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二章『パテ編』
第60話 大喧嘩祭7
しおりを挟む「それではBブロック準決勝! 対戦者は! 先ほどに続いて獣戦士エリノア! 相対するは! 素性はすべて謎! 白スーツの男カルボ・ナーガ!」
「エリノアさん、よろしくお願いします」
「フルボッコにしてやんよ」
「試合開始ぃーーッ!!」
アイナと戦った時と同じく、エリノアは開始の合図とともに走り出そうとする。しかし、カルボは片手を上げてエリノアを制止する。
「にゃんだ? いまさら許してほしいと言われてもそうは」
「いやいや、違うんですよ。私は純粋にトーナメントに出場したかっただけなんです、この大舞台に立ってみたかっただけなんです。昨日のことは私も必死だったのです。だから戦う前にエリノアさんにこれを渡しておこうかと」
そう言ってカルボは懐から1枚の金貨を取り出す。それをエリノアに投げ渡す。
「銀貨10枚でしたよね。昨日は手持ちがなかったのであんな真似をしてしまいました。なにお釣り入りませんよ、謝罪の意味もあります。こうしてトーナメントまで来られたのは貴女のお陰なのですからね。偽物かどうか、確かめてもらっても構いませんよ」
「??????」
エリノアは手のひらで金貨を転がしている。どうやら紙に包まれたバターではないようだ。だがそれで安心するのは愚かだ。一度騙されているのだからもっと慎重になるべきだ。
エリノアは金貨を噛む、そしてできた歯型をまじまじと見つめている。その目は鑑定士のように鋭い。しばらく見たあと金貨を懐にしまう。
「本物だにゃ、貰っておくよ」
「はいどうぞ。では恨みっこなしの正々堂々としたバトルをしましょうね」
「はぁ、にゃんだか拍子抜けだにゃ、さっきのミーの戦いを見て怖気付いたんだにゃ」
「ふふふ」
謝罪だと? いや、あいつは絶対に怪しい奴だ。なにか狙っているに違いない。だいたい常時笑ってる奴は怪しいを通り越してやばいだろ。
「おっーと! エリノア選手ダウンんんんん!!」
「なに!?」
俺は意識を試合場に戻す。エリノアがその場に倒れていた。カルボは何をした? 一瞬の出来事だったぞ。
「ジゼル、今何があった?」
「わからない、いきなりエリーが倒れた」
どういうことだ? 魔法か?
「ほっほっほ、おやおや、試合中に横になるなんて、随分と余裕ですねぇ」
「み、ミーに、にゃ、にゃにをした??????ッ!」
「まだ喋れるのですか、流石にしぶといですねぇ。大型の魔物ですら一撃で麻痺させる毒なんですが」
「ど、毒だと??????、でもミーは控え室で何も口にしてにゃいよ」
「いやいや、さっきしたじゃあないですか、それとも金貨はお口に召しませんでしたか?」
「にゃ??????ッ! あの金貨に毒を塗っていたのか」
「ご名答です。貴女が金貨を噛むように、事前に私の仕草であらかじめ釣っていたのですがご存知でしょうか? あ、知らないからこんな初歩的な罠に騙されるんですよね、それは失敬。ちなみに、こうしてゆっくり解説してあげるのは、獲物を前に舌なめずりするタイプの一流なものでして、私」
「ぐ??????ッ! こんにゃもの??????ッ!」
「無駄です、喋れているのがすでにおかしい事だと知りなさい」
カルボは優雅に歩きながらエリノアに近づく、そしてしゃがみ、エリノアの耳元で、エリノアにしか聞こえない声で呟いた。
「ここが人目のつくところでよかったな。じゃなかったら殺していたぜ? あと金貨は返してもらうぞ」
エリノアの額から脂汗が吹き出している、何を言われたんだ? エリノアの様子を見てジゼルがタオルを投げた。
「審判。負けを認める」
「は、はい!」
会場が静まり返る。ロン・スティックが静寂を突き破る大声で結果発表する。
「不思議な力でエリノアをダウンさせたカルボの勝利ぃーーッ!!」
その声に観客が湧いた。あのエリノアが何もできずに倒されたのだ。原理が不明でも、興奮はすることだろう。
「ジゼル??????すまにゃい??????」
「エリー、何されたの?」
「金貨に麻痺毒を??????塗られていた??????バーガー気をつけてにゃ、毒もそうだけど??????奴は只者じゃにゃい」
「ああ、勇者に任せておけ」
「ではぁ! 小休憩のあとぉ! 決勝戦を開始しますん! トイレは今のうちに済ませておいてくださいいいい!」
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