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第39話 傷つけない選択
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斎藤さんの内面を初めて教えてもらい、私はとても不思議な気持ちになった。
今まで驚くほど冷徹だったり、かと思えば思いやりを感じたりよく分からない人だったけど、日本のために祷雨計画を進めようとしてるんだと考えれば、しっくり来るような気がした。
私の体調を気遣ってくれたり、ハウエンの祷雨のあと落ち込んでる私を龍合地へ行くことを勧めてくれたことは、多分私を本当に心配してくれていたのかもしれない。
ちょうど夕食の時間になったので、私たちは食堂へ移動した。
食堂ではさすがに込み入った話はできないので食事をしながら他愛ない話をしたけど、ふと最初に疑問に思っていたことを思い出した。
もうすっかり見慣れていたから、忘れていたけど。
「あの……、斎藤さんが男性用のアズミルを着てるのは、その、こだわりなんですか……?」
聞いていいのか少し迷ったけど、斎藤さんはクスクス笑った。
「そんなに気を遣わなくても大丈夫ですよ。私がこれを選んでるのは、単に好みなだけです。シオガって男女差別はある割りに、ジェンダーにはおおらかなんですよね。なぜか」
そうなんだ……。
でも表情が柔らかくなった斎藤さんを見て、ちょっとほっとした。
何か切っ掛けがあったのかは分からないけど、ようやく少し打ち解けられた感じがして嬉しかった。
そしてこれからまた頼まれるであろう二回目の祷雨、それを断る決意が私の中で固まっていった。
─────────────────────
それから2週間ほど経って、またあのメンバーで集まる時が来た。
今回集まったメンバーにはまたカレイ博士、そしていつもは参加しないウラジオ国王まで揃っていた。
ウラジオ国王の周りにはお着きの人たちもいるので、会議室はいつになく人が多かった。
ウラジオ国王まで同席すると言うことは、シオガとしては何としても私に二回目の祷雨を行わせたいのかもしれない。
でも斎藤さんや高坂さんとようやく一枚岩になれた気がしていて、私の心には迷いがなかった。
リョウガさんのいつもの会議の開会の挨拶のあと、また二回目の祷雨の依頼をしてきた。
「アユミさん、改めて二回目の祷雨をお願いしたいのですが」
「お断りします」
私が即答で断ったので、リョウガさんも面食らったようだけど、すぐに気を取り直して話を続けてきた。
「アユミさん、今回の祷雨の目的はご存じですか?」
「はい、他国に戦争を仕掛けると公言している国に先制で制裁を加えるんですよね。祷雨をそんなことのために行えません」
「でもオルク国は大量の兵器をちらつかせて、近隣国や我が国に脅しをかけている。このまま野放しにしておくと、これからとんでもない犠牲が出るかもしれません。これはそれを防ぐ、あくまで防衛なんですよ」
リョウガさんの言葉を最後まで聞いた後、私はゆっくりと答えた。
「それは、シオガも同じではありませんか?」
「え?」
私の言葉に、会議室の空気がざわついた。
「どういう意味ですか?アユミさん」
「強い力をちらつかせて他国に圧力をかけ、脅しにも使う。大量の兵器を持って他国を脅すオルク、シオガはそれを祷雨で行ってるだけだと思います」
自分でも驚くほど冷静に言葉が出てくる。
「例え強すぎる力を持ったとしても、目的や結果はどうであれ、人を傷つける権利は誰にもないと思います。
そんな力をそもそも人が持つべきではないです。
私自身がその力を手にしたとき、どんなに恐ろしくて苦しくて、孤独だったかを知っているから」
私の言葉に、会議室は水を打ったように静まり返った。
その張り詰めた空気を壊したのは、意外な人物だった。
「リョウガさん、私の意見を言ってもいいかね」
カレイ博士だった。
今まで驚くほど冷徹だったり、かと思えば思いやりを感じたりよく分からない人だったけど、日本のために祷雨計画を進めようとしてるんだと考えれば、しっくり来るような気がした。
私の体調を気遣ってくれたり、ハウエンの祷雨のあと落ち込んでる私を龍合地へ行くことを勧めてくれたことは、多分私を本当に心配してくれていたのかもしれない。
ちょうど夕食の時間になったので、私たちは食堂へ移動した。
食堂ではさすがに込み入った話はできないので食事をしながら他愛ない話をしたけど、ふと最初に疑問に思っていたことを思い出した。
もうすっかり見慣れていたから、忘れていたけど。
「あの……、斎藤さんが男性用のアズミルを着てるのは、その、こだわりなんですか……?」
聞いていいのか少し迷ったけど、斎藤さんはクスクス笑った。
「そんなに気を遣わなくても大丈夫ですよ。私がこれを選んでるのは、単に好みなだけです。シオガって男女差別はある割りに、ジェンダーにはおおらかなんですよね。なぜか」
そうなんだ……。
でも表情が柔らかくなった斎藤さんを見て、ちょっとほっとした。
何か切っ掛けがあったのかは分からないけど、ようやく少し打ち解けられた感じがして嬉しかった。
そしてこれからまた頼まれるであろう二回目の祷雨、それを断る決意が私の中で固まっていった。
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それから2週間ほど経って、またあのメンバーで集まる時が来た。
今回集まったメンバーにはまたカレイ博士、そしていつもは参加しないウラジオ国王まで揃っていた。
ウラジオ国王の周りにはお着きの人たちもいるので、会議室はいつになく人が多かった。
ウラジオ国王まで同席すると言うことは、シオガとしては何としても私に二回目の祷雨を行わせたいのかもしれない。
でも斎藤さんや高坂さんとようやく一枚岩になれた気がしていて、私の心には迷いがなかった。
リョウガさんのいつもの会議の開会の挨拶のあと、また二回目の祷雨の依頼をしてきた。
「アユミさん、改めて二回目の祷雨をお願いしたいのですが」
「お断りします」
私が即答で断ったので、リョウガさんも面食らったようだけど、すぐに気を取り直して話を続けてきた。
「アユミさん、今回の祷雨の目的はご存じですか?」
「はい、他国に戦争を仕掛けると公言している国に先制で制裁を加えるんですよね。祷雨をそんなことのために行えません」
「でもオルク国は大量の兵器をちらつかせて、近隣国や我が国に脅しをかけている。このまま野放しにしておくと、これからとんでもない犠牲が出るかもしれません。これはそれを防ぐ、あくまで防衛なんですよ」
リョウガさんの言葉を最後まで聞いた後、私はゆっくりと答えた。
「それは、シオガも同じではありませんか?」
「え?」
私の言葉に、会議室の空気がざわついた。
「どういう意味ですか?アユミさん」
「強い力をちらつかせて他国に圧力をかけ、脅しにも使う。大量の兵器を持って他国を脅すオルク、シオガはそれを祷雨で行ってるだけだと思います」
自分でも驚くほど冷静に言葉が出てくる。
「例え強すぎる力を持ったとしても、目的や結果はどうであれ、人を傷つける権利は誰にもないと思います。
そんな力をそもそも人が持つべきではないです。
私自身がその力を手にしたとき、どんなに恐ろしくて苦しくて、孤独だったかを知っているから」
私の言葉に、会議室は水を打ったように静まり返った。
その張り詰めた空気を壊したのは、意外な人物だった。
「リョウガさん、私の意見を言ってもいいかね」
カレイ博士だった。
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