理想郷 - 私と幼馴染みの異世界物語 -

由奈(YUNA)

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CASE1 アゲハの失踪

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「空、ごめんね。また迷惑かけちゃったね」


本日2回目のアゲハとの会話は謝罪だった。

帰り際、私が席を立つ前に小走りで来て謝ってきた。

謝るより走るんじゃないよ…って思ってしまうのは付き合いの長さ故だろう。


「テニス好きだから大丈夫。部活はもうやってないけど運動神経はクラスの女子で一番なんだから」

「それは頼もしいね」

そう言って笑った顔は、朝よりさらに顔色が悪かった。


「でも本当にありがとう。空に甘えてばかりだね」

「気にしないで。あ、私そろそろ帰る。今日は予定があるの」


ちょっと気になっている先輩とパンケーキを食べに行くって、さすがにアゲハには言えなかった。

だから、一緒に帰ろうって、言えなかった。



「引き止めてごめんね。また明日ね」

そう言って手を振ったアゲハ。


「また明日~」

私もいつも通り手を振って、先に教室を出た。






これが、アゲハに会った最後だった……―――――。







**********



アゲハが行方不明になった。


この情報は私がデート中に掛かってきたお母さんからの電話で知った。


PM6:00すぎ


学校が終わって2時間も経ってない。

普通の高校生ならまだ遊んでる時間だけど、アゲハは違った。


帰りはおばさんの迎えの車で病院に行く予定だったんだって。

ちょっと息が切れるとおばさんにLINEがあったから学校が終わってすぐに病院に行くはずだった。

なのに待っても来ないし電話しても出ないから職員室で説明をした上で探したら、なぜか裏門の自転車置き場にスマホの入ったスクバが落ちていて本人がいなかったらしい。


「空は本当に知らないの!?揚羽くんがどこに行ってるか!?」

お母さんもアゲハの身体の事情を知っているから焦ってた。


「知るわけないじゃん!普通に『また明日~』って言って教室で別れたし!」

「じゃあ揚羽くんの友達は!?心当たりないの!?」


切羽詰まったお母さんの言葉に、私は首を横に振った。


アゲハの友達……そんなの知らない。

学校に来ないから友達はいないと思う。


…なんてさすがに言えなかった。


事実だとしても、言えなかった。



お母さんとおばさんは仲が良いから。

おばさんには、さらなる追い討ちをかけるような事を言えないって思ったから。


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