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第九話
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バーダサルトに綺麗な夕暮れの光が降り注ぐ時間、マオの部屋にはマオ、ラルズ、執事の3人がいた。マオは警戒心たっぷりの目でラルズを見る。その視線の強さにラルズは戸惑った。2人が見つめあっていると執事が口を開く。
「では早速、まずは中庭にて稽古の指導をお願いいたします。先程の説明の通りに。」
「分かってるよ。にしてもこんな子供にあんなトレーニングできんの?それも夜までって・・・。」
「僕を子供扱いするなよ!」
話を遮って急に突っかかってきたマオにラルズは驚く。
「なるほど確かに元気はいいな。マオ様。」
「ラルズさん、マオ様には敬語でお願いいたします。」
「・・・はいはい。すみませんねマオ様。」
「ふん!」
ラルズとマオは執事に連れられて中庭に着いた。中庭はかなり広く、奥の方には大きな木の箱が数個あり、執事から稽古用の殺傷力のない武器が入っていると教えられた。
「以前稽古の指導をしない冒険者が現れてから監視が強化されています。くれぐれもそういったことが無いようにお願いいたします。それからここは訓練のために魔力封印術式を敷いてはいないので魔術を使うことが可能ですよ。それでは。」
執事は中庭から立ち去ったので広い中庭には2人だけになった。中庭に来るまでの廊下でラルズは1冊の本のような稽古内容の書を手渡された。これに従って稽古させろということらしい。
「じゃあマオ様、今日は剣術ということなのでこれお持ちください。」とラルズは木の箱から木の剣を取り出して渡した。マオは以外にも素直に受け取る。ラルズはトレーニングメニューの剣術のページを開いた。
「剣の素振りを200回・・・本当にやれます?」
「ふん、何を驚いてるんだよ。いつものことだから。」
「そうなんですか?・・・まあ頑張ってください。」
マオは黙々と素振りを始めた。ブレの無いとても綺麗な素振りだった。
「上手ですね、素振り。」
「他の冒険者からみっちり教えられたんだ。当然だよ。」
「ちゃんと言うこと聞くんですね。」
「僕のことをなんだと思ってるんだ!ふん!邪魔するなら話しかけないでくれ!」
「すみませんね。」
ラルズは隣からただ素振りを見ていた。指導なんか要らないほど精錬されていたのでとにかく暇だった。しばらくすると素振りが終わった。
「えーっと・・・次は剣術の鍛錬及び剣術スキルの習得か。」
「何かスキル知ってるの?」
「知らない。だから剣術の鍛錬の方やりましょうか。」
「なんだよそれ!期待できないんだけど!剣術の指導とかできるの!?」
マオは適当さに不安を覚えるが「安心してくださいよ。」とラルズは言った。
「武器があろうが無かろうが戦いの基本は変わらないだろうし、それにどんな凄腕の剣士の剣にも当たらない自信はありますよ?」
「本当?じゃあ僕結構本気で行くよ!」
「いいですよ。」と余裕そうなラルズ。
「てやあああっ!」
マオは剣を素早くラルズに振るった。歳相応とは思えない早すぎる剣にラルズは驚くものの瞬時に行動速度上昇魔法を100回かけたので反応して避けることが出来る。100回という少なめの数値にしたのはマオの動きを見たいのに周りがゆっくりになりすぎて止まったように見えたら困るからだ。
マオは何回もラルズに剣を振るうが全く当たらない。しかしラルズも避けるのに精一杯だった。
100回重ねがけした行動速度上昇魔法で避けるのに精一杯なのには驚いた。ラルズが低級の補助魔法しか使わず反射神経も一般人並みなのもあるが、それでも結構なスピードなので10歳程度の子供がついてこれるとは思えなかったのだ。
うまく観察ができないと思ったのでさらに100回の行動速度上昇魔法をかける。するとマオがちょうどよく遅く見える程度のスピードになった。剣を数回避けた辺りでマオが速度の変化に気付く。
