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第八話
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1日寝て骨の痛みが激痛から苦痛になって多少良くなったラルズは朝1番にギルド施設のクエスト掲示板の前にいた。朝の方が静かでクエストも探しやすいからだ。ドラゴンの件で無一文になってしまったので昨日から何も食べておらず急いで金を作りたかった。
だがラルズの冒険者レベルで受けられるクエストは探すのも一苦労。ラルズの冒険者レベルはたった13で、やることが許されるクエストはものすごく少なくそのクエストも簡単なものばかりなので報酬も少ない。
ラルズは駆け出し冒険者なのだが、他の駆け出しの冒険者は冒険者レベルがそれなりにある人のパーティに入るのでラルズみたいにクエストに困ることは無いだろう。
クエスト掲示板をじっくり見ているとひとつの冒険者レベルゼロのクエストを見つけた。それだけで嬉しいが報酬がとんでもないものだった
「えっ!?報酬25000エムで前金3000エム!?しかも獲得レベル80ってなんだこりゃ!?」
ラルズが最初にやった熊討伐のクエストは2200エム。これでも冒険者レベルゼロで受けられるクエストの報酬としては高い方なのだがこのクエストはなんと25000も貰えるという。そして獲得レベルとはクエストを達成したら冒険者レベルに足される数値のことで、93ともなれば底辺の上の方になれる。
ちなみに、ライオネルの冒険者レベルは1576でダンドルの個人的な冒険者レベルは1655もある。ここまで高いとクエスト探しに苦労しないくらいどんなクエストも受けられる。
(25000エムもあったら1日1000エムでも25日だぞ!1日食えるくらいのクエストで良かったんだがこれなら家のものを買い揃えられる!やらない手はない!)
ラルズは貼られていたクエスト用紙を剥ぎ取るように取ると受付嬢のアネリの元へ直行して紙を叩きつけるように見せた。
「これやらせてもらおう!」
「ちょっとなんすか藪から棒に。気でも狂ったんすか・・・えっ!?報酬25000エムに前金3000エム!?なのに冒険者レベルゼロクエストで食事付き!?なんすかこれ!?」
「だろ?俺も目を疑ったんだが。」
「なっなんかの間違いじゃあ・・・。」
とアネリが目を丸くすると隣の受付嬢が2人に声をかけた。
「間違いじゃないわよ。」
「えっ?」とアネリ。
「そのクエスト、バーダサルト町の貴族の息子のお守りでしょう?」
2人はクエストの内容を見る。そこには確かにそう書かれていた。バーダサルト町にてバーダサルト家の一人息子、マオの教育係兼遊び相手という内容で3日間の住み込みのようだった。
「本当だ。」
「バーダサルト町って隣町っすよね。なんで隣町のクエストがここに?向こうのギルド施設はどうしたんすか。」
「一言で言うと過酷なのよ。バーダサルトにいる友達から聞いたんだけどマオって子はとにかく手のかかる子で城にいる人達はてんてこ舞い。しかもわざと怪我をして親に見せてクエストを失敗させるらしいわ。」
「クソガキっすね~。」
「あんたが言えたことじゃないだろ。」
「多分だけどバーダサルトで誰もやらなくなってこの街に依頼した感じじゃないかしら。冒険者レベルゼロっていうのもその名残りね。それでもやるのかしら?」
「やる。」とラルズは即答する。
「早っ!もうちょっと考えましょうよ。」
「こっちは金に困ってんだ。飛びつかない選択肢はない。」
「分かりましたよ。」
アンリはいつもの通りの手続きを済ませた。そして諸々のものを渡す。
「クエスト用紙とこちら前金っす。」と3000エムが入った袋を渡す。ラルズは紙と金を受け取りカバンにしまった。
「ちなみにだけど、今から行ってもバーダサルトに着く頃には昼過ぎから夕方くらいになってるわ。色々と準備するのよ。」
「分かった。」
