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第七話
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いつものようにラルズがギルド施設で掲示板を見ていると外から勢いよくドアが開いて1人の男が慌てたように出てきた。。
「みんな!ドラゴンが見えるぞ!」
その声がギルド中に響くとギルド施設中が疑いと興奮の声で騒がしくなり始め、中にいた人達はぞろぞろと外に行く。なんと受付嬢達までもが興味本意で外に行った。
「うるさいな・・・。上で見るか。」
と上の階の窓から見ようと階段を登る。いつもラルズが付き合っている受付嬢はラルズの姿を見て「私も!」とついて行った。
ギルド施設の4階のとある部屋の窓から空を見上げる2人。そこには確かに街の近くで飛ぶ黄色のドラゴンが見えた。
「本当だ。珍しいな。」
「貴重っすね~。でもなんでこんなところ飛んでんすかね?」
ラルズは視力上昇魔法を身体にかけてじっくり見る。するとドラゴンの身体に異常があることに気付いた。
「あいつ、もうすぐ落ちるな。」
「えっ!?どっどうしてですか!?」
「右の翼が怪我してる。あと・・・具合が悪いのかお腹空いてるのか顔色も優れてないな。」
「そんな・・・。はは、適当言わないでくださいよラルズさん。性格悪いっすよ?」と馬鹿にしたように言う。
するとドラゴンの様子がおかしくなりフラフラと飛ぶようになってだんだん高度が落ちていってるようだ。外にいる人達も何かあると気づき始めたようで下から心配するような声が多少聞こえた。
「まさかマジなんすか!?」
「あー。ありゃ落ちた衝撃で死ぬな。騒ぎになりそー・・・。」
ドラゴンの死体は軽く50万エムを超えるだろう。100万エムになってもおかしくない。街中がうるさくなるのは明白でラルズはうんざりした。そんなラルズの服の袖を受付嬢が掴む。
「なっ何とかならないんすか?」
「運が良ければ生き残るかもな。」
「見過ごせって言うんすか!?」
「まあ、ああいうのも大自然の内だ。人間が介入することじゃない。」
「そんな・・・!」
「良いもん見れたと思ったら悪いもんだったな。暗い気分になっちまった。」
ラルズが立ち去ろうと振り返るが受付嬢はまだ袖を掴む。ラルズがどうしたのかと受付嬢に目を向ける。
「なんとかしていただけませんか・・・?」
「はぁ?」
「私元奴隷って言ったじゃないっすか。実は逃げ出したんすよ、ご主人様から。この街に来るまであのドラゴンみたいにフラフラで・・・だから・・・。」
「自分を重ねてるっこと?」
「そういうことっす。死ぬところ見たくないんすよ。」
「そんなこと言われてもなぁ。見たくないなら見るなとしか言えない。」
「冷たいこと言わないでください!可哀想じゃないっすか!」
受付嬢は袖を揺する。よく見ると泣き目をしていたがこぼさないように我慢していた。ラルズはその受付嬢を困ったようにしばらく見ると袖に掴まれていた手を振り払った。
「そもそも、なんで俺がなんとかできると思ってんだ?」
「えっ・・・?」
「冒険者レベルド底辺の俺だぞ?俺じゃなくても無理そうなのに俺にできると思うか?祈るしかないだろ。絶対死ぬって決まったわけじゃない。」
受付嬢は悔しいながらも諦めたように窓の方に顔を向けた。
「すみませんした、変なこと言って。」
その声を聞いて部屋から出ていったラルズ。本当に何もしない気だったのだが、なんと心が変わってドラゴンを助ける気のようだ。
(ずるいぞあの野郎。あんな頼み方されて断れるわけない。だけど、うるさくなるのは絶対に嫌だ。)
もし助けたのがラルズだと知られれば大騒ぎになる。その可能性を少しでもゼロにしておきたいラルズは受付嬢にも勘づかれたくないので助けない態度をとったのだ。
ふらついたドラゴンの起動が斜め下に向くと街の中はさらに騒がしくなった。
「お、おい!落ちるんじゃねえか!?」
「やっぱ調子悪かったんだ。」
「近くに落ちそうだ!」