「な、なんだ!さらに速くなった!?」
「よく気付きましたね。」
その言葉はマオにとって早送りになって聞こえるので何言ってるか分からなかった。
「え?なに?」
「よく気付きましたねって言ったんですよ。」
「だから何言ってるの!?速くて分かんないよ!」
ラルズは行動速度上昇魔法を解除した。
「ああすみませんね。気付かなくて。」
「ねえ、どうやったらそんなに速く動けるの?」とマオが興味津々に聞く。
「どうやったらって言われましてもねー。ただ補助魔法をちょいと自分にかけてるだけですよ。」
「僕にもできるようになるかな?」
「うーん・・・。難しいと思いますよ?」とラルズはお茶を濁した。
「そんなことより今は剣術の訓練ですよ。と言っても教えること無いくらい上手いけど。大人にも勝てるんじゃないですか?」
「そ、そんなことないけど・・・。」とマオが目を逸らした。
「あれ、もしかして褒められるの苦手ですか?」
「うるさい!訓練するんだろ!」
「はいはい。」とラルズは再度行動速度上昇魔法をかけた。
その後何時間か訓練は続いた。時折ラルズがマオの隙を指摘しながら訓練していた。言うことを素直に熱心にマオは聞くのでとてもやりやすかったとラルズは感じた。夕食の時間ということにも執事が来るまで気付かなかったくらいだ。
夕食は親子揃って親子だけで食べるらしくラルズは使用人室で食事を振る舞われた。マオとの訓練を見ていたのか使用人たちからの好感は高いようでえらく気を使われた。ラルズがマオに振り回されて辛い思いをしないかが心配しているらしい。
「今のところ振り回されてないけどな。」とラルズが使用人2人に言う。
「これからですよ、これから。」
「ねー。教育はちゃんと受けてくださるんだけど・・・。」
「外のことになると言うことをお聞きにならなくなって・・・。困ったものですわ。」
「なるほどな。」
ラルズは飯を食べ終わるとマオの部屋に戻って火の灯ったランタンを置き、その火をマオの部屋の他の照明にも移した。たくさんの遊び道具が置かれただだっ広い部屋でマオひとりでは手に余りそうだ。
まだマオは戻って来なさそうだったので床の遊び道具をおもちゃ用だと思う空の棚に片付ける。片付け終わってもまだ戻ってこないので、パッと目についたふかふかそうな大きいベッドに寝転がる。予想以上にふかふかで幸せな気持ちに包まれた。あまりの気持ちよさにラルズは足をばたつかせる。
「何してるんだよ・・・。」と部屋のドアの方からマオの声が聞こえた。
「ああマオ様。いいベッドですねこれ。」
「別にいいけどさあ・・・。」
「そう?てっきり『どけ!』って言われると思ったが。」
「だから僕をなんだと思ってるんだよ!」
マオは片付けられたおもちゃ類に目もくれず本棚に直行してどの本を読もうか悩んでいた。子供らしくない行動にラルズは違和感を覚える。
「本読むんですか?」とラルズはベッドから立ち上がってマオに近づいた。
「うん。」
「もうちょっと子供っぽいことしましょうよ。例えばこのおもちゃとか面白そうじゃん?」と棚からひとつのおもちゃを取り出す。
「ふん!悪かったね子どもっぽくなくて!」
「そうは言ってないですよ。」
もっと子供らしくならないかと悩んだラルズはある閃きをした。
「そうだマオ様。俺がちょっと面白い手品でも見せてあげましょう。」
「手品って?」
「魔法を使わないで魔法のようなことをするんですよ。」
「なにそれ!?」とマオが食いついた。外のことを知らないようだから好奇心を刺激してやろうというラルズの企みは成功した。
「この城には魔力封印術式があるから魔法は使えないのは分かってますね?」
「うん。」
魔力封印術式とは体内や杖等から外に放出された魔力を放出した瞬間に打ち消す術式のことで、安全のため中庭と厨房以外の城中に敷かれている術式だ。
