引き篭もり隊最強伝説

やぼ

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そもそも

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この世界大戦は
何故、起こったのか。

経済的に破綻しかけている
大国が国の存亡を掛けた
戦いなのか?

この国の首長は
元々冷酷な野心家であり
長期政権にふんぞり返り
もはや民主主義とは言い難い
独裁者である。

それでも国連の常任理事国で
あるこの大国がまさか非人道な
残虐行為を犯し無差別攻撃を
民間人にまで行うことを
どこの国も予想しなかった。

或いは予想していても
他国のことだと切り捨てたのか。

そのうち世界からの兵糧攻めに
降参するだろう、とタカをくくったのだろうか?

攻められた小国の大統領は
他国からの支援を求めるが
どの国も経済制裁は発動しても
参戦するところはなかった。


皆、とばっちりが来るのは
御免なのだ。


しかも、この大国を支えてる
のは、もう一つの常任理事国
世界第二位の経済を誇る社会主義国だ。

人権という言葉は存在しないと
揶揄される国。

初めは2国間の戦争だったが
兵糧攻めで追い詰められた大国は、いよいよ俺達の国へ侵攻
してきたのだ。

より多くの富を略奪する為に。


どこにそんな余力があったのだろうか。隣国からの支援なのだろうか。

しかし
不登校17歳は、そもそも
戦争で儲ける奴らが仕掛けるん
だろう、と言った。

戦争とは、ビッグビジネスなんだよ、とアバター兵士をコントローラーで銃撃させながら
せせら笑った。


小隊長はすぐさま怒鳴った。

「裕介、無駄に撃つな
弾が勿体ないだろ!」

(気にしてるのは、そこか?)
小隊長は、割と細かい男だ。

17歳は小隊長を睨んで
吐き捨てるように

「ムダじゃないさ。ほら見ろ
あの草むらに潜んでた敵兵を
10人は、倒してるだろ」

と言った。


我々の宇宙船は、各部隊に
分かれているが俺の小隊室は
戦闘モードに入ってる時は
室内は戦場と一体となる。
VRのような状態と言ったら
いいだろうか。
全体を見渡せるモニターは
常に小隊長が見張っている。


この引きこもり連隊船は
全国から引きこもりを招集して
何万なのかは分からないが
軍事訓練の結果、
選抜された人間を何百という
小隊に分けて最前線に送り込んだアバター兵士をこの船から
操っているのだ。


他にも
地球上には昆虫型ドローンを
何千何万と配置させて
敵の動きを感知すると
アバター兵士を向かわせて
敵機や敵兵を狙撃している。

アバター兵も、また小型化
されたロボットだ。

軽量化され、
映画トランスフォーマーの
ようにアバター兵は変形して
ドローンや
小型爆撃機にもなる。

アバター兵本体は、
身長150センチしかない。


国は
ここまで武器を小型化し
ハイテク化していた。

俺は国の防衛を見直したが
これもいつまで持つのだろうか。


北の大地の住民は、本州に
半強制的に移動させた。
ここには、人間は敵兵だけだ。
俺達は、敵の爆撃機を宇宙から
そして大地から撃ち落とす。


敵は敵であり、人間とは思わない。

それを思えば撃つことなど
出来ないからだ。


敵兵はゾンビなのだ。

そして
これはゲームだと思えと
命令された。


敵国は人海戦術であり
旧型の戦闘機と武器だ。

アバター兵を操る
我々に勝てると思ってるのか?

勝算もない戦争を何の為に
するのだろう。


軍事侵攻し、周辺国を陥落させて支配すれは国が富むとでも
思っているのか?

その敵国を支援する隣国は
武器を売りつけて儲けている
に過ぎないのに。

いくら味方とはいえ
最新兵器は売らないだろう。

自国の手の内を見せる国は
ないだろうから。


裕介の言う通り
武器ビジネスは紛争国家や
テロリストをお客さんに莫大な富を築いている。


その総額は軍需企業100社で
毎年44兆円にもなるそうだ。

「だから
いくらでも金を掛けられるの
さ。人殺し兵器に」、と

裕介は嘲笑う。


その軍需産業のほとんどは
あの偉大な正義の国の企業だと
いうのが皮肉な話しだ。


正義の国は、世界の警察を
辞めたが軍需産業では世界で
1番儲けてるらしい。



「裕介、お前、ふざけた奴だけど腕は確かだな。」


小隊長は、苦笑いしながら
モニターを見て言った。
彼は17歳の腕を買っていた。


裕介は、小隊長の話しなど
無視して、俺に続けた。

「やめられない止まらないのさ、ビッグビジネスは。
こんな高性能の武器を試したくなるのさ、支配欲の塊のリーダーには。大国は戦争を否定しながらビジネスは別だと思ってる。」


「軍需産業は、戦争が起これば
儲からないって
ネットで読んだことあるよ」

俺がそう言うと

「それは、当事国で他国の
軍需産業が儲かってるよ」

「湾岸戦争では、赤字だったらしいよ」

「俺達の国は、先の大戦で
大敗し経済は壊滅したがすぐに隣国を分断する戦争が起こり
特需景気で儲けたの知らないの?」

「そうだっけ?」

俺には歴史の知識などない。

裕介は、まだ17年しか生きて
ないのに、世の中を分かった
ような口ぶりで話し続ける。


「世界が民族紛争、宗教、
まあ、イデオロギーの違いから
いくらでも争えば、武器商人は
ウハウハなのさ。」と。


「武器商人だけじゃない。
戦争によって家を無くした
難民を狙ってくる人身売買の
組織だっているよ」

俺は裕介に言い返した。

ただ、武器商人達は
戦争より敵国同士睨み合ってて
欲しかっただろうさ、
単純に武器を
購入して欲しいだけだから。

今回、独裁者が始めた戦争は
皆、想定外のことだったかも
しれないが
どこかで儲けてる奴らは
確かに何とも思ってないのかもしれない。


この状況に便乗してくる
冷酷な奴らは
ごまんといるだろう。

それに
結局、生き物とは
そういうものなんだと思う。

宿命なのかな。

争い、奪い、殺し合う。

周囲を見回してると

「斗真、逃げろ!」

「またか、小隊長、俺は逃げない突っ込むぞ!」

「バカ!止めろ!上空を見るんだ!」

バリバリバリバリ

敵機の爆撃が無数に降ってきた。

俺は、いや俺のアバターは
吹っ飛んだ。

粉々に。
















    
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