死にきれない私

勅使河原の死

クロとナナは、クロが警察へ
行って、勅使河原の被害者のデータファイルをコピーし、
ひとりずつに被害額分を
テレポテーションを使って
届けようとしていた。

手紙を添えて。

～勅使河原から取り返した
お金です。これはあなたの分です～
と。

被害者達は一様に
驚き小躍りして喜んだが
中にはこのお金を
訝しく思い、手紙と一緒に
警察へ届ける者もいた。

そして

２人がいよいよ、最後の被害者
に届けようとした、その日
付けっ放しのテレビから
勅使河原が殺害されたニュース
が流れた。

ナナは驚き、手を震わせて
動揺していた。

「ウソでしょう。どうして。
クロちゃん、あの時は顔を
傷つけただけだよね。死んで
なかったよね。」

「ああ。死んでないよ。それに死んだのは、今日だよ。
多分、詐欺師だけじゃない顔も持ってたんじゃないかな?」

「あ、それで、一億も持ってたの？」

「多分ね。」

「ねえ、クロちゃん、今さ
テレビが詐欺被害にあった人達が警察に事情を聞かれてるって言ってなかった。」

「私は、いないから、疑われるかな。嫌だね、何かさ。」

「犯人突き止めて見るか、これ終わったら」

「うん。私、疑われるの嫌だよ。」

「すぐに突き止めるよ。」

「ありがとう。」