基本的に魔法を使うには発生させたい地点に魔力を送る必要があり、1度体内等から魔力を放出しないと魔法は発生しないのでこの術式さえあればほとんどの魔法を看破できる。
だがラルズの補助魔法などの体内で発生した魔力を体内で使用する魔法は問題なく使えてしまう。これに気付いたラルズはこれを隠して利用してやろうと考えた。
「はい、俺何も持ってませんね?」
「うん。」
ラルズはある方向に手を伸ばした。
「はいっ!」
そう言うとラルズの手にひとつのおもちゃが握られていた。行動速度上昇魔法を利用しただけなのだがマオが気付くはずがない。純粋な手品だと信じきっていた。
「わあああっ!どうやったの!?」
マオは今までと打って変わってとても楽しそうだった。つられてラルズもいい気になって笑顔になる。
「早脱ぎ!はいっ!」言うとラルズはパンツ一丁になった。
「すごいすごい!」
「早着替え!はいっ!」
「うわあああ~っ!他には!?」
「そうですね・・・いきますよ!」
唐突にマオの部屋の照明がフッと消える。マオが「な、なに!?」と戸惑うと数秒後一瞬で照明に火が灯った。部屋の中心にはラルズがドヤ顔で立っていた。
「わあああ~!すごい!」とマオが拍手を贈った。
「だろ?やっと子供らしい顔が見れて良かったですよ。」
そう言われハッとしたマオは「べ、別に!」と照れを隠すように顔を逸らした。少し間を置いてラルズの方を向き直す。
「ねえ。」
「ん?」
「その手品で僕のこと外に連れてってくれる?」
「あー・・・それは無理ですね。マオ様のお父様の言いつけなので。」
「・・・ふん!結局お前もそれか!」
いきなり機嫌が悪くなって振り返ったマオ。ラルズは「マオ様?」と戸惑う。
「どうしたんですかマオ様。」
「うるさい!もう出てけ!」
「急になんですか?手品ならまだまだ・・・。」
「僕はもう寝るんだ!」とマオはベッドにダイブして毛布にくるまった。
何度呼びかけても反応しないか「うるさい!」と言うだけになったのでラルズはとうとう諦めて部屋から出ていく。だがラルズはマオのことを言われているほど悪い子には感じなかった。
しかし機嫌が悪いとクエストを失敗させるらしいのでどうしたものかとラルズは悩んだ。
「では早速、まずは中庭にて稽古の指導をお願いいたします。先程の説明の通りに。」
「分かってるよ。にしてもこんな子供にあんなトレーニングできんの?それも夜までって・・・。」
「僕を子供扱いするなよ!」
話を遮って急に突っかかってきたマオにラルズは驚く。
「なるほど確かに元気はいいな。マオ様。」
「ラルズさん、マオ様には敬語でお願いいたします。」
「・・・はいはい。すみませんねマオ様。」
「ふん!」
ラルズとマオは執事に連れられて中庭に着いた。中庭はかなり広く、奥の方には大きな木の箱が数個あり、執事から稽古用の殺傷力のない武器が入っていると教えられた。
「以前稽古の指導をしない冒険者が現れてから監視が強化されています。くれぐれもそういったことが無いようにお願いいたします。それからここは訓練のために魔力封印術式を敷いてはいないので魔術を使うことが可能ですよ。それでは。」
執事は中庭から立ち去ったので広い中庭には2人だけになった。中庭に来るまでの廊下でラルズは1冊の本のような稽古内容の書を手渡された。これに従って稽古させろということらしい。
「じゃあマオ様、今日は剣術ということなのでこれお持ちください。」とラルズは木の箱から木の剣を取り出して渡した。マオは以外にも素直に受け取る。ラルズはトレーニングメニューの剣術のページを開いた。
「剣の素振りを200回・・・本当にやれます?」
「ふん、何を驚いてるんだよ。いつものことだから。」
「そうなんですか?・・・まあ頑張ってください。」
マオは黙々と素振りを始めた。ブレの無いとても綺麗な素振りだった。
「上手ですね、素振り。」
「他の冒険者からみっちり教えられたんだ。当然だよ。」
「ちゃんと言うこと聞くんですね。」