ラルズは足取り軽くギルド施設を後にした。
「先輩、バーダサルトってどんな街なんすか?」
「そうね・・・特にここと変わらないわ。ここより少し広いのと、あと大きなお城があるわね。友達宛の手紙を渡しておくように頼んでおいた方がよかったかしら。」
「それにしても運が良かったっすね、ラルズさん。さっき貼られたばかりのあのクエストを1番に取れて。」
「分からないわよ?受けられなかった方が運が良かったりしてね。」
ラルズは前金で食堂の飯を食べた後でバーダサルト行きの馬車に行った。1200エムと金がかかるが前金があるので安心。帰りも同じ金がかかると考えると前金はこの移動費のためなのだろうと思った。
3台の馬車がバーダサルトへ向かうようで、そのうち2台は荷物を運ぶための馬車で1台は人を乗せるための馬車だ。
出発まで時間があったので準備をしてから馬車に乗り込み、ゆっくりと馬車が動きだす。人用の馬車の中は5人は入れそうな構造をしていたが中にはラルズしかいなかった。カバンを置くと馬車の操縦士が話しかけた。
「お客さん、バーダサルトへ行く気で?」
「ああ。クエストがあるから。」
「もしかしてマオ様の子守り?バーダサルト家のご子息の。」
「そうだけどよく分かったな。」
「俺たちは交代制でやってるんだがクエストの報酬金は前のやつが運んできたんで。多分今頃寝てるかな。あのクエストはキツイよ?今のうちに休んでおきな。」
「さっきも忠告されたけどそんなにキツイのか?たかが子供の相手するだけじゃないの。」と不思議そうに言った。
「何がキツイって機嫌がいつも悪いことだね。それにあの手この手で報酬を受け取らなくさせる。3日の苦労が水の泡になるのさ。前金は返さなくていいのが唯一の救いかね。俺の冒険者の友達も何人か被害に遭って、街じゃ誰もあのクエストを受けなくなった。」
「なるほどな・・・。」
「お客さんがあんちゃんだけでよかったな。バーダサルトまでゆっくりできる。朝だからいつも人はいないんだけどたまに別のお客が2人いるもんでね。」
3台の馬車はガンガルト町の東門から出ていく。次第に街が遠くに小さくなっていき見えなくなった。
ラルズは外の風景を見る。馬の足音と共に馬車に揺られながら緑豊かな自然を見るのは心が安らぐ気がして心地よかったがしばらくすると飽きてくる。これが夕方頃まで続くと思うと退屈で嫌気がさした。
だが何もすることがないラルズ。本を借りて持ってくればよかったと後悔しながら外の景色を眺めていると次第に眠たくなってきた。
馬車はバーダサルト町に着いた。操縦士がラルズが眠っていることに気付くと身体を揺すって起こす。
「お客さん、お客さん。着いたよ。」
「ん・・・?ふああ・・・。」
ラルズは眠そうにカバンを持って外へ出る。外は昼過ぎだが若干日が傾き始めていた時間だ。
「寝ちゃった。・・・持ち運び極厚ステーキ、今食べとくか・・・。」
ラルズは寝ぼけながらカバンから持ち運び用極厚ステーキを取り出して食べる。
「お客さんすごいもの持ってるな。ステーキを持ち運べるなんていい時代だね。」
「だろ?本当は昼に食いたかったけど寝ちゃったからな。」
寝ぼけつつステーキを食べながらバーダサルト街を歩く。ふとバーダサルトの家の場所を知らないことを思い出した。
(あ、やべ。バーダサルトの家までの道聞けばよかった。まあいいか。街の人に聞けば知ってるだろ。)
ラルズはステーキを食べ終わると目に付いた3人の冒険者パーティらしき人に話しかけた。
「ちょっといい?」
「ああ、どうした?」とリーダーっぽい男が応える。
「俺この街初めてでさ、バーダサルト家ってどこだか知ってる?」と言いながらクエスト用紙を見せた。
「あなたこのクエストやるつもりなの!?」とパーティの女の人が言った。
「やめといた方がいいよ。マオってやつはほんと・・・。」
「こら!マオ様って言わないと!それに誰が聞いてるか分からないよ!」
「でも・・・。」
