死にきれない私

やぼ

文字の大きさ
上 下
17 / 18

プロポーズ

しおりを挟む
「あなた、楢崎くん?」
「うん。」
「クロちゃんは、楢崎くんだったの?」

黒猫の部屋に戻ると
ナナは人間の男性が誰なのか
知っていた。

楢崎隼人、ナナの小、中、高
何故かいつも同じクラスだった
男だ。

「楢崎くん、話しをしたこと
はないのに、いつも私を見てたね。」

じぃ~っと、目を細めてクロを
見ながら、嫌そうな感じでナナが聞いた。

「ハハハ。気づいてたんだ。」

「私に気があるんじゃないかって、どれだけクラスの子達に
冷やかされたか。」

「そうだったっけ?ごめんね。」

「でも、それも否定しないけどね。」

「え?」

「そのままだよ。僕はナナが
好きだ。」

「いきなり、何を言い出すやら、ハハハ」

「ずっと、見守って来たんだ。赤ん坊の頃から」

「学校では人間になり、外では黒猫で、ずっと。」

「そして、いつからか分からないけど、ナナを好きになってた。」

「だけど、俺は人間ではないし、黒猫なんだ。黄泉の番人だから、諦めてた。」

「何を?諦めたの?」

「だから、ナナを」

「ナナを?」

「僕の恋人というか、」

「ああ、そういうこと。」

ナナはいつもクールなクロが
はにかんでいるのが可愛いくて
からかってみた。

「いいよ。楢崎くんは謎の
少年だったから、好きとか感情なかったけど、クロちゃんは
ずっと好きだったから、私。
結婚してくれる、クロちゃん」

「そ、そんな、それは僕に言わせてよ。ナナ」

クロはあたふたと、この急展開に驚きながら、ナナを抱きしめる。そして、


「結婚してくれる、ナナ」

「オッケーOki Doki」

ナナは、クロの胸に顔を埋めて
プロポーズに明るく戯けて
返事をした。



しおりを挟む

処理中です...