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CASE10 傷痕
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「はい、じゃあこれはアゲハに渡してね?無理に一階に降りてこないでいいからね?」
私たちが食べ終わってから、エドガーに渡されたのはアゲハ用に用意されたお弁当とスープと飲み物。
持ちやすいようにバッグに入れて渡してくれた。
「いいのか?エドガーが持ってかなくて。いいのか?オトーサン」
明らかにレオンは茶化してるし、エドガーも“お父さん”って単語に満更ではない顔をしてるけど、エドガーは首を横に振った。
「泣いて嫌がるアゲハに無理させたのは私だ。私が行けば荒れる可能性があるだろう?」
「オトーサンだから八つ当りされそうだもんな」
「あぁ、私は父親だからな」
…………二人の会話!
アゲハの状況はあまり良くないって分かってるはずなのに、どうしても“お父さん”って呼んだ事でいじりたいらしい。
ってかエドガーは嬉しいんだろうね。
ずっとエドガーはアゲハを“息子”って呼ぶけど、アゲハはエドガーを“お父さん”って呼んだ事はなかったから。
あの発言は本当はアゲハの実のお父さんに向けた言葉だったかもしれないけど、、エドガーは自分に向けてだって受け止めたんだね。
「じゃあ私はこの“お母さん”からの手料理を届けてくるね」
バッグをひょいっと持ち上げてそう言えば、二人は笑って送り出してくれた。
**********
アゲハの部屋に戻ると、重い空気だった。
私が出た時から体勢が全く変わってなくて、ずっと天井を見ているアゲハ。
さすがに掛け布団はかかっていたけど、服もまだ着ていないっぽい。
ゼロさんは椅子に座って黙っていたけど、私が来たら立ち上がった。
視線はバッグに向いてて、ゼロさんはもちろん分かっているからか口を開いた。
「アゲハ、あとでメシ食え。これ届けるために俺が朝から来てんだよ」
「…………いら、ない、、」
「今じゃなくていーよ。エドガーに用があるから俺は下に行くから」
ゼロさんは去り際に私の肩をポンと叩いたけど……
たまにこう、カッコつけるよね、、ゼロさんって。
テーブルに持ってきた物を出している間も、アゲハは私の方を見ようとはしなかった。
「服着た?」
「………まだ」
「風邪引くから服はちゃんと着なさいって、、」
声を掛けてもすぐには動こうとしなかった。
………たぶん、同じようなことをゼロさんも言っただろうね。
ただ、私が飲み物を用意し始めた時に動く気配を後ろに感じたから、、
ようやく、動けるくらい心が回復したのかな?
マグカップを二つ持って振り向くと服のボタンはとめたけど、下を向いて動けないって状態だった。
「温かいお茶、飲む?」
「……ん、ありがとう、」
顔をあげてマグカップを手に取るまでも時間がかかった。
焦る様なことじゃないけど……
「あの、ね、」
私が隣に座るより先に、
マグカップの中身をじっと見ながら、アゲハが口を開いた。
「ぜんぶ、、話すから……空からみんなに伝えて、は、ダメ、かな、、」
全く話ができる様子じゃないし、すでに辛そうだよ?
話したい事、って花将軍のところにいた時の話だよね?
「アゲハが辛いなら話す必要はないよ?」
「知らないまま、、こんな姿、見せるのも嫌だし………話さないと、いけない、」
そこまで言ってようやく私を見たんだけど……
死んじゃうんじゃないかってくらい、苦しそうな顔をしていた。
「一人でかかえるのが…もう、むり、っ、」
「だったら!私に話して?話した方が楽になるなら、、なんでも聞くから!」
アゲハの手にあるマグカップの中身がグラグラ揺れて溢れそうだったから
取り上げてテーブルに置いた。
隣に座って話始めるのを待っていたけど、、
ポツポツと話はじめた内容は、私の想像を越えていた。
私たちが食べ終わってから、エドガーに渡されたのはアゲハ用に用意されたお弁当とスープと飲み物。
持ちやすいようにバッグに入れて渡してくれた。
「いいのか?エドガーが持ってかなくて。いいのか?オトーサン」
明らかにレオンは茶化してるし、エドガーも“お父さん”って単語に満更ではない顔をしてるけど、エドガーは首を横に振った。
「泣いて嫌がるアゲハに無理させたのは私だ。私が行けば荒れる可能性があるだろう?」
「オトーサンだから八つ当りされそうだもんな」
「あぁ、私は父親だからな」
…………二人の会話!
アゲハの状況はあまり良くないって分かってるはずなのに、どうしても“お父さん”って呼んだ事でいじりたいらしい。
ってかエドガーは嬉しいんだろうね。
ずっとエドガーはアゲハを“息子”って呼ぶけど、アゲハはエドガーを“お父さん”って呼んだ事はなかったから。
あの発言は本当はアゲハの実のお父さんに向けた言葉だったかもしれないけど、、エドガーは自分に向けてだって受け止めたんだね。
「じゃあ私はこの“お母さん”からの手料理を届けてくるね」
バッグをひょいっと持ち上げてそう言えば、二人は笑って送り出してくれた。
**********
アゲハの部屋に戻ると、重い空気だった。
私が出た時から体勢が全く変わってなくて、ずっと天井を見ているアゲハ。
さすがに掛け布団はかかっていたけど、服もまだ着ていないっぽい。
ゼロさんは椅子に座って黙っていたけど、私が来たら立ち上がった。
視線はバッグに向いてて、ゼロさんはもちろん分かっているからか口を開いた。
「アゲハ、あとでメシ食え。これ届けるために俺が朝から来てんだよ」
「…………いら、ない、、」
「今じゃなくていーよ。エドガーに用があるから俺は下に行くから」
ゼロさんは去り際に私の肩をポンと叩いたけど……
たまにこう、カッコつけるよね、、ゼロさんって。
テーブルに持ってきた物を出している間も、アゲハは私の方を見ようとはしなかった。
「服着た?」
「………まだ」
「風邪引くから服はちゃんと着なさいって、、」
声を掛けてもすぐには動こうとしなかった。
………たぶん、同じようなことをゼロさんも言っただろうね。
ただ、私が飲み物を用意し始めた時に動く気配を後ろに感じたから、、
ようやく、動けるくらい心が回復したのかな?
マグカップを二つ持って振り向くと服のボタンはとめたけど、下を向いて動けないって状態だった。
「温かいお茶、飲む?」
「……ん、ありがとう、」
顔をあげてマグカップを手に取るまでも時間がかかった。
焦る様なことじゃないけど……
「あの、ね、」
私が隣に座るより先に、
マグカップの中身をじっと見ながら、アゲハが口を開いた。
「ぜんぶ、、話すから……空からみんなに伝えて、は、ダメ、かな、、」
全く話ができる様子じゃないし、すでに辛そうだよ?
話したい事、って花将軍のところにいた時の話だよね?
「アゲハが辛いなら話す必要はないよ?」
「知らないまま、、こんな姿、見せるのも嫌だし………話さないと、いけない、」
そこまで言ってようやく私を見たんだけど……
死んじゃうんじゃないかってくらい、苦しそうな顔をしていた。
「一人でかかえるのが…もう、むり、っ、」
「だったら!私に話して?話した方が楽になるなら、、なんでも聞くから!」
アゲハの手にあるマグカップの中身がグラグラ揺れて溢れそうだったから
取り上げてテーブルに置いた。
隣に座って話始めるのを待っていたけど、、
ポツポツと話はじめた内容は、私の想像を越えていた。
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