思い思いに騒ぐ住人たち。受付嬢もその様子を祈るように見ていた。
ドラゴンの高度が街の高い家の屋根くらいまで下がった時、ドラゴンが地面と衝突するであろう場所にラルズが瞬間移動のごとく現れた。
「さーて、どう受け止めるか。攻撃力上昇魔法と防御力上昇魔法を使うとして・・・。」
衝撃を受け止めるための攻撃力上昇魔法と衝撃に耐えるための防御力上昇魔法を同時使用することは考えていた。
「受け止め方を間違えると攻撃力上昇魔法の分だけダメージになりかねないな。それに防御力上昇魔法をかけすぎたらドラゴンが反動で死ぬし、少なくすると俺が・・・。くそっ!難しいな。」
考える時間を稼ぐために行動速度上昇魔法をかける。ラルズの体感でしばらく考えたところひとつの結論がでた。
「引きずられながら受け止める。それしかない。攻撃力上昇魔法はいつもの5000。防御力上昇魔法は反動が行き過ぎないように150。衝撃を減らすために引きずられることにしたが・・・普通に衝撃に耐えられないかもしれないな・・・。」
だがラルズは決意を固めて行動速度上昇魔法__スピードバフ__#を解除した。ドラゴンの腹が急速で近づいてくる。
「骨の数本くれてやる!」
そう呟くと斜め上の角度から降ったドラゴンの腹がラルズに直撃した。ラルズはそれを両手で受け止めて後方に引きづられる。引きずられていく間ラルズは激痛に苦しむ。ズガガガガガガガ!!!とラルズの足が地面に擦れる激しい音がする。靴の底はもう無くなっていた。その時間は数秒だったが、ラルズの体感ではその10倍くらいだと感じるほどに集中力を使った。
ついに勢いが止まったドラゴンをゆっくりと下ろす。そしてラルズは仰向けで倒れ込んだ。両方の足の足や肩、腕の骨にはヒビが入っていたため未だラルズは激痛に苦しんだ。
「はあっ・・・!はあっ・・・!いってええええっ・・・!回復力上昇魔法覚えとくんだった!はあっ・・・!あと体力増加魔法も!」
ラルズは息が絶え絶えのドラゴンを見る。コウモリのような翼がついた巨体の爬虫類だ。右の翼は深く怪我していておそらくこれが飛べない原因のひとつだろう。
「悪いな。俺が普通の補助魔導師なら治してやれたんだが。」
ラルズは防御力上昇魔法をいつもの5000回重ねがけた状況に戻して立ち上がる。折れた骨が治って激痛が収まるわけじゃないが、骨が丈夫になるので身体を動かした時や何かに当たった時のダメージを無くすことができるので立ったり歩いたりしても追加の痛みは無い。それでも苦しいことに変わりないのだが。
「どうするよ。もうすぐここに人が集まるぞ。」
ドラゴンは「ピギャアアアッ・・・!」と声を絞り出して翼を広げて飛ぼうとするが右翼の傷があるので飛べない。
「そうか。逃げたいのか。ちょっと待ってろ。」
ラルズがそう言った瞬間、ドラゴンの傷には包帯が巻かれ動きやすくなりラルズは3枚の生肉を持っていた。
「はあ・・・。はあ・・・。全身痛いのに街まで往復するのはキツイな・・・。ふう・・・。」とこちらもドラゴンのように息が絶え絶えのラルズ。ドラゴンの前にその生肉を置いた。
「この肉は極厚ステーキの調理前だ。食堂に取ってきた分の金置いてきたからもう金ないんだぞ?味わって食わないとぶっ飛ばすからな。包帯はギルド施設のを勝手に使ったんだが・・・まあいいだろ。多分。」
よほどお腹が空いていたのかドラゴンはゆっくりと首を伸ばしてそのステーキを食べようとする。しかし直前でハッとしたのか顔を引っ込めてラルズを睨み、威嚇するように「ピギャアアアア!」と叫ぶ。
「そう警戒するなよ。ここまでやったのに悲しくなってくる。お腹空いてるんだろ?ちゃんと食べとけよ。」
と言い残して手を振ったラルズがいきなりドラゴンの目の前から消えた。
街の中でも怖いもの知らずの男達がドラゴンを一目見ようとドラゴンの墜落地点に急ぐ。しかし男達が街を出ようとした時、肉を食べ終えて元気が出たドラゴンが再度飛び立った。
「あっ!」
ギルド施設の4階の部屋にいた受付嬢にも飛ぶドラゴンの姿が見える。フラフラながらもしっかりと綺麗に飛んでいた。
