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1:バースでの新生活
7:お茶会と恋バナ
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セリーナ嬢が
「初めてお会いしましたが、シャーロット様は本当に可憐な感じで素敵ですわね。ふふふ、氷の騎士と呼ばれていたアーサー様がすっかり溶けきったと言う噂を聞いたのですが、シャーロット様であれば致し方ないですわね」
と笑う。
マリアンヌ嬢も頷く。
「随分前に、お恥ずかしいのですが、私も実はアーサー様のことが好きでしたの。あら、心配されなくて大丈夫ですわよ。なんせ、アーサー様は我が国の高名な騎士でいらっしゃるので憧れない令嬢はいないくらいでしたのよ。ただ、全くどのような令嬢がお声かけしても眼中にないと言った様子で。シャーロット様にお会いして納得しましたわ。それに、私も父から、自分のことを愛してくれる人と結婚しなさいと言われて、そうねと思いましたの。」
「まあ、では今は、マリアンヌ様は相思相愛の婚約者がいらっしゃると言うことですの?」
セリーナが尋ねる。
「ええ、ずっと何度も求婚に来られて、最初は存じ上げない方だったので躊躇があったのですが、何度かご一緒している間に、その方の優しさに触れてだんだん好きになっていたと言うか」
少し恥ずかしそうに答える。
「きゃー」
「わかりますわあ」と他の二人からも声が聞こえる。
「あら?エリザベス様は一目惚れだったのでしょう?ちょっと社交界でも噂になっていますわよ」
マリアンヌ嬢がエリザベスに声をかけてくる。
「そ、そうなんです。一目惚れしてしまって、つい、ぽろっと好きですって告白してしまいました」
顔を真っ赤にして手で顔を隠している。
「いやあん、素敵ではないですか。なかなか自分からは言えないものですもの」
セリーヌが少し興奮しながら話す。
「セリーヌ様の婚約者はどんな方ですの?」
シャーロットも尋ねる。
「それが、とても無口な人なんです。寡黙で本ばかり読んでいて。彼もなかなか言ってくれないし、私も自分からは好きって言えなくって・・」
「で?どうされたのです?」
マリアンヌが聞いてくる。
「そ、それが、夜会の時に、『セリーヌ、月が綺麗ですね』と言ってくださったんです」
マリアンヌとエリザベスがきゃーっと叫ぶ。シャーロットは??である。
「あら、シャーロット様、ご存知ないかしら? 貴族の間で流行っているんです。とても君のことが好きだなんて言えない時に、「月が綺麗ですね」と言うのは、「あなたのことが好きだ」と同義語なんですのよ」
なるほど、そう言えば、前世でもそんなことを某有名な文豪が言ったとかあったわね。でも・・
「あの、月が出ていて、たまたま隣にいた人に月が綺麗ですねなんて言ったら誤解されるってことですか?」
「あら、無論、同性同士で、月が綺麗なんて言ってもそれは社交ですわ。でも、なかなか月を一緒に見るなんてそうそうないシチュエーションですから」
「そうですとも。ここは、二人きりで月をみるシチュエーションを作り出していると言うことが重要ですのよ」
「な、なるほど。」
「あら、でも、男性同士で、見つめ合いながら月が綺麗だなんて言っていたとしたら・・・」
「・・ちょっとそれは、想像しただけで萌えますわね・・・」
きゃーと3人が言っている。
前世と一緒で、女性同士はどうもそう言った話をするのも好きみたいだなと、ちょっと思ったシャーロットである。
「うふふ、実は女学院では、結構同性愛の話は一部の女子の間で大人気なんです」
マリアンヌが笑う。
「そうなのです。アーサー様がなかなか婚約されないので、実は主従愛がとか師弟愛がとか想像していたんですのよ」
セリーナは言う。
「「え?」」
エリザベスとシャーロットがブンブンと横に首を振る。
「あのシャーロットお姉様好きすぎの兄様が絶対ありえないですわ。と言うか、想像もつかないですわ・・」
「そ、そうね。オスカーとアーサーってことですものね。想像を絶するって言うか」
シャーロットもびっくりである。
「あら、おふた方は現実のアーサー様を良くご存知だからですけど、外野からみれば、ついそんな想像もしてみたくなるのですわ」
セリーナの鼻息は荒い。
「なにせ、女学院は女子校、貴族学院は男子校で全寮制。ついつい女子は色々想像豊かになるってものですわ。」
