来た兵士の話だと内部に残った兵士が投降せず苦戦を強いられたようで……クルーさんは右腕骨折と腹部を数箇所刺されましたが命に別状はありません………ただ…ミリィさんは……」
アベルはそこで言葉を詰まらせた。
しばらく無言だったけど、ついに重い口を開いてくれた。
「ミリィさんは、左腕をなくしました」
アベルの言葉にあたしも絶句した。
「ミリィさんは出血が酷くティア医師が看てますが意識もないようで……水上砦から出てこれたのはミリィさん、クルーさん、そして兵士32名。
ミリィさんとクルーさんは兵士が担いで連れてきてくれました。2人と32名の兵士はそのまま拠点にいます」
「32名って……じゃあ忍びのみんな…」
「戦死…そして首領であるミリィさんの重傷、残った忍びのみなさんは激怒してしまい……事態収集にもセシルが戻ってほしいんです」
まさかの事態だった。
ティアがいない事が不信だったけどこんなことになっていたなんて……。
「クリックさんもセシルをメイリーに先に上陸させた件を悔やんで自分を責めてます。一つずつ、時間をかけてゆっくり片付けましょう。ミリィさんは大丈夫だと、我々が信じないといけませんよ?」
アベルが優しく微笑んでそう言ってくれた。
あたしはアベルの報告にどうしていいかわからずただ一人頭の中でパニック状態だったから、アベルの笑顔に少し落ち着けた。
「うん…クルーから聞いた」
「なかなか戻らないクルーさんたちを心配してミリィさんとミリィさんの部下半分…約250人が水上砦に入ったんです。
ミリィさんがアニエスさんに自分たちのが得意だからと……水門を閉めなければ策は成り立たない。そのために向かいました」
アベルはそう言ってため息を吐いた。
「同時期にメイリーに向かいイザベラ将軍の進軍の話が出てきて……私はメイリーに向かったので聞いた話になりますが、水門は閉じて策は成功、水上砦は落とせました。しかし…」
「そこで……負傷したの?」
あたしの問いにアベルは頷いた。
「生きて帰って来た兵士の話だと内部に残った兵士が投降せず苦戦を強いられたようで……クルーさんは右腕骨折と腹部を数箇所刺されましたが命に別状はありません………ただ…ミリィさんは……」
アベルはそこで言葉を詰まらせた。
しばらく無言だったけど、ついに重い口を開いてくれた。
「ミリィさんは、左腕をなくしました」
アベルの言葉にあたしも絶句した。
「ミリィさんは出血が酷くティア医師が看てますが意識もないようで……水上砦から出てこれたのはミリィさん、クルーさん、そして兵士32名。
ミリィさんとクルーさんは兵士が担いで連れてきてくれました。2人と32名の兵士はそのまま拠点にいます」
「32名って……じゃあ忍びのみんな…」
「戦死…そして首領であるミリィさんの重傷、残った忍びのみなさんは激怒してしまい……事態収集にもセシルが戻ってほしいんです」
まさかの事態だった。
ティアがいない事が不信だったけどこんなことになっていたなんて……。
「クリックさんもセシルをメイリーに先に上陸させた件を悔やんで自分を責めてます。一つずつ、時間をかけてゆっくり片付けましょう。ミリィさんは大丈夫だと、我々が信じないといけませんよ?」
アベルが優しく微笑んでそう言ってくれた。
あたしはアベルの報告にどうしていいかわからずただ一人頭の中でパニック状態だったから、アベルの笑顔に少し落ち着けた。
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