「おお。よかったな。」とラルズは部屋に入って窓を覗いた。
ラルズに気付いた受付嬢はラルズの腕を掴んで激しく揺すった。
「今までどこいたんすか!?生きてたんすよ!私の祈りが届いたんすよ!」
「やめろやめろ。」と左右に揺らされながら言う。
喜びのままに何回も揺すっていた受付嬢だがラルズの顔を見るとやめた。
「・・・ラルズさん、どうしたんすか?怪我でもしたんすか?」
「ん?まあそんなとこ。よく気付いたな。」
ラルズと受付嬢は飛び立つドラゴンを見送った。
2人がいる部屋に黒い長髪の落ち着いた女性が入ってきた。
「こんな所におられましたか。アネリ。」
「ひっ!」と怯えるように振り返る受付嬢。
「え?誰?」
「私はナンテシタ。いつもアネリがお世話になっております。そちらのアネリにお話がありまして。」とにこやかに言いながらアネリと呼んだ受付嬢に近づく。
「なっなんすかお話って・・・!ひっ!」
アネリはその女性に胸ぐらを掴まれた。
「内心分かっているでしょう?職務放棄について少しお話を。」とズルズルとアネリを引きづって行く。アネリは抵抗するがほとんど意味がない。それほどまでにナンテシタの力が強かった。
「絶対少しじゃないやつっすよそれ!ラルズさん助けて!お願い!」
じたばたとしているアネリにラルズは黙ったまま手を振った。
「ちょ!ラルズさん!そんな・・・!」
アネリはついに諦めたのかただ引っ張られていく。2人が部屋から出ようとしたところでナンテシタが振り返った。
「ラルズさんと言いましたね?アネリといつも仲良くしていただいて感謝しております。」
「別に仲良くってわけじゃあ・・・。」「そうっすよ。仲良くなんて・・・。」と照れくさくなる2人。そんな2人を見てナンテシタは静かに笑った。
「私からはとても仲が良さそうに見えましたよ。ラルズさん。アネリは生意気で毒を吐くこともありますが根はとても良い子です。これからもよろしくお願いしますね。では私はこれで。」
アネリはすごく照れていて顔が赤くなっていた。そんなアネリを引っ張って部屋から出ていくナンテシタ。
ラルズはドラゴンを見ようと振り返って窓を覗くが、もう見えないほど遠くまで飛んでいた。
「みんな!ドラゴンが見えるぞ!」
その声がギルド中に響くとギルド施設中が疑いと興奮の声で騒がしくなり始め、中にいた人達はぞろぞろと外に行く。なんと受付嬢達までもが興味本意で外に行った。
「うるさいな・・・。上で見るか。」
と上の階の窓から見ようと階段を登る。いつもラルズが付き合っている受付嬢はラルズの姿を見て「私も!」とついて行った。
ギルド施設の4階のとある部屋の窓から空を見上げる2人。そこには確かに街の近くで飛ぶ黄色のドラゴンが見えた。
「本当だ。珍しいな。」
「貴重っすね~。でもなんでこんなところ飛んでんすかね?」
ラルズは視力上昇魔法を身体にかけてじっくり見る。するとドラゴンの身体に異常があることに気付いた。
「あいつ、もうすぐ落ちるな。」
「えっ!?どっどうしてですか!?」
「右の翼が怪我してる。あと・・・具合が悪いのかお腹空いてるのか顔色も優れてないな。」
「そんな・・・。はは、適当言わないでくださいよラルズさん。性格悪いっすよ?」と馬鹿にしたように言う。
するとドラゴンの様子がおかしくなりフラフラと飛ぶようになってだんだん高度が落ちていってるようだ。外にいる人達も何かあると気づき始めたようで下から心配するような声が多少聞こえた。
「まさかマジなんすか!?」
「あー。ありゃ落ちた衝撃で死ぬな。騒ぎになりそー・・・。」
ドラゴンの死体は軽く50万エムを超えるだろう。100万エムになってもおかしくない。街中がうるさくなるのは明白でラルズはうんざりした。そんなラルズの服の袖を受付嬢が掴む。
「なっ何とかならないんすか?」
「運が良ければ生き残るかもな。」
「見過ごせって言うんすか!?」
「まあ、ああいうのも大自然の内だ。人間が介入することじゃない。」
「そんな・・・!」
「良いもん見れたと思ったら悪いもんだったな。暗い気分になっちまった。」