「まあまあ落ち着いて。」とパーティの中のリーダーっぽい男が落ち着かせた。そしてラルズに顔を向き直す。
「僕達もそのクエストをやって3日間を無駄にされた被害者さ。一応忠告しておくよ。それでもやるって言うならあの家に行くといい。」
男がとある方向に指を差す。その方には華やかなお城があった。
「兵士にクエスト用紙を見せれば分かってもらえるはずさ。」
「分かった。しかしマオ・・・様ってやっぱり嫌われてたりするのか?」
「大きな声で言えないがその通りさ。君も頑張るんだよ。」
「おうありがと。」
ラルズは一抹の不安を抱えてバーダサルトの城まで歩いていった。
(俺って子守りするために冒険者になったんだっけな・・・。)ということを思いながら。
城の中のとある一室で、3人の使用人と10歳くらいの男の子がいた。使用人たちは男の子に手を焼いている様子だった。
「マオ様!おもちゃを投げないでください!」
「ふん!面白くない!」
「そうは言われましても・・・。」
「ねえ!なんで外出ちゃダメなの!?いつもいつも勉強!外に出させてくれない!」
「ご主人様の意向なんです。全てはマオ様が一流の貴族になるため。ご理解ください。」
「そればっかり!他の子は外で遊んでるのにさ!こんな家産まれなきゃよかった!」
「マオ様!それは言ってはいけません!ご主人様が聞いたら悲しまれますよ!」
「ふん!」
そうマオの部屋で騒いでいると扉が開いて1人の男性の執事が入ってきた。
「マオ様。教育係の冒険者が到着なされました。」
「また?どうせ同じことしか言わないんだ!やめてよもう!」
「決断は私ではなくご主人様でございます。では、失礼します。」
「ふん!」
執事はお辞儀をして扉を閉めた。不機嫌そうなマオに使用人たちは心配する。
「ま、マオ様・・・?」
「お前らも出てけ!」
「はい・・・。」
慌てるようにそそくさと出ていく3人。マオ用の大きな子供部屋にはマオが1人だけになった。
「なんだよみんな!ふん!僕の気持ちなんか聞いてくれない・・・。」
マオは自分には大きすぎる自分用のベッドに腰掛けた。
「じゃあ僕だって同じことしてやるんだ!冒険者はクエストを達成してお金が欲しい人間だ。その気持ちを踏みにじってやる・・・!」
するとがチャリとマオの部屋の扉が開いた。さっきの執事がこの城に見合わない冒険者、連れてきた。
「こちらマオ様の教育係兼遊び相手の冒険者、ラルズでございます。」
「よろしく、マオ様。」
「ふん!」
ラルズはマオの態度を一目見て、確かに不機嫌で手のかかりそうな子だと悟った。
だがラルズの冒険者レベルで受けられるクエストは探すのも一苦労。ラルズの冒険者レベルはたった13で、やることが許されるクエストはものすごく少なくそのクエストも簡単なものばかりなので報酬も少ない。
ラルズは駆け出し冒険者なのだが、他の駆け出しの冒険者は冒険者レベルがそれなりにある人のパーティに入るのでラルズみたいにクエストに困ることは無いだろう。
クエスト掲示板をじっくり見ているとひとつの冒険者レベルゼロのクエストを見つけた。それだけで嬉しいが報酬がとんでもないものだった
「えっ!?報酬25000エムで前金3000エム!?しかも獲得レベル80ってなんだこりゃ!?」
ラルズが最初にやった熊討伐のクエストは2200エム。これでも冒険者レベルゼロで受けられるクエストの報酬としては高い方なのだがこのクエストはなんと25000も貰えるという。そして獲得レベルとはクエストを達成したら冒険者レベルに足される数値のことで、93ともなれば底辺の上の方になれる。
ちなみに、ライオネルの冒険者レベルは1576でダンドルの個人的な冒険者レベルは1655もある。ここまで高いとクエスト探しに苦労しないくらいどんなクエストも受けられる。
(25000エムもあったら1日1000エムでも25日だぞ!1日食えるくらいのクエストで良かったんだがこれなら家のものを買い揃えられる!やらない手はない!)
