5 / 342
CASE1 アゲハの失踪
5
しおりを挟む
アゲハが行方不明になった翌日、臨時の全校集会でアゲハの事を話してた。
情報提供を~みたいな話だったと思うけど、あんまり覚えていない。
クラスのみんなも私がアゲハと幼馴染みって知ってるから腫れ物に触るかのような扱いだった。
「井黒くん、無事だといいね…」
桃華だけは私の気持ちに寄り添ってくれた。
**********
アゲハの失踪はニュースにも取り上げられて、おばさんもおじさんも一生懸命探してた。
でも、アゲハは見つからなかった。
1週間も経てばニュースで取り上げられなくなって
2週間も経てばクラスではアゲハがいないのが当たり前の空気となっていた。
ただ、私の気持ちは沈んだままだったから、パンケーキの先輩とはうまくいかずに終わった。
アゲハがいない。
小さい頃から当たり前にいたアゲハが突然消えた。
その喪失感は言葉に表せななくて、だけど学校では普通に振る舞っていた。
アゲハがいなくなって1ヶ月が過ぎた放課後
担任が二人の外部の人を連れて入ってきた。
教室にいたのは半分くらいで私もいた。
だから、その人が誰か一目で分かった。
信じられないくらいやつれたアゲハのお母さんとお兄さん。
「………空ちゃん、久しぶりね」
「おばさん、タイヨウさん……お久しぶりです」
おばさんはアゲハに似た顔で、精一杯笑顔で私に挨拶をしてくれたけど笑顔が笑顔じゃない。
「こちらが、井黒くんの席です。ロッカーは後ろになります」
「わざわざすみません」
アゲハのお兄さん、タイヨウさんは担任に頭を下げてから机に入っていた教科書を袋に詰めた。
おばさんはロッカーを開けて、中に入っていた綺麗な体操着を持って、崩れた。
私がおばさんに駆け寄るとおばさんは泣いてないけど震えていた。
「空ちゃん……揚羽のバッグにね、薬が入っていたの……処方された分が全部…意味、分かるよね?」
アゲハは薬を毎日飲まないといけない身体。
少しくらい飲み忘れても平気だけど、勝手にやめると命の危険があるって………ずっと昔、アゲハから聞いた。
「いっかげつ、もっ!揚羽は薬を飲まずに……生きていられないのよぉっ!!」
そう言って体操着に顔を埋めて泣き出したおばさんに、私は何も声を掛ける事ができなかった。
「ごめんね空ちゃん。母さんずっとこんなだから気にしないで」
タイヨウさんは私に謝るけど、一体誰が悪いのだろうか?
アゲハの家族なら泣いて当然、苦しくて当然。
私の喪失感なんてゴミみたいなものだ。
アゲハの身体を考えると、おばさんの言葉は何よりも重い。
「……空ちゃん家族には黙ってたけど、揚羽はもう長くなかった。あと1~2年って余命宣告されてて、本人も知ってた。だから、仲良くしてくれてありがとう。空ちゃんとまた同じクラスだったってアイツ喜んでいたよ」
タイヨウさんの言葉を理解するまでに時間がかかった。
余命宣告?あと1~2年??
そんな話、アゲハから聞いてないよ?
つまり、それだけ悪かったアゲハが薬もない状態で今も生きている可能性はないって事?
もう、死んでるの??
アゲハの荷物を片付けたおばさんたちは私に挨拶をして教室を出ていったんだけど
そこら辺から記憶にない。
アゲハの事で頭がいっぱいで
気づいたら家で泣きながら枕に突っ伏した状態でそのまま眠っていた。
情報提供を~みたいな話だったと思うけど、あんまり覚えていない。
クラスのみんなも私がアゲハと幼馴染みって知ってるから腫れ物に触るかのような扱いだった。
「井黒くん、無事だといいね…」
桃華だけは私の気持ちに寄り添ってくれた。
**********
アゲハの失踪はニュースにも取り上げられて、おばさんもおじさんも一生懸命探してた。
でも、アゲハは見つからなかった。
1週間も経てばニュースで取り上げられなくなって
2週間も経てばクラスではアゲハがいないのが当たり前の空気となっていた。
ただ、私の気持ちは沈んだままだったから、パンケーキの先輩とはうまくいかずに終わった。
アゲハがいない。
小さい頃から当たり前にいたアゲハが突然消えた。
その喪失感は言葉に表せななくて、だけど学校では普通に振る舞っていた。
アゲハがいなくなって1ヶ月が過ぎた放課後
担任が二人の外部の人を連れて入ってきた。
教室にいたのは半分くらいで私もいた。
だから、その人が誰か一目で分かった。
信じられないくらいやつれたアゲハのお母さんとお兄さん。
「………空ちゃん、久しぶりね」
「おばさん、タイヨウさん……お久しぶりです」
おばさんはアゲハに似た顔で、精一杯笑顔で私に挨拶をしてくれたけど笑顔が笑顔じゃない。
「こちらが、井黒くんの席です。ロッカーは後ろになります」
「わざわざすみません」
アゲハのお兄さん、タイヨウさんは担任に頭を下げてから机に入っていた教科書を袋に詰めた。
おばさんはロッカーを開けて、中に入っていた綺麗な体操着を持って、崩れた。
私がおばさんに駆け寄るとおばさんは泣いてないけど震えていた。
「空ちゃん……揚羽のバッグにね、薬が入っていたの……処方された分が全部…意味、分かるよね?」
アゲハは薬を毎日飲まないといけない身体。
少しくらい飲み忘れても平気だけど、勝手にやめると命の危険があるって………ずっと昔、アゲハから聞いた。
「いっかげつ、もっ!揚羽は薬を飲まずに……生きていられないのよぉっ!!」
そう言って体操着に顔を埋めて泣き出したおばさんに、私は何も声を掛ける事ができなかった。
「ごめんね空ちゃん。母さんずっとこんなだから気にしないで」
タイヨウさんは私に謝るけど、一体誰が悪いのだろうか?
アゲハの家族なら泣いて当然、苦しくて当然。
私の喪失感なんてゴミみたいなものだ。
アゲハの身体を考えると、おばさんの言葉は何よりも重い。
「……空ちゃん家族には黙ってたけど、揚羽はもう長くなかった。あと1~2年って余命宣告されてて、本人も知ってた。だから、仲良くしてくれてありがとう。空ちゃんとまた同じクラスだったってアイツ喜んでいたよ」
タイヨウさんの言葉を理解するまでに時間がかかった。
余命宣告?あと1~2年??
そんな話、アゲハから聞いてないよ?
つまり、それだけ悪かったアゲハが薬もない状態で今も生きている可能性はないって事?
もう、死んでるの??
アゲハの荷物を片付けたおばさんたちは私に挨拶をして教室を出ていったんだけど
そこら辺から記憶にない。
アゲハの事で頭がいっぱいで
気づいたら家で泣きながら枕に突っ伏した状態でそのまま眠っていた。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる