前世で医学生だった私が転生したら殺される直前でした。絶対に生きてみんなで幸せになります 2

mica

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1:バースでの新生活

10:ゼオン侯爵家にて

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週末、ギルバートが、侯爵家のタウンハウスに戻ると、
「おかえりなさい。ギルバート。学校はどう?寮の生活は大変ではない?何か手伝えることある?」

シャーロットが心配そうな目でこちらを見つめている。

「姉上、そんなに一斉に質問されたら答えにくいです。大丈夫です。学校は楽しいですし寮生活も快適ですよ。特にお手伝いは不要ですので安心してください。」

笑いながら姉に答える。

ほっとしながらシャーロットは
「安心したわ。本来なら7歳から通っていたはずなのに13歳からでしょう?お友達と仲良く過ごせるか心配していたの。」

「大丈夫ですよ。昨日も隣のボーヌ子爵家のダニエルと話したところです。」

「まあ、ボーヌ子爵の。それはよかったわ。これからも、たくさんの友人を学生時代に作ってね。きっと、一生の友として過ごせると思うのよ」

「そうですね。そういえば、数学のベクトル先生は、ケントの父上のことをご存知のようでした。学院で一緒だったそうです。」

「まあ、お父様のお友達といえば、フリードおじさまだけしか知らないのだけど、きっともっとたくさんご友人やお付き合いしていた方々がいらっしゃるのでしょうね。」

たくさんお友達がいらっしゃったようですが、同時に結構敵も多かったようですよと心で思いつつ、ギルバートはにっこり笑ったのだった。


ゼオンの父上の部屋に向かう。ドアをノックすると

「入れ」
と中から返事がある。

「失礼します。ギルバートです。父上、ただいま戻ってまいりました。」

「おかえり、ギルバート。学校は、まずまず馴染めてきているようだね。」

すでに報告書が行っているのかと思いながら、
「はい、とりあえず、早く同じ年齢の知人と同じ学年で学べるように頑張っています」

頷きながら

「まあ、無理のないようにしなさい。そろそろ、私は領地に戻ろうと思っている。このあいだのペリエの襲撃もあったことだし、領地をきちんと固めておかないとな。シャーロットはタウンハウスでこのまま過ごしてもらおうと思っている。医学部への入学のための勉強や教科書づくりを考えると王都の方が都合が良い。アーサー殿もいるからね。護衛としては安心だ」

アーサー兄上を護衛扱いとは。でも、姉上にとっては最強だ。

「すでに、普通の時期より1ヶ月は遅れている。気になるのは、ドルミカ王国だ。ギルバート、そなたが、私のあとを継ぐのか、王宮で仕事をするのかはまだ未知数だ。ただ、はっきりしていることは、ここから外交問題は、しばらく国内や領土の運営以上に注意が必要な状況にあるのは間違いない。心にとめておいてくれ。そして、アーサー殿がいるが、シャーロットを守れよ。」

「はい、姉上は必ず守ります。そして、父上のおっしゃったことを心に刻みます。」

「ふふふ、随分顔つきがしっかりしてきたな。姉に守られていた子供から、守る方になってきたな。貴族の子弟らしい身のこなしにもなってきた。最近になって私は思い出したのだよ。ケント子爵のことを。私より7年上に貴族学院に在籍されていた。まだ私は、入学して1、2年、そしてロバート ケント殿は、副会長をしていた。自分のセカンドネームと同じだなと印象に残っていた。なんとなくギルバート 、そなたを最初に見たときに見覚えがあると思ったのは、貴族学院でお父上を見ていたからだ。」

「はい、優秀だったと聞きました。数学のベクトル先生も同級生だったと話されていました」

「ブライアン ベクトルか。私がまだ在籍中に新卒の教師として赴任してきたな。そうか、巡り巡ってきているのだな。まあ、頑張りなさい。ただ、学院で学ぶのは、勉強だけではないからね」

「はい、頑張ります。一つ、伺っても?」
「何かね?」

「ベクトル先生ですが、父と同級生だったと話していただいたのですが、フリードおじさまのような親しさは感じられませんでした。もしかして、不仲だったのでしょうか?」

「さて? 7年も上の学年のことだから細かいことはわからないね。一度、イーズス伯に聞くと良いかもしれないな。話してくださるだろう」

「ありがとうございます。余計な質問をしてしまいました。では、失礼します」
ギルバートは退室する。

アリストは思い出す。ロバート ケント、生徒会でも副会長として務め、てっきり大学に行くか王宮で働くと思われていたのに、あっさりとケント領に戻ってしまった。そして、ブライアン ベクトル、フリード イーズス、ジェイド デンツとともに嵐の131回生と呼ばれていた。

将来有望と呼ばれていた面々だったが、今や活躍しているのはイーズス伯だけか。イーズス伯の娘と自分が結婚し、もう一人のロバートの子供達が我が子になるとは奇縁だなと想う。

まあ、そういう私の学年は、華の138回生と呼ばれていたからな。王太子殿下に私、側近の チャールズ オーウェン、第4騎士団長のアスコット、大学教授となったワラー。学生時代が懐かしい。



三日後、アリストはゼオンへと旅立ったのであった。

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