前世で医学生だった私が転生したら殺される直前でした。絶対に生きてみんなで幸せになります 2

mica

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1:バースでの新生活

4:ギルバートの入学

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シャーロット旋風のちょうど後からのお話になります



ギルバートは、黒のフロックコートにエンジ色のジレ、白のクラヴァットをつけ、シルクハットをかぶる。セントアンドレア校の制服である。ジレの色は学年の色を示している。今日は、入学式、侯爵家の自室で一人で制服をきて鏡の前で確認する。

「ギルバート、入って良いかしら?」

シャーロットの声が聞こえる。
「姉上、どうぞ」

シャーロットは、入室すると
「まあっ」と声を出す。
「なんて素敵なの、すっかり青年って感じね。とうとうこの日が来たのね・お父様とお母様が生きていたらなんとおっしゃったか。良かった、良かったわ」
と涙ぐむ。普段は泣いたりしないシャーロットだが、立派なギルバートの姿に涙が止まらない。

「あ、姉上、泣くのはやめてください。目が腫れぼったくなったら父上達が心配なさいます」

「わかっているけど・・今日ぐらいは泣かせて。」

ぐすぐすと泣く。ゲルトランに殺されそうになった6年前を思い出すと感無量である。
またノックがしたと思ったら、
「旦那様がおいでです」
アダムの声が聞こえる。

「やあ、ギルバート、立派な青年貴族だ。今日から学院で勉学に励みなさい。そして、友を見つけなさい。学院で得た友人は一生の友人になるからね」

アリストがギルバートをじっと見た後頷きながら声をかけてくる。

「ありがとうございます。父上、ゼオンの名に恥じぬよう頑張ります」


ギルバートも微笑む。

「シャーロット、そなたも泣くのをやめないと入学式で恥ずかしいぞ」

「う、わかりました。気をつけます」

シャーロットも泣くのをやめて、3人で貴族学院に向かう。セントアンドレア校に到着すると、7歳の1年生の入学式が終わったところだった。

6年前に本来であれば、あの子供達のように、ここに入学していたんだなと思うと、6年前に姉に担がれて雨の中を移動したことを思い出す。姉の背中だけが暖かく、両親を殺されて寒くて意識も朦朧としていた中で姉の金色の髪の毛だけが明るく見えた。

「ギルバート?」

姉が心配そうにこちらを見ている。
「姉上、ごめんなさい、ぼうっとしていました。」
はっとして、慌てて微笑む。

「あらあら、ギルバートも緊張するのね。当たり前だわ。でも、大丈夫、きっとお友達もできるわよ」

と微笑んでくれる。ああ、姉上はいつも自分を暖かく見守ってくれる。この笑顔を自分も守らなければ。

「ギルバート、とりあえず、そなたは2学年下の11歳のクラスへ編入が決まっている。本来は保護者は1年生以外は始業式に参加することはない。しかし、今回は特別に一年生の保護者と一緒に後ろの方で見ることは構わないと言われている。せっかくの記念すべき1日目だ。シャーロットと後ろで見ているから、堂々としなさい」

「はい、ありがとうございます」

手続きをしたのち、ギルバートと別れ、始業式までしばらくシャーロットは、アリストと校内を見学する。

「まあ、思ったより絢爛豪華という感じではないのですね」

「まあ、学び舎だからね。あまり装飾に金銭を費やすのではなく、勉学、剣術に研鑽を積むことを美德としている。ここでは、平民の特待生もいるが、ほとんどは貴族だ。しかし、貴族の中でも爵位で優劣を決めてはいけないという決まりがある。男爵であろうと公爵より優秀であれば生徒会長になることも可能だ。」

「素晴らしいです。きっと、図書館も立派なのでしょうね。」

「ははは、シャーロットはそちらに関心があるか。まあ、それはそうだが、大学や王立図書館の方が規模は大きいぞ。今度、護衛といくと良い。」

「あちらが、学生寮だ。」
見ると、大きな屋敷がいくつもある。

「7つの寮があってね。各寮で寮長を筆頭に生活する。どの寮に入るのかは運次第だな。面倒見の良い寮長に当たるかどうかで成績が変わると言われているからね。全寮制で週末は別だが、平日は全員がここで生活する。王族であっても例外はない。食堂で同じものを食す決まりがある。
・・・懐かしいな。私もここで過ごしたのだよ。殿下と他の学友とともにね」

説明した後、感慨深げにアリストが寮を見る。

貴族の学び舎にふさわしく、厳かな雰囲気の講堂で、始業式が始まる。保護者が入場すると、すでに、全ての生徒が、学年毎に着席している。学長の始業のための挨拶、そして生徒会長の挨拶、各学年の学年委員の任命が行われる。

「ごらん、あの方が、王太子殿下の嫡男でいらっしゃるルイ王子だ」
アリストがシャーロットに囁やく。

12歳の学年で学年委員に選抜されている。金髪、碧眼で、シャーロットは、前世でみた小説や漫画の如何にも王子様って感じだわって感心する。






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