ラルズが立ち去ろうと振り返るが受付嬢はまだ袖を掴む。ラルズがどうしたのかと受付嬢に目を向ける。
「なんとかしていただけませんか・・・?」
「はぁ?」
「私元奴隷って言ったじゃないっすか。実は逃げ出したんすよ、ご主人様から。この街に来るまであのドラゴンみたいにフラフラで・・・だから・・・。」
「自分を重ねてるっこと?」
「そういうことっす。死ぬところ見たくないんすよ。」
「そんなこと言われてもなぁ。見たくないなら見るなとしか言えない。」
「冷たいこと言わないでください!可哀想じゃないっすか!」
受付嬢は袖を揺する。よく見ると泣き目をしていたがこぼさないように我慢していた。ラルズはその受付嬢を困ったようにしばらく見ると袖に掴まれていた手を振り払った。
「そもそも、なんで俺がなんとかできると思ってんだ?」
「えっ・・・?」
「冒険者レベルド底辺の俺だぞ?俺じゃなくても無理そうなのに俺にできると思うか?祈るしかないだろ。絶対死ぬって決まったわけじゃない。」
受付嬢は悔しいながらも諦めたように窓の方に顔を向けた。
「すみませんした、変なこと言って。」
その声を聞いて部屋から出ていったラルズ。本当に何もしない気だったのだが、なんと心が変わってドラゴンを助ける気のようだ。
(ずるいぞあの野郎。あんな頼み方されて断れるわけない。だけど、うるさくなるのは絶対に嫌だ。)
もし助けたのがラルズだと知られれば大騒ぎになる。その可能性を少しでもゼロにしておきたいラルズは受付嬢にも勘づかれたくないので助けない態度をとったのだ。
ふらついたドラゴンの起動が斜め下に向くと街の中はさらに騒がしくなった。
「お、おい!落ちるんじゃねえか!?」
「やっぱ調子悪かったんだ。」
「近くに落ちそうだ!」
思い思いに騒ぐ住人たち。受付嬢もその様子を祈るように見ていた。
ドラゴンの高度が街の高い家の屋根くらいまで下がった時、ドラゴンが地面と衝突するであろう場所にラルズが瞬間移動のごとく現れた。
「さーて、どう受け止めるか。攻撃力上昇魔法と防御力上昇魔法を使うとして・・・。」
衝撃を受け止めるための攻撃力上昇魔法と衝撃に耐えるための防御力上昇魔法を同時使用することは考えていた。
「受け止め方を間違えると攻撃力上昇魔法の分だけダメージになりかねないな。それに防御力上昇魔法をかけすぎたらドラゴンが反動で死ぬし、少なくすると俺が・・・。くそっ!難しいな。」
考える時間を稼ぐために行動速度上昇魔法をかける。ラルズの体感でしばらく考えたところひとつの結論がでた。
「引きずられながら受け止める。それしかない。攻撃力上昇魔法はいつもの5000。防御力上昇魔法は反動が行き過ぎないように150。衝撃を減らすために引きずられることにしたが・・・普通に衝撃に耐えられないかもしれないな・・・。」
だがラルズは決意を固めて行動速度上昇魔法__スピードバフ__#を解除した。ドラゴンの腹が急速で近づいてくる。
「骨の数本くれてやる!」
そう呟くと斜め上の角度から降ったドラゴンの腹がラルズに直撃した。ラルズはそれを両手で受け止めて後方に引きづられる。引きずられていく間ラルズは激痛に苦しむ。ズガガガガガガガ!!!とラルズの足が地面に擦れる激しい音がする。靴の底はもう無くなっていた。その時間は数秒だったが、ラルズの体感ではその10倍くらいだと感じるほどに集中力を使った。
ついに勢いが止まったドラゴンをゆっくりと下ろす。そしてラルズは仰向けで倒れ込んだ。両方の足の足や肩、腕の骨にはヒビが入っていたため未だラルズは激痛に苦しんだ。
「はあっ・・・!はあっ・・・!いってええええっ・・・!回復力上昇魔法覚えとくんだった!はあっ・・・!あと体力増加魔法も!」
ラルズは息が絶え絶えのドラゴンを見る。コウモリのような翼がついた巨体の爬虫類だ。右の翼は深く怪我していておそらくこれが飛べない原因のひとつだろう。
「悪いな。俺が普通の補助魔導師なら治してやれたんだが。」