なるほどと思いつつ、女学院に行ってればこんな風にいろいろな話をしてお友達を作ったのねと思う。
4人で仲良くお茶をいただいているとあっという間に時間がすぎて行く。
「ああ、とても楽しいですわ。婚約者の話って、なかなか誰とでも話せないでしょ。惚気ているって思われるし。パトリシア様に感謝しなくては」
とセリーナが言う。
「本当に。やはり好きな人がいるってとても素敵なことですわよね」
エリザベスも頷く。
「ええ、我が家も、相思相愛の人と結婚しなさいが家訓なのですよ」
マリアンヌが頷く。
「まあ、素晴らしい家訓ですわね。」
「まあ、反面教師というか・・私の叔父にあたる人が、どうも好きな人がいたけど相手はそうで無かったらしいのです。かなり執着してうまくいかなくて。結果、父達にもかなり迷惑をかけたらしいのです。それからは、自分を好きで大切にしてくれる人と結婚しなさいが父の口癖ですのよ」
「まあ、そんなことがあったのですね。その方も幸せになってくださると良いのに」
シャーロットが眉をひそめる。
「シャーロット様はやはりお優しいわね」
「ええ、私だったら、そんな人気持ち悪いとか思ってしまうかも」
と3人が言う。
「え?でも、自分がその立場になったらと思ったらなんだか切なくて。私、ゼオンでは、もうアーサー様とは会えない、きっと新しい婚約者様がいらっしゃると思っていて。その時は、もう諦めよう、諦めようって何度も思っていたのです。その時のことを思い出すとなんとなく・・・」
シャーロットが話すと、
「シャーロット様・・・」
エリザベスが泣き出す。
「あのポンコツの兄をそんな風に思ってくださっていたなんて・・もう嬉しくて、切なくて涙が止まらない・・」
「ああ、愛なのですわ。あの祝勝会でシャーロット様を忘れずにいた氷のようなアーサー様、そして切ない思い、そして再会・・なんてこと、素敵だわ・・」
「感動だわ。ああ、こんな切ない思いがあったなんて。なんとか記すことができないかしら」
3人とも興奮が止まらない。
そろそろとやってきたパトリシアとセーラがびっくりしたのは言うまでもない。
その後も、シャーロットは友人を増やして行くのだが、この3人とは特に気が合ってのちに親友として将来を過ごすことになるのである。
マリアンヌは、以前祝勝会でアーサーと踊った令嬢です。その後、自分を大切にしてくれる婚約者を見つけてハッピーになれました。叔父さん、少し意味深です。
「初めてお会いしましたが、シャーロット様は本当に可憐な感じで素敵ですわね。ふふふ、氷の騎士と呼ばれていたアーサー様がすっかり溶けきったと言う噂を聞いたのですが、シャーロット様であれば致し方ないですわね」
と笑う。
マリアンヌ嬢も頷く。
「随分前に、お恥ずかしいのですが、私も実はアーサー様のことが好きでしたの。あら、心配されなくて大丈夫ですわよ。なんせ、アーサー様は我が国の高名な騎士でいらっしゃるので憧れない令嬢はいないくらいでしたのよ。ただ、全くどのような令嬢がお声かけしても眼中にないと言った様子で。シャーロット様にお会いして納得しましたわ。それに、私も父から、自分のことを愛してくれる人と結婚しなさいと言われて、そうねと思いましたの。」
「まあ、では今は、マリアンヌ様は相思相愛の婚約者がいらっしゃると言うことですの?」
セリーナが尋ねる。
「ええ、ずっと何度も求婚に来られて、最初は存じ上げない方だったので躊躇があったのですが、何度かご一緒している間に、その方の優しさに触れてだんだん好きになっていたと言うか」
少し恥ずかしそうに答える。
「きゃー」
「わかりますわあ」と他の二人からも声が聞こえる。
「あら?エリザベス様は一目惚れだったのでしょう?ちょっと社交界でも噂になっていますわよ」
マリアンヌ嬢がエリザベスに声をかけてくる。
「そ、そうなんです。一目惚れしてしまって、つい、ぽろっと好きですって告白してしまいました」
顔を真っ赤にして手で顔を隠している。
「いやあん、素敵ではないですか。なかなか自分からは言えないものですもの」
セリーヌが少し興奮しながら話す。
「セリーヌ様の婚約者はどんな方ですの?」
シャーロットも尋ねる。
「それが、とても無口な人なんです。寡黙で本ばかり読んでいて。彼もなかなか言ってくれないし、私も自分からは好きって言えなくって・・」
「で?どうされたのです?」
マリアンヌが聞いてくる。
「そ、それが、夜会の時に、『セリーヌ、月が綺麗ですね』と言ってくださったんです」