「僕のことをなんだと思ってるんだ!ふん!邪魔するなら話しかけないでくれ!」
「すみませんね。」
ラルズは隣からただ素振りを見ていた。指導なんか要らないほど精錬されていたのでとにかく暇だった。しばらくすると素振りが終わった。
「えーっと・・・次は剣術の鍛錬及び剣術スキルの習得か。」
「何かスキル知ってるの?」
「知らない。だから剣術の鍛錬の方やりましょうか。」
「なんだよそれ!期待できないんだけど!剣術の指導とかできるの!?」
マオは適当さに不安を覚えるが「安心してくださいよ。」とラルズは言った。
「武器があろうが無かろうが戦いの基本は変わらないだろうし、それにどんな凄腕の剣士の剣にも当たらない自信はありますよ?」
「本当?じゃあ僕結構本気で行くよ!」
「いいですよ。」と余裕そうなラルズ。
「てやあああっ!」
マオは剣を素早くラルズに振るった。歳相応とは思えない早すぎる剣にラルズは驚くものの瞬時に行動速度上昇魔法を100回かけたので反応して避けることが出来る。100回という少なめの数値にしたのはマオの動きを見たいのに周りがゆっくりになりすぎて止まったように見えたら困るからだ。
マオは何回もラルズに剣を振るうが全く当たらない。しかしラルズも避けるのに精一杯だった。
100回重ねがけした行動速度上昇魔法で避けるのに精一杯なのには驚いた。ラルズが低級の補助魔法しか使わず反射神経も一般人並みなのもあるが、それでも結構なスピードなので10歳程度の子供がついてこれるとは思えなかったのだ。
うまく観察ができないと思ったのでさらに100回の行動速度上昇魔法をかける。するとマオがちょうどよく遅く見える程度のスピードになった。剣を数回避けた辺りでマオが速度の変化に気付く。
「な、なんだ!さらに速くなった!?」
「よく気付きましたね。」
その言葉はマオにとって早送りになって聞こえるので何言ってるか分からなかった。
「え?なに?」
「よく気付きましたねって言ったんですよ。」
「だから何言ってるの!?速くて分かんないよ!」
ラルズは行動速度上昇魔法を解除した。
「ああすみませんね。気付かなくて。」
「ねえ、どうやったらそんなに速く動けるの?」とマオが興味津々に聞く。
「どうやったらって言われましてもねー。ただ補助魔法をちょいと自分にかけてるだけですよ。」
「僕にもできるようになるかな?」
「うーん・・・。難しいと思いますよ?」とラルズはお茶を濁した。
「そんなことより今は剣術の訓練ですよ。と言っても教えること無いくらい上手いけど。大人にも勝てるんじゃないですか?」
「そ、そんなことないけど・・・。」とマオが目を逸らした。
「あれ、もしかして褒められるの苦手ですか?」
「うるさい!訓練するんだろ!」
「はいはい。」とラルズは再度行動速度上昇魔法をかけた。
その後何時間か訓練は続いた。時折ラルズがマオの隙を指摘しながら訓練していた。言うことを素直に熱心にマオは聞くのでとてもやりやすかったとラルズは感じた。夕食の時間ということにも執事が来るまで気付かなかったくらいだ。
夕食は親子揃って親子だけで食べるらしくラルズは使用人室で食事を振る舞われた。マオとの訓練を見ていたのか使用人たちからの好感は高いようでえらく気を使われた。ラルズがマオに振り回されて辛い思いをしないかが心配しているらしい。
「今のところ振り回されてないけどな。」とラルズが使用人2人に言う。
「これからですよ、これから。」
「ねー。教育はちゃんと受けてくださるんだけど・・・。」
「外のことになると言うことをお聞きにならなくなって・・・。困ったものですわ。」
「なるほどな。」
ラルズは飯を食べ終わるとマオの部屋に戻って火の灯ったランタンを置き、その火をマオの部屋の他の照明にも移した。たくさんの遊び道具が置かれただだっ広い部屋でマオひとりでは手に余りそうだ。
