前世で医学生だった私が転生したら殺される直前でした。絶対に生きてみんなで幸せになります 2

mica

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1:バースでの新生活

9:貴族学院にて 2

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「まったく、貴族だろうが、平民だろうが、弱いものいじめが好きなものはどこにでもいるな。」
ギルバートは呟く。

ギルバートは、7歳の時にゲルトランの策略で殺されそうになり、それから平民として暮らした。

姉が自分を支えてくれた。そして、多くの人の善意に支えられて平民として学校に通い、その後に侯爵家で使用人見習いとして働くようになった。

その間、善良な人ばかりに囲まれていたわけではない。怪我で足が不自由だった7歳の頃には平民の同級生に馬鹿にされたり襲われたこともある。しかし、どんな時にも、決して姉には気取られないようにしてきた。ディランにこっそり治療してもらったこともある。

姉には心配をかけたくなかった。

そして、喧嘩をふっかけてきた奴らは返り討ちにしてきた。平民の子供の喧嘩に親は介入したりしない。強いか弱いかなのだ。幸い、ギルバートは、7才まで領地で将来騎士団長になるであろうアーサーと剣の練習をしてきたのだ。足が悪いからと言って、ただの喧嘩好きの平民の子供には負けない。


「でも、きっと親切にしてくれる友人もできるということかな。まだまだこれからだけど」

平民の学校でも、心優しく真っ当な性根の同級生とは等しく友人として過ごした。これは姉の影響もある。姉も分け隔てなくいろいろな人と仲良くしていた。

平民の学校や、ゼオン侯爵家で仲間として仲良くなった友人や人々もたくさんでき、それは自分にとって宝物のような存在である。ゼオンで過ごした6年間は、ケントの7年より自分にとってはよほど記憶に強く残っているのである。

無論、優しい両親とのケントの生活は泣きたくなるように大切な存在である。しかし、今の自分にとっては、ゼオンが故郷といっても過言ではないほどである。

そのゼオン侯爵である新しい父上や姉上に喜んでもらえるように努力しなければと思いつつ図書館に向かったのだった。


ブライアンは後ろ姿を見ながらつぶやく。

「本当によく似ているよ、ロバートに。あのゲルトランもロバートに潰されて一度停学処分にされていた。書記だった自分、風紀委員だったフリード、副会長だったロバート、そして、生徒会長だったジェイド・・・」

暗い眼をつぶりながら両手を組み俯くブライアンだった。




「よお、ギルバート、噂を聞いたぞ。同級生を返り討ちにしたってな」

「やあ、ダニエル、誤解だ。ブライアン先生が、喧嘩になりそうなのを止めてくださったんだ」

図書館で勉強をしていたギルバートに声をかけてきたのは、ダニエル ボーヌ、ケント領の隣の領地であるボーヌ子爵の三男である。同い年で幼い頃に何度か行き来していた。

「まったく、2歳も下のくせにお前に喧嘩を売るとは馬鹿な奴らだな」

「仕方ないよ、私は華奢で腕っ節が強いわけではない。正面からこられたら敵わないしね。」

いやいや、7歳までギルバートはあの辺では剣の扱いが上手いと評判だったぞとダニエルは心で思う。


「ふふふ、7歳まで剣の練習をしていたからって、もう役に立ちはしないさ」

心を読まれたかとぎくっとする。

「それより、ダニエル、少し早めに学年をあげてもらえそうなんだ。早くダニエルと同級生になりたいよ。」

「お、おう、早く追いついてこいよ。みんなで楽しみにしているんだ」

「みんなって?そんなに私は友達がいたわけでないと思うんだけど?」

「何言ってんだ!アンソニーだろ、マーカスだろ、ロジャーもいるぞ。お前が死んだと聞いて俺たちがどんなに驚いたか・・入学式で会えると思っていたお前がいなくて、土砂崩れで亡くなったと聞いてショックだったんだからな。その年、俺は、ボーヌの山越えするのが怖くて夏休みに帰省せずにタウンハウスで過ごしたくらいだ」

彼らは、王都のタウンハウスでお茶会に誘われて一緒に仲良くなった子供達だった。6歳の頃の自分を忘れずにいてくれたんだと嬉しくなる。

「ありがとう。頑張って勉強してみんなに早く追いつくようにするよ。」

「おう、今度の週末は予定あるか?よければ、タウンハウスに遊びにこないか?」

週末、王都にタウンハウスを持つ多くの学生が帰る。

「ありがとう。ただ、まだ色々と忙しくて。侯爵家で父上と姉上が待っているんだ。もう少し、色々と落ち着いたらぜひ伺わせてもらうよ」

「ああ、そうだな。姉上は、この間婚約式を終わられたばかりだもんな。ものすごく評判になっているぞ。氷の騎士のアーサー卿が氷ではなくなったってな」

氷の騎士・・そもそも兄上は自分が知っている頃から氷ではないのだけどな。

「アーサー兄上も忙しいので、なかなか自分とは会えないからよくわからないけどそうなのかもね」

「おう、また色々とゆっくり話そう。邪魔したな。頑張って早く同級生になってくれよ」

声をかけてダニエルは去って行った。
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