ラルズは貼られていたクエスト用紙を剥ぎ取るように取ると受付嬢のアネリの元へ直行して紙を叩きつけるように見せた。
「これやらせてもらおう!」
「ちょっとなんすか藪から棒に。気でも狂ったんすか・・・えっ!?報酬25000エムに前金3000エム!?なのに冒険者レベルゼロクエストで食事付き!?なんすかこれ!?」
「だろ?俺も目を疑ったんだが。」
「なっなんかの間違いじゃあ・・・。」
とアネリが目を丸くすると隣の受付嬢が2人に声をかけた。
「間違いじゃないわよ。」
「えっ?」とアネリ。
「そのクエスト、バーダサルト町の貴族の息子のお守りでしょう?」
2人はクエストの内容を見る。そこには確かにそう書かれていた。バーダサルト町にてバーダサルト家の一人息子、マオの教育係兼遊び相手という内容で3日間の住み込みのようだった。
「本当だ。」
「バーダサルト町って隣町っすよね。なんで隣町のクエストがここに?向こうのギルド施設はどうしたんすか。」
「一言で言うと過酷なのよ。バーダサルトにいる友達から聞いたんだけどマオって子はとにかく手のかかる子で城にいる人達はてんてこ舞い。しかもわざと怪我をして親に見せてクエストを失敗させるらしいわ。」
「クソガキっすね~。」
「あんたが言えたことじゃないだろ。」
「多分だけどバーダサルトで誰もやらなくなってこの街に依頼した感じじゃないかしら。冒険者レベルゼロっていうのもその名残りね。それでもやるのかしら?」
「やる。」とラルズは即答する。
「早っ!もうちょっと考えましょうよ。」
「こっちは金に困ってんだ。飛びつかない選択肢はない。」
「分かりましたよ。」
アンリはいつもの通りの手続きを済ませた。そして諸々のものを渡す。
「クエスト用紙とこちら前金っす。」と3000エムが入った袋を渡す。ラルズは紙と金を受け取りカバンにしまった。
「ちなみにだけど、今から行ってもバーダサルトに着く頃には昼過ぎから夕方くらいになってるわ。色々と準備するのよ。」
「分かった。」
ラルズは足取り軽くギルド施設を後にした。
「先輩、バーダサルトってどんな街なんすか?」
「そうね・・・特にここと変わらないわ。ここより少し広いのと、あと大きなお城があるわね。友達宛の手紙を渡しておくように頼んでおいた方がよかったかしら。」
「それにしても運が良かったっすね、ラルズさん。さっき貼られたばかりのあのクエストを1番に取れて。」
「分からないわよ?受けられなかった方が運が良かったりしてね。」
ラルズは前金で食堂の飯を食べた後でバーダサルト行きの馬車に行った。1200エムと金がかかるが前金があるので安心。帰りも同じ金がかかると考えると前金はこの移動費のためなのだろうと思った。
3台の馬車がバーダサルトへ向かうようで、そのうち2台は荷物を運ぶための馬車で1台は人を乗せるための馬車だ。
出発まで時間があったので準備をしてから馬車に乗り込み、ゆっくりと馬車が動きだす。人用の馬車の中は5人は入れそうな構造をしていたが中にはラルズしかいなかった。カバンを置くと馬車の操縦士が話しかけた。
「お客さん、バーダサルトへ行く気で?」
「ああ。クエストがあるから。」
「もしかしてマオ様の子守り?バーダサルト家のご子息の。」
「そうだけどよく分かったな。」
「俺たちは交代制でやってるんだがクエストの報酬金は前のやつが運んできたんで。多分今頃寝てるかな。あのクエストはキツイよ?今のうちに休んでおきな。」
「さっきも忠告されたけどそんなにキツイのか?たかが子供の相手するだけじゃないの。」と不思議そうに言った。
「何がキツイって機嫌がいつも悪いことだね。それにあの手この手で報酬を受け取らなくさせる。3日の苦労が水の泡になるのさ。前金は返さなくていいのが唯一の救いかね。俺の冒険者の友達も何人か被害に遭って、街じゃ誰もあのクエストを受けなくなった。」
「なるほどな・・・。」
「お客さんがあんちゃんだけでよかったな。バーダサルトまでゆっくりできる。朝だからいつも人はいないんだけどたまに別のお客が2人いるもんでね。」
3台の馬車はガンガルト町の東門から出ていく。次第に街が遠くに小さくなっていき見えなくなった。
ラルズは外の風景を見る。馬の足音と共に馬車に揺られながら緑豊かな自然を見るのは心が安らぐ気がして心地よかったがしばらくすると飽きてくる。これが夕方頃まで続くと思うと退屈で嫌気がさした。