まだマオは戻って来なさそうだったので床の遊び道具をおもちゃ用だと思う空の棚に片付ける。片付け終わってもまだ戻ってこないので、パッと目についたふかふかそうな大きいベッドに寝転がる。予想以上にふかふかで幸せな気持ちに包まれた。あまりの気持ちよさにラルズは足をばたつかせる。
「何してるんだよ・・・。」と部屋のドアの方からマオの声が聞こえた。
「ああマオ様。いいベッドですねこれ。」
「別にいいけどさあ・・・。」
「そう?てっきり『どけ!』って言われると思ったが。」
「だから僕をなんだと思ってるんだよ!」
マオは片付けられたおもちゃ類に目もくれず本棚に直行してどの本を読もうか悩んでいた。子供らしくない行動にラルズは違和感を覚える。
「本読むんですか?」とラルズはベッドから立ち上がってマオに近づいた。
「うん。」
「もうちょっと子供っぽいことしましょうよ。例えばこのおもちゃとか面白そうじゃん?」と棚からひとつのおもちゃを取り出す。
「ふん!悪かったね子どもっぽくなくて!」
「そうは言ってないですよ。」
もっと子供らしくならないかと悩んだラルズはある閃きをした。
「そうだマオ様。俺がちょっと面白い手品でも見せてあげましょう。」
「手品って?」
「魔法を使わないで魔法のようなことをするんですよ。」
「なにそれ!?」とマオが食いついた。外のことを知らないようだから好奇心を刺激してやろうというラルズの企みは成功した。
「この城には魔力封印術式があるから魔法は使えないのは分かってますね?」
「うん。」
魔力封印術式とは体内や杖等から外に放出された魔力を放出した瞬間に打ち消す術式のことで、安全のため中庭と厨房以外の城中に敷かれている術式だ。
基本的に魔法を使うには発生させたい地点に魔力を送る必要があり、1度体内等から魔力を放出しないと魔法は発生しないのでこの術式さえあればほとんどの魔法を看破できる。
だがラルズの補助魔法などの体内で発生した魔力を体内で使用する魔法は問題なく使えてしまう。これに気付いたラルズはこれを隠して利用してやろうと考えた。
「はい、俺何も持ってませんね?」
「うん。」
ラルズはある方向に手を伸ばした。
「はいっ!」
そう言うとラルズの手にひとつのおもちゃが握られていた。行動速度上昇魔法を利用しただけなのだがマオが気付くはずがない。純粋な手品だと信じきっていた。
「わあああっ!どうやったの!?」
マオは今までと打って変わってとても楽しそうだった。つられてラルズもいい気になって笑顔になる。
「早脱ぎ!はいっ!」言うとラルズはパンツ一丁になった。
「すごいすごい!」
「早着替え!はいっ!」
「うわあああ~っ!他には!?」
「そうですね・・・いきますよ!」
唐突にマオの部屋の照明がフッと消える。マオが「な、なに!?」と戸惑うと数秒後一瞬で照明に火が灯った。部屋の中心にはラルズがドヤ顔で立っていた。
「わあああ~!すごい!」とマオが拍手を贈った。
「だろ?やっと子供らしい顔が見れて良かったですよ。」
そう言われハッとしたマオは「べ、別に!」と照れを隠すように顔を逸らした。少し間を置いてラルズの方を向き直す。
「ねえ。」
「ん?」
「その手品で僕のこと外に連れてってくれる?」
「あー・・・それは無理ですね。マオ様のお父様の言いつけなので。」
「・・・ふん!結局お前もそれか!」
いきなり機嫌が悪くなって振り返ったマオ。ラルズは「マオ様?」と戸惑う。
「どうしたんですかマオ様。」
「うるさい!もう出てけ!」
「急になんですか?手品ならまだまだ・・・。」
「僕はもう寝るんだ!」とマオはベッドにダイブして毛布にくるまった。
何度呼びかけても反応しないか「うるさい!」と言うだけになったのでラルズはとうとう諦めて部屋から出ていく。だがラルズはマオのことを言われているほど悪い子には感じなかった。
しかし機嫌が悪いとクエストを失敗させるらしいのでどうしたものかとラルズは悩んだ。
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