マリアンヌとエリザベスがきゃーっと叫ぶ。シャーロットは??である。
「あら、シャーロット様、ご存知ないかしら? 貴族の間で流行っているんです。とても君のことが好きだなんて言えない時に、「月が綺麗ですね」と言うのは、「あなたのことが好きだ」と同義語なんですのよ」
なるほど、そう言えば、前世でもそんなことを某有名な文豪が言ったとかあったわね。でも・・
「あの、月が出ていて、たまたま隣にいた人に月が綺麗ですねなんて言ったら誤解されるってことですか?」
「あら、無論、同性同士で、月が綺麗なんて言ってもそれは社交ですわ。でも、なかなか月を一緒に見るなんてそうそうないシチュエーションですから」
「そうですとも。ここは、二人きりで月をみるシチュエーションを作り出していると言うことが重要ですのよ」
「な、なるほど。」
「あら、でも、男性同士で、見つめ合いながら月が綺麗だなんて言っていたとしたら・・・」
「・・ちょっとそれは、想像しただけで萌えますわね・・・」
きゃーと3人が言っている。
前世と一緒で、女性同士はどうもそう言った話をするのも好きみたいだなと、ちょっと思ったシャーロットである。
「うふふ、実は女学院では、結構同性愛の話は一部の女子の間で大人気なんです」
マリアンヌが笑う。
「そうなのです。アーサー様がなかなか婚約されないので、実は主従愛がとか師弟愛がとか想像していたんですのよ」
セリーナは言う。
「「え?」」
エリザベスとシャーロットがブンブンと横に首を振る。
「あのシャーロットお姉様好きすぎの兄様が絶対ありえないですわ。と言うか、想像もつかないですわ・・」
「そ、そうね。オスカーとアーサーってことですものね。想像を絶するって言うか」
シャーロットもびっくりである。
「あら、おふた方は現実のアーサー様を良くご存知だからですけど、外野からみれば、ついそんな想像もしてみたくなるのですわ」
セリーナの鼻息は荒い。
「なにせ、女学院は女子校、貴族学院は男子校で全寮制。ついつい女子は色々想像豊かになるってものですわ。」
なるほどと思いつつ、女学院に行ってればこんな風にいろいろな話をしてお友達を作ったのねと思う。
4人で仲良くお茶をいただいているとあっという間に時間がすぎて行く。
「ああ、とても楽しいですわ。婚約者の話って、なかなか誰とでも話せないでしょ。惚気ているって思われるし。パトリシア様に感謝しなくては」
とセリーナが言う。
「本当に。やはり好きな人がいるってとても素敵なことですわよね」
エリザベスも頷く。
「ええ、我が家も、相思相愛の人と結婚しなさいが家訓なのですよ」
マリアンヌが頷く。
「まあ、素晴らしい家訓ですわね。」
「まあ、反面教師というか・・私の叔父にあたる人が、どうも好きな人がいたけど相手はそうで無かったらしいのです。かなり執着してうまくいかなくて。結果、父達にもかなり迷惑をかけたらしいのです。それからは、自分を好きで大切にしてくれる人と結婚しなさいが父の口癖ですのよ」
「まあ、そんなことがあったのですね。その方も幸せになってくださると良いのに」
シャーロットが眉をひそめる。
「シャーロット様はやはりお優しいわね」
「ええ、私だったら、そんな人気持ち悪いとか思ってしまうかも」
と3人が言う。
「え?でも、自分がその立場になったらと思ったらなんだか切なくて。私、ゼオンでは、もうアーサー様とは会えない、きっと新しい婚約者様がいらっしゃると思っていて。その時は、もう諦めよう、諦めようって何度も思っていたのです。その時のことを思い出すとなんとなく・・・」
シャーロットが話すと、
「シャーロット様・・・」
エリザベスが泣き出す。
「あのポンコツの兄をそんな風に思ってくださっていたなんて・・もう嬉しくて、切なくて涙が止まらない・・」
「ああ、愛なのですわ。あの祝勝会でシャーロット様を忘れずにいた氷のようなアーサー様、そして切ない思い、そして再会・・なんてこと、素敵だわ・・」
「感動だわ。ああ、こんな切ない思いがあったなんて。なんとか記すことができないかしら」
3人とも興奮が止まらない。
そろそろとやってきたパトリシアとセーラがびっくりしたのは言うまでもない。
その後も、シャーロットは友人を増やして行くのだが、この3人とは特に気が合ってのちに親友として将来を過ごすことになるのである。
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