祷雨(とうう)の巫女はまだ決断できない~雨は祈りか、絶望か~

カノンみわ

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第4話 三人目の同行者

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異世界カーランティへ出発する日が決まり、準備を進めていくことになった。

事前の説明で、滞在する先では住居は完備、食事はもちろん服や生活必需品も支給されるとのこと。

私が持って行くものは、使い慣れた化粧品や着なれた服くらいらしい。

派遣されるところはカーランティの小さな島国、シオガ国。
基本的に温暖な国らしく、季節的には日本の4~5月頃を想定したらいいとのことだった。

特に大きなこだわりのない私は、半年という長期滞在になるとはいえ、荷物は小さなキャリーケースひとつで収まった。



出発日の数日前に最後の確認と顔合わせと言うことで、五菱本社へ行くことになった。

以前、面談を行った会議室に通されると、斎藤さんと数人の関係者らしい男性たち、そして1人の若い男性もいた。

他の男性たちがスーツを着たビジネスマンと言った出で立ちなのに、その男性はポロシャツにチノパンと言ったラフな格好だった。

私がいぶかしげな顔をすると、それに気づいた斎藤さんが、その男性を紹介してくれた。

「こちらの男性は高坂こうさかタケルさんです。早川さんと一緒に、カーランティへ行っていただく事になりました」

え?とキョトンとしてる私に、その高坂さんは立ち上がって満面の笑顔で近づいてきた。

「早川さんですね?高坂です。よろしくお願いします。異世界行くの楽しみですね!」

私と同世代か少し年上な感じで、笑顔は人懐っこい感じだけど、高坂さんは背も高くてガタイもよく、近づかれると少し圧を感じた。

「よろしくお願いします…」

と私が少し怖じ気づいてるのを察したのか、高坂さんは少ししまったと言う感じの顔をして、軽く「すみません」と言って椅子に座った。

あっけらかんとしたタイプに見えたけど、少し繊細な人なのかな?

この人もリュウセイモンとやらを持ってるのだろうか。

疑問に思いながらも、斎藤さんの話を聞くことになった。

「早川さんと高坂さん、そして私の三人でカーランティに向かいます。現地ではお二人には、龍の世話と儀式の補佐をお願いします。高坂さんは動物飼育員の経験がおありのようですね?」

と話を振ると、高坂さんは少し大きな声で返事をした。

「はい!動物園ではコモドドラゴンの世話もしたことがあります!ゲームも好きなので、本物の龍に関われると言うことでテンション上がってます」

何だか熱量高い人だな…斎藤さんと真逆に見える。

斎藤さんは、淡々と話を進めた。

「今回のようにカーランティへ向かうプロジェクトは今まで何回か行っておりますので、シオガ国でも受け入れ態勢は整っております。特に準備することもないと思いますが、体調管理は万全にお願いします」

「あ、あの1つ聞いていいですか?」

私は、ずっと気になっていたことを聞いた。

「はい、何ですか?」

「今回のように異世界へ行くプロジェクトは、何回も行われてるんですか?正直カーランティの存在を知ってる日本人は、少ないと思うんですが」

私の質問に、斎藤さんはあっさりと答えた。

「口外禁止のプロジェクトですので。表には出ないんですよ」

そういうもんなの?

でも確かに私もハローワークで求人票を見つけたわけだし、ハローワークの人も淡々としてたし、もしかしたらみんな口に出さないだけで、存在を知ってる人も多いんだろうか。

「今だから申し上げますが、お二人の身辺調査は厳密に行わせていただきました。信用できるお人柄だと判断しての派遣になりますので、改めて口外はされませんよう。万が一外部に漏れたら、法的罰則の対象になりかねませんので」

斎藤さんはあくまで淡々と、怖いことをさらっと言う。


そしてカーランティへ出発する当日を迎えた。


────────────────────



当日の集合場所は、またも五菱本社だった。

そこからカーランティへ繋がるゲートがある場所へ、車でつれていかれるらしい。

車に乗り込む時に斎藤さんに、

「スマホは持ってきてないですよね?」

と確認をされたので、私は「はい」と答えた。

持ってきていたとしてもカーランティでは使えないし、そもそもゲートの場所は機密なのでスマホのGPS機能も警戒しているらしい。

私たち三人と担当者らしき男性が車に乗り込むと、車は静かに出発した。


──────────────────


途中で休憩を挟みながらもたどり着いたのは、自衛隊の駐屯地だった。

こんなところに駐屯地あったっけ?と不思議に思ったけど、車は裏口の小さな出入り口から敷地内に入っていった。

「自衛隊の駐屯地なんて、俺初めて入ったな…」

高坂さんがボソッと呟く。

それを聞いて斎藤さんが

「国で管理している場所なので。この駐屯地はそれを守るためにここに作られたんです」

と答えた。

ますます国が関わってると言うのが、現実味を帯びてきた。

そして車はそのまま敷地内を走り、厳重に守られた門の奥にある地下トンネルに入って真っ暗な道を数分ほど走ったと思ったあと、一気に視界がパアッと明るくなった。



「着きましたよ、異世界に」



その瞬間、足元の空気が一変した。

何かが、確実に始まろうとしていた。





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