ラルズは防御力上昇魔法をいつもの5000回重ねがけた状況に戻して立ち上がる。折れた骨が治って激痛が収まるわけじゃないが、骨が丈夫になるので身体を動かした時や何かに当たった時のダメージを無くすことができるので立ったり歩いたりしても追加の痛みは無い。それでも苦しいことに変わりないのだが。
「どうするよ。もうすぐここに人が集まるぞ。」
ドラゴンは「ピギャアアアッ・・・!」と声を絞り出して翼を広げて飛ぼうとするが右翼の傷があるので飛べない。
「そうか。逃げたいのか。ちょっと待ってろ。」
ラルズがそう言った瞬間、ドラゴンの傷には包帯が巻かれ動きやすくなりラルズは3枚の生肉を持っていた。
「はあ・・・。はあ・・・。全身痛いのに街まで往復するのはキツイな・・・。ふう・・・。」とこちらもドラゴンのように息が絶え絶えのラルズ。ドラゴンの前にその生肉を置いた。
「この肉は極厚ステーキの調理前だ。食堂に取ってきた分の金置いてきたからもう金ないんだぞ?味わって食わないとぶっ飛ばすからな。包帯はギルド施設のを勝手に使ったんだが・・・まあいいだろ。多分。」
よほどお腹が空いていたのかドラゴンはゆっくりと首を伸ばしてそのステーキを食べようとする。しかし直前でハッとしたのか顔を引っ込めてラルズを睨み、威嚇するように「ピギャアアアア!」と叫ぶ。
「そう警戒するなよ。ここまでやったのに悲しくなってくる。お腹空いてるんだろ?ちゃんと食べとけよ。」
と言い残して手を振ったラルズがいきなりドラゴンの目の前から消えた。
街の中でも怖いもの知らずの男達がドラゴンを一目見ようとドラゴンの墜落地点に急ぐ。しかし男達が街を出ようとした時、肉を食べ終えて元気が出たドラゴンが再度飛び立った。
「あっ!」
ギルド施設の4階の部屋にいた受付嬢にも飛ぶドラゴンの姿が見える。フラフラながらもしっかりと綺麗に飛んでいた。
「おお。よかったな。」とラルズは部屋に入って窓を覗いた。
ラルズに気付いた受付嬢はラルズの腕を掴んで激しく揺すった。
「今までどこいたんすか!?生きてたんすよ!私の祈りが届いたんすよ!」
「やめろやめろ。」と左右に揺らされながら言う。
喜びのままに何回も揺すっていた受付嬢だがラルズの顔を見るとやめた。
「・・・ラルズさん、どうしたんすか?怪我でもしたんすか?」
「ん?まあそんなとこ。よく気付いたな。」
ラルズと受付嬢は飛び立つドラゴンを見送った。
2人がいる部屋に黒い長髪の落ち着いた女性が入ってきた。
「こんな所におられましたか。アネリ。」
「ひっ!」と怯えるように振り返る受付嬢。
「え?誰?」
「私はナンテシタ。いつもアネリがお世話になっております。そちらのアネリにお話がありまして。」とにこやかに言いながらアネリと呼んだ受付嬢に近づく。
「なっなんすかお話って・・・!ひっ!」
アネリはその女性に胸ぐらを掴まれた。
「内心分かっているでしょう?職務放棄について少しお話を。」とズルズルとアネリを引きづって行く。アネリは抵抗するがほとんど意味がない。それほどまでにナンテシタの力が強かった。
「絶対少しじゃないやつっすよそれ!ラルズさん助けて!お願い!」
じたばたとしているアネリにラルズは黙ったまま手を振った。
「ちょ!ラルズさん!そんな・・・!」
アネリはついに諦めたのかただ引っ張られていく。2人が部屋から出ようとしたところでナンテシタが振り返った。
「ラルズさんと言いましたね?アネリといつも仲良くしていただいて感謝しております。」
「別に仲良くってわけじゃあ・・・。」「そうっすよ。仲良くなんて・・・。」と照れくさくなる2人。そんな2人を見てナンテシタは静かに笑った。
「私からはとても仲が良さそうに見えましたよ。ラルズさん。アネリは生意気で毒を吐くこともありますが根はとても良い子です。これからもよろしくお願いしますね。では私はこれで。」
アネリはすごく照れていて顔が赤くなっていた。そんなアネリを引っ張って部屋から出ていくナンテシタ。
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