理想郷 - 私と幼馴染みの異世界物語 -

由奈(YUNA)

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CASE10 傷痕

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「あのさ、聞いていいか?」


レオンの手伝い中に、急に小声で声をかけられた。

チラッとエドガーとアゲハのいる方を見て、それから口を開いた。



「アゲハ、お前がいないと薬飲まなかったのって……」


「何かを口にいれるのが怖いらしいよ」


私も小声で答えて、レオンも納得したみたい。

まぁなんとなく察していただろうけどね……。


「あと……向こうで何があったかは聞いたか?」


「聞いてない…ってか聞けないよ、、、聞きたいけど」


「まぁ、そうだよなぁ……」



レオンは複雑な顔をしていて、なんて声をかけたらいいか分からなかった。


「………朝ごはんにしよ?」


「だな……その皿運んでくれるか?」


人数分あるお皿には目玉焼きとサラダとパン。

手伝っている時から気づいていたけどさ………絶対に、まだ熱っぽい人は食べれないヤツ。


きっとレオンもその辺りは分かった上であえて人数分用意したんだろうけどね。



両手にお皿を持ちながらテーブルについたら、 テーブルの上には妙にリンゴだらけ。

リンゴ……5個くらいむいたんじゃない?


「おい!やりすぎだ、エドガー。家中のリンゴが消えたぞ」


「また買えばいいじゃないか!ちゃんと食べるよ………アゲハがね」


エドガーに名前を呼ばれたアゲハはちょっと驚いていて

「絶対に無理」

って、即答してた。


まぁ私が最初に食べたらアゲハも少しは食べてくれたから良かったけど。

案の定、朝ごはんはリンゴしか食べなかったアゲハ。


そのうち倒れるんじゃないかって、だんだん心配が増えてきたよ。


食後の談笑も、アゲハは自ら会話に入ろうとしなかったから……昨日の夜より調子悪いのかな?


「なぁ、アゲハ」


「………………ぁっ、なに?」


レオンに名前を呼ばれても反応が鈍かった。


「お前さ、調子いい時は下にいろ。アゲハの性格上、部屋に閉じ籠っていると余計なこと考えちまいそうだからな」


「………うん、、考えておく」


レオンの提案はイマイチ乗り気じゃないから、、何かあったのかな?


「どうしたの?元気ないし……」


思わず、聞かずにはいられなかった。



「………もし、自分がまた自分じゃなくなったら、、一人じゃない時は誰かを襲うかもしれない、、とか、、午前中に医者が来るの嫌だな、とか。そんな事を思って落ち込んだだけだよ」


そう言って力なく笑うアゲハに向かって、エドガーは不満そうな顔をして見つめていた。

あんまりにもじっと見ているから、レオンと私がエドガーに注目しちゃって、その視線気づいたみたいでアゲハもエドガーの顔をようやく見た。

エドガーはアゲハと見つめあってから、ゆっくりと身を乗り出してアゲハに向かってデコピンを食らわせた。


「馬鹿だねぇ、アゲハは。前に一度たりとも再び自我を失ったりしなかっただろ?もしも…なんて起こらない。起きたとしても何度でも私が相手になる。
それに、治療中も傍にいる。アゲハが本当に無理そうだったら止めるから。だから、心配はいらないよ」


エドガーの言葉は不思議な力があるみたい。

ちょっとだけ、安心したのか表情が変わった。

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