だが何もすることがないラルズ。本を借りて持ってくればよかったと後悔しながら外の景色を眺めていると次第に眠たくなってきた。
馬車はバーダサルト町に着いた。操縦士がラルズが眠っていることに気付くと身体を揺すって起こす。
「お客さん、お客さん。着いたよ。」
「ん・・・?ふああ・・・。」
ラルズは眠そうにカバンを持って外へ出る。外は昼過ぎだが若干日が傾き始めていた時間だ。
「寝ちゃった。・・・持ち運び極厚ステーキ、今食べとくか・・・。」
ラルズは寝ぼけながらカバンから持ち運び用極厚ステーキを取り出して食べる。
「お客さんすごいもの持ってるな。ステーキを持ち運べるなんていい時代だね。」
「だろ?本当は昼に食いたかったけど寝ちゃったからな。」
寝ぼけつつステーキを食べながらバーダサルト街を歩く。ふとバーダサルトの家の場所を知らないことを思い出した。
(あ、やべ。バーダサルトの家までの道聞けばよかった。まあいいか。街の人に聞けば知ってるだろ。)
ラルズはステーキを食べ終わると目に付いた3人の冒険者パーティらしき人に話しかけた。
「ちょっといい?」
「ああ、どうした?」とリーダーっぽい男が応える。
「俺この街初めてでさ、バーダサルト家ってどこだか知ってる?」と言いながらクエスト用紙を見せた。
「あなたこのクエストやるつもりなの!?」とパーティの女の人が言った。
「やめといた方がいいよ。マオってやつはほんと・・・。」
「こら!マオ様って言わないと!それに誰が聞いてるか分からないよ!」
「でも・・・。」
「まあまあ落ち着いて。」とパーティの中のリーダーっぽい男が落ち着かせた。そしてラルズに顔を向き直す。
「僕達もそのクエストをやって3日間を無駄にされた被害者さ。一応忠告しておくよ。それでもやるって言うならあの家に行くといい。」
男がとある方向に指を差す。その方には華やかなお城があった。
「兵士にクエスト用紙を見せれば分かってもらえるはずさ。」
「分かった。しかしマオ・・・様ってやっぱり嫌われてたりするのか?」
「大きな声で言えないがその通りさ。君も頑張るんだよ。」
「おうありがと。」
ラルズは一抹の不安を抱えてバーダサルトの城まで歩いていった。
(俺って子守りするために冒険者になったんだっけな・・・。)ということを思いながら。
城の中のとある一室で、3人の使用人と10歳くらいの男の子がいた。使用人たちは男の子に手を焼いている様子だった。
「マオ様!おもちゃを投げないでください!」
「ふん!面白くない!」
「そうは言われましても・・・。」
「ねえ!なんで外出ちゃダメなの!?いつもいつも勉強!外に出させてくれない!」
「ご主人様の意向なんです。全てはマオ様が一流の貴族になるため。ご理解ください。」
「そればっかり!他の子は外で遊んでるのにさ!こんな家産まれなきゃよかった!」
「マオ様!それは言ってはいけません!ご主人様が聞いたら悲しまれますよ!」
「ふん!」
そうマオの部屋で騒いでいると扉が開いて1人の男性の執事が入ってきた。
「マオ様。教育係の冒険者が到着なされました。」
「また?どうせ同じことしか言わないんだ!やめてよもう!」
「決断は私ではなくご主人様でございます。では、失礼します。」
「ふん!」
執事はお辞儀をして扉を閉めた。不機嫌そうなマオに使用人たちは心配する。
「ま、マオ様・・・?」
「お前らも出てけ!」
「はい・・・。」
慌てるようにそそくさと出ていく3人。マオ用の大きな子供部屋にはマオが1人だけになった。
「なんだよみんな!ふん!僕の気持ちなんか聞いてくれない・・・。」
マオは自分には大きすぎる自分用のベッドに腰掛けた。
「じゃあ僕だって同じことしてやるんだ!冒険者はクエストを達成してお金が欲しい人間だ。その気持ちを踏みにじってやる・・・!」
するとがチャリとマオの部屋の扉が開いた。さっきの執事がこの城に見合わない冒険者、連れてきた。
「こちらマオ様の教育係兼遊び相手の冒険者、ラルズでございます。」
「よろしく、マオ様。」
「ふん!」
ラルズはマオの態度を一目見て、確かに不機嫌で手のかかりそうな子